書店にもコンシェルジュがいて、客の気分を聞いて本を薦めるようになったと聞きました。
何十年か前に、鳥を写した写真集を手に入れたいことがあって、横浜の著名な書店で、表紙のデザインのあらましを告げ、こういう本だと尋ねると、久保敬親の「鳥」でしょう、本店にはあるかもしれません、しばらくお待ちをと電話で問い合わせ、在庫のあることも確かめてくれました。
本店に行ってくださればすぐ間に合いますということ、さほど遠くないところなのでちょっと回り道をして、買ってきたことを思い出しました。
近ごろの相談は、この本が欲しいというのではなく、何を読んだらいいでしょうかというのが多いようです。
そこで、いまのあなたのご気分はと問いかけ、それに合った本を薦めるという話でした。
知らない町での旅行気分を満たしてくれる、旅行案内のようなこれが、書籍販売ビジネスの方法としては見事でも、本日のおすすめが最良のサービスなのかなあとも思います。
ネットのFAQのように、何でもすぐ答えが出てくるのにも、便利さを頻繁にやりとりしているうちに、どうしよう族の人口がどんどん増えていくような、こころもとなさを感じています。