かって、北斎や蘆雪画伯も絵の題材にした「大原女」という女性達がいた。
京都は大原の女と書いて「おはらめ」と呼ぶ。
彼女達は、頭に花等を乗せて古都を売り歩いた。
お得意先の家の様は、よく覚えていて、「今日は先代はんのご命日どすなぁ」という具合で、重宝されつつ商いをしたのである。
そんな、大原女の歩いた京の街で、江戸時代のまちかど芸能を見た。商人たちが創出した販売促進方法が、芸の域まで達しているのである。
「南京玉すだれ」しかり。
気持のいい購買を促すために、芸というサービスに磨きをかける。
「あきんど」は、知恵を働かせ、努力の芸をもって、売りものに命を吹き込むのだ。
商売は、簡単に出来るものではないのである。
・・・
で。何してはりますの?
へ。大原女よろしゅう、おつむに茶瓶乗せてます。
これがほんまの、禿茶瓶。
芸がおまへんなぁ。
で。何売ってますの?
へ。油でおます。
・・・。
私は、商売が上手くないのかもしれない。