Newアート考察3 伝統工芸に<革新>はあるか? 必要か? その4 九谷焼―1
2020-2-05
越前陶芸村を後にし、武生から金沢へ。特急を使ったので、金沢に到着してもまだ十分活動の時間がありました。金沢も雪がちらついています。
まず、金沢21世紀近代美術館にはいりましたが、若い日本人とアジア系の外人でごったがえしており、新型コロナウイルスが怖くて逃げだしました。地続きで、すぐ近くの北山堂に入ります。地の利を得た立派なお店です。
立派なお店なので、気後れしますが、景気づけにまずは一発買い物をして、それからお店の方に写真撮影を交渉する作戦にでました。
4000円くらいが最低です、赤絵に魅かれて小さな酒杯を買いました。よく見ると塗りむらがあります。自分で上絵を使う時はこの塗りむらが気になるので、プロの上絵はどうかな、と見てしまうのです。九谷焼は絵具の性格からして、塗りむらがでることが避けられません。当方は九谷上絵でこんなに細かい絵がどうしても描けません。こんな細い線がどうやったら描けるようになるのだろうとこの細かい絵柄をのぞき込みながらお酒を飲んでいます。
買い物をしてからは、強気になってお店の方に撮影交渉。意外にすんなりとOKをいただきました。2階の有名な方のギャラリーも撮影どうぞ、どうぞという感じです。 飾ってある作品の数は膨大です。当方が興味を持ったものだけ載せます。
とにかく赤に魅かれます。陶芸では赤色を思ったように出すことが一番難しい。赤い、細かいというだけで当方は憧れるのです。 青九谷もいいし、九谷赤絵もいい。
これは赤をうまく使った現代的作品とおもいます。
吉田幸央
これらは、九谷の特徴を生かした赤と金を使った最近の絵柄でしょう。
吉田幸央
吉田幸央(よしたゆきお)1960年~ 石川県小松市生まれ。金沢美術工芸大を卒、お父さんの吉田美統さんは人間国宝。金彩の技法釉裏金彩」(ゆうりきんさい)が特徴。一度釉薬をかけて焼いたものに、厚さの異なった金箔で模様を作り、再度透明度の高い釉薬(ガラスの釉薬等)をかけて焼き上げるという技術。
伝統の延長線上に現代人の好みに合わせた方向をとる、ある意味典型的な作品と思えます。
川田 稔(カワダ ミノル)1944年生まれ。明治大農卒 石川県九谷工芸高等訓練校卒。
22,720円
川田 稔 ネット情報 77,000円
九谷焼の特徴を生かし、現代にマッチさせた流れを感じます。絵具の塗りむらをむらと感じさせないで、かえって魅力と思わせる。これがなかなかできないのです。当方は素直に自然をテーマにした絵柄が好きです。
山近 泰 (ヤマチカ ヤスシ) 2000年 石川県立九谷焼技術研修所 実務者コース加飾科 卒業 <タタラの形に、九谷焼の五彩色を使って様々な動物を描き、モダン且つ幻想的な世界観を作り上げています。きっかけは、白象の夢を見たことから始まりました。それは、子供のころに見たお寺で行われる花祭りの時の、色きらびやかに飾られた白象の神輿の夢でした。その色彩と象のねり動くさまを原風景に、動物をモチーフに定め製作しています。
>と述べています。
現代に合わせた九谷焼の新時代を表す若手の作品の良い例と思います。
山近 泰
山近 泰
この九谷焼とガラス工芸をドッキングさせた作品が、あちこちの店で展示されています。まさに当方の追いかける陶芸とガラス工芸のドッキングです。聞くところによれば、特殊な化学反応を利用して、ガラスと陶器を張り付けているとのこと、詳細は秘密だそうです(特許は取ってないとのこと)。<九谷和グラス>といって、清峰堂株式会社さんが製造販売しているようです。以下、清峰堂株式会社さんのHPより。
<ふたつの伝統工芸・九谷焼と江戸硝子を融合させた「九谷和グラス」は、それぞれの伝統に恥じぬようひとつひとつを丁寧に手作りしています。九谷焼の脚部分はすべてのデザインを手描きし、江戸硝子のガラス部分も手作りの吹き硝子のみを用いており、またその接合部分はグッドデザイン賞を受賞した技術が活かされています。>
清峰堂株式会社さんのHPより
清峰堂株式会社さんのHPより
陶器とガラスのドッキング<和ガラス>は結構高そうですが、みなさんにとって魅力的でしょうか? 陶器とガラスの異なる印象のドッキングにより生じる違和感をどうやって、相乗的魅力にもってゆくかが当方にとって大きな課題なのです。流れるような印象の流動か、はてまた、ダイナミックな対比か?
三井為吉1935年~ 愛知県に生まれる。金沢美術工芸大学陶磁器科卒。伝統的な古九谷様式の絵付けが特徴的です。大胆な構図と五彩(赤・青・黄・紫・紺青)を用いた華やかな色彩。豪放華麗と称される古九谷の伝統的なスタイルを貫き、現代に生き生きと再現する。
内閣総理大臣表彰など数々の賞を受ける大家。
このような古典的でありながら、モダンな印象を与える作品が落ち着きます。
藤村正美 1954年 金沢美大日本画科卒業 父 藤村豊秋を継いで、伝統の九谷焼きを継承し、その美しさは日本の美を心を感じさせてくれる。平成の九谷焼上絵付けの第一人者、2005年死去。
田中一於 (ナカダカズオ) 1949年、石川県生まれ。人間国宝・三代徳田八十吉に師事。「釉裏銀彩(ゆうりぎんさい)」の技法を確立。「釉裏銀彩」とは、下地を塗って焼成した素地に銀箔を切って膠(にかわ)で貼りつけ、透明釉をかけて焼成する中田さん独自の技法。銀の酸化を防ぎ、その美しい輝きを長く保つ。石川県指定無形文化財認定。
このあたりは、いかにも九谷焼の新しい流れを作った有名作家の作品という感じがします。
三代徳田八十吉 1933~2009年 人間国宝
従来の九谷焼のように、絵柄(山水・人物・花鳥風月)ではなく、色の配色のみで作品を仕上げるのが大きな特徴。 色は約70色を使い分け、色の濃淡(グラデーション)のみで作品を仕上げる技法「彩釉(さいゆう)」を生み出す。
四代徳田八十吉 1961年~ 三代徳田八十吉の長女。石川県立九谷焼技術研修所卒。やわらかく優しい色合いで、女性ならではの感性が光りふわっとした癒しを与えるとして、人気を博している。
この三代目、四代目の流れは一つの新しい九谷焼の流れでしょう。
後程出てくる、諸江屋さんのご主人が古典的九谷焼がいいと主張するのは、田中一於や徳田八十吉の流れを良しとしていないのかもしれません。お店によってそれぞれに主張があるようです。
北山堂を出て、長町武家屋敷に向かいます。
この界隈にいくつかの九谷焼の店があります。
まずは<龍正>。九谷焼だけでなく、金沢の工芸品を若い方向けに集めたかわいいお店です。
また赤絵に魅かれています。
ここで気づいたことは、型で作った器に九谷彩色した作品が多勢を占めるということです。当方の九谷焼のイメージからは程遠い分厚い焼き物です。お店にはかんじのいいお姉さんがいて、色々話を聞くことができました。撮影もOKでした。商品は値段が先に設定され、それに合わせて作家さんが技法、手間を設定するのだそうです。値段が1500円から2500円程度の商品は型で器を作り、厚手にすることにより丈夫な実用品にするということです。
このお店の次に入ったところ、長寿堂では器は型物なのに凝った彩色であるために1万円を超える商品も飾ってありました。これはアリか??
話を元に戻して、お店の親切なお姉さんに最近の作家さんを聞きます。その一人、当方が反応したのは以下の方です。
佐藤剛志 1964年 石川県根上町生まれ。九谷焼技術研修所で学ぶ。
古い九谷焼の細い細かい線というよりは、水墨画風の絵柄を自分でひいた器に描いています。過去の絵柄をまねるのでなく、陶器とは関係なくちゃんとした絵が0から描けるということがこの方の武器であり、当方が自分がこうならなければならないとあがくポイントなのです。
これは当方が購入した佐藤剛志さんの作品で4000円弱でした。ぐい飲みの為に作った器ですから、使い勝手が良く、今回の買い物の中で最もよく使っている器です。
楽しいおしゃべりの後、龍正を出て長町武家屋敷の真ん中にある長寿堂に向かいます。
長寿堂は有名な老舗のようです。ここはいくら頼んでも一切撮影させてくれなかったので、作品を買うこともなかったし、あまり友好的なコメントはできません。ガイドブックをみると、この店はちゃんとした高級品と、値段を抑えるために型物器に専門家が手書きする作品や、絵柄も転写を用いる作品を置いてあることのことです。 たしかに、型物で絵付けだけ手書きで1万円を超すものまで売っていました。ちゃんと作り方を説明して売るなら、これによってリーズナブルに九谷焼を手に入れることが出来るからいいんじゃないのという考え方もあるでしょう。難しいところですね。本物の九谷焼ばかり並べておいても、お客さんは減ってゆき、その内九谷焼自体が消滅してしまう。一方、こんなの九谷焼じゃない偽物だ、九谷焼の自殺だ。これこそ九谷焼の消滅を促進している。という考えもある。
お店の方は愛想無かったので、お店に来ていたお客さんのお嬢さんと話しました。九谷焼をとても気に入っていて、何度も眺めに来るのだと言っていました。確かに、この店は高いものから少し安いものまで、魅力的作品がほどよく勢ぞろいしています。見るだけならいいお店です。お金が余っている方は、ふらっと買えばいいのです。気に入ればそれで幸せです。
なぜかこのお店には温かみを感じることが出来ずに、お店を出ました。外は雪がチラチラと寒い、今日の探検はお終い。
金沢の夜は泊まる金沢駅前アパホテルの中にある、<彩旬>で、金沢おでん、フグの塩麹づけ、天狗舞の純米吟醸で夕食。金沢おでんの定番、車麩、赤まき蒲鉾、バイ貝と大根、卵いずれも結構でした。石川の酒、天狗舞もとてもおいしかった。フグはへしこ風でしょっぱすぎました。
次の日、2020-2-6 能登島ガラス美術館訪問の後に再び九谷焼探求を行いました。
コロナで写真撮影できませんから、このレポートを急いでもしょうがないので、2手に分け、明日、九谷焼―2として載せます。
2020-2-05
越前陶芸村を後にし、武生から金沢へ。特急を使ったので、金沢に到着してもまだ十分活動の時間がありました。金沢も雪がちらついています。
まず、金沢21世紀近代美術館にはいりましたが、若い日本人とアジア系の外人でごったがえしており、新型コロナウイルスが怖くて逃げだしました。地続きで、すぐ近くの北山堂に入ります。地の利を得た立派なお店です。
立派なお店なので、気後れしますが、景気づけにまずは一発買い物をして、それからお店の方に写真撮影を交渉する作戦にでました。
4000円くらいが最低です、赤絵に魅かれて小さな酒杯を買いました。よく見ると塗りむらがあります。自分で上絵を使う時はこの塗りむらが気になるので、プロの上絵はどうかな、と見てしまうのです。九谷焼は絵具の性格からして、塗りむらがでることが避けられません。当方は九谷上絵でこんなに細かい絵がどうしても描けません。こんな細い線がどうやったら描けるようになるのだろうとこの細かい絵柄をのぞき込みながらお酒を飲んでいます。
買い物をしてからは、強気になってお店の方に撮影交渉。意外にすんなりとOKをいただきました。2階の有名な方のギャラリーも撮影どうぞ、どうぞという感じです。 飾ってある作品の数は膨大です。当方が興味を持ったものだけ載せます。
とにかく赤に魅かれます。陶芸では赤色を思ったように出すことが一番難しい。赤い、細かいというだけで当方は憧れるのです。 青九谷もいいし、九谷赤絵もいい。
これは赤をうまく使った現代的作品とおもいます。
吉田幸央
これらは、九谷の特徴を生かした赤と金を使った最近の絵柄でしょう。
吉田幸央
吉田幸央(よしたゆきお)1960年~ 石川県小松市生まれ。金沢美術工芸大を卒、お父さんの吉田美統さんは人間国宝。金彩の技法釉裏金彩」(ゆうりきんさい)が特徴。一度釉薬をかけて焼いたものに、厚さの異なった金箔で模様を作り、再度透明度の高い釉薬(ガラスの釉薬等)をかけて焼き上げるという技術。
伝統の延長線上に現代人の好みに合わせた方向をとる、ある意味典型的な作品と思えます。
川田 稔(カワダ ミノル)1944年生まれ。明治大農卒 石川県九谷工芸高等訓練校卒。
22,720円
川田 稔 ネット情報 77,000円
九谷焼の特徴を生かし、現代にマッチさせた流れを感じます。絵具の塗りむらをむらと感じさせないで、かえって魅力と思わせる。これがなかなかできないのです。当方は素直に自然をテーマにした絵柄が好きです。
山近 泰 (ヤマチカ ヤスシ) 2000年 石川県立九谷焼技術研修所 実務者コース加飾科 卒業 <タタラの形に、九谷焼の五彩色を使って様々な動物を描き、モダン且つ幻想的な世界観を作り上げています。きっかけは、白象の夢を見たことから始まりました。それは、子供のころに見たお寺で行われる花祭りの時の、色きらびやかに飾られた白象の神輿の夢でした。その色彩と象のねり動くさまを原風景に、動物をモチーフに定め製作しています。
>と述べています。
現代に合わせた九谷焼の新時代を表す若手の作品の良い例と思います。
山近 泰
山近 泰
この九谷焼とガラス工芸をドッキングさせた作品が、あちこちの店で展示されています。まさに当方の追いかける陶芸とガラス工芸のドッキングです。聞くところによれば、特殊な化学反応を利用して、ガラスと陶器を張り付けているとのこと、詳細は秘密だそうです(特許は取ってないとのこと)。<九谷和グラス>といって、清峰堂株式会社さんが製造販売しているようです。以下、清峰堂株式会社さんのHPより。
<ふたつの伝統工芸・九谷焼と江戸硝子を融合させた「九谷和グラス」は、それぞれの伝統に恥じぬようひとつひとつを丁寧に手作りしています。九谷焼の脚部分はすべてのデザインを手描きし、江戸硝子のガラス部分も手作りの吹き硝子のみを用いており、またその接合部分はグッドデザイン賞を受賞した技術が活かされています。>
清峰堂株式会社さんのHPより
清峰堂株式会社さんのHPより
陶器とガラスのドッキング<和ガラス>は結構高そうですが、みなさんにとって魅力的でしょうか? 陶器とガラスの異なる印象のドッキングにより生じる違和感をどうやって、相乗的魅力にもってゆくかが当方にとって大きな課題なのです。流れるような印象の流動か、はてまた、ダイナミックな対比か?
三井為吉1935年~ 愛知県に生まれる。金沢美術工芸大学陶磁器科卒。伝統的な古九谷様式の絵付けが特徴的です。大胆な構図と五彩(赤・青・黄・紫・紺青)を用いた華やかな色彩。豪放華麗と称される古九谷の伝統的なスタイルを貫き、現代に生き生きと再現する。
内閣総理大臣表彰など数々の賞を受ける大家。
このような古典的でありながら、モダンな印象を与える作品が落ち着きます。
藤村正美 1954年 金沢美大日本画科卒業 父 藤村豊秋を継いで、伝統の九谷焼きを継承し、その美しさは日本の美を心を感じさせてくれる。平成の九谷焼上絵付けの第一人者、2005年死去。
田中一於 (ナカダカズオ) 1949年、石川県生まれ。人間国宝・三代徳田八十吉に師事。「釉裏銀彩(ゆうりぎんさい)」の技法を確立。「釉裏銀彩」とは、下地を塗って焼成した素地に銀箔を切って膠(にかわ)で貼りつけ、透明釉をかけて焼成する中田さん独自の技法。銀の酸化を防ぎ、その美しい輝きを長く保つ。石川県指定無形文化財認定。
このあたりは、いかにも九谷焼の新しい流れを作った有名作家の作品という感じがします。
三代徳田八十吉 1933~2009年 人間国宝
従来の九谷焼のように、絵柄(山水・人物・花鳥風月)ではなく、色の配色のみで作品を仕上げるのが大きな特徴。 色は約70色を使い分け、色の濃淡(グラデーション)のみで作品を仕上げる技法「彩釉(さいゆう)」を生み出す。
四代徳田八十吉 1961年~ 三代徳田八十吉の長女。石川県立九谷焼技術研修所卒。やわらかく優しい色合いで、女性ならではの感性が光りふわっとした癒しを与えるとして、人気を博している。
この三代目、四代目の流れは一つの新しい九谷焼の流れでしょう。
後程出てくる、諸江屋さんのご主人が古典的九谷焼がいいと主張するのは、田中一於や徳田八十吉の流れを良しとしていないのかもしれません。お店によってそれぞれに主張があるようです。
北山堂を出て、長町武家屋敷に向かいます。
この界隈にいくつかの九谷焼の店があります。
まずは<龍正>。九谷焼だけでなく、金沢の工芸品を若い方向けに集めたかわいいお店です。
また赤絵に魅かれています。
ここで気づいたことは、型で作った器に九谷彩色した作品が多勢を占めるということです。当方の九谷焼のイメージからは程遠い分厚い焼き物です。お店にはかんじのいいお姉さんがいて、色々話を聞くことができました。撮影もOKでした。商品は値段が先に設定され、それに合わせて作家さんが技法、手間を設定するのだそうです。値段が1500円から2500円程度の商品は型で器を作り、厚手にすることにより丈夫な実用品にするということです。
このお店の次に入ったところ、長寿堂では器は型物なのに凝った彩色であるために1万円を超える商品も飾ってありました。これはアリか??
話を元に戻して、お店の親切なお姉さんに最近の作家さんを聞きます。その一人、当方が反応したのは以下の方です。
佐藤剛志 1964年 石川県根上町生まれ。九谷焼技術研修所で学ぶ。
古い九谷焼の細い細かい線というよりは、水墨画風の絵柄を自分でひいた器に描いています。過去の絵柄をまねるのでなく、陶器とは関係なくちゃんとした絵が0から描けるということがこの方の武器であり、当方が自分がこうならなければならないとあがくポイントなのです。
これは当方が購入した佐藤剛志さんの作品で4000円弱でした。ぐい飲みの為に作った器ですから、使い勝手が良く、今回の買い物の中で最もよく使っている器です。
楽しいおしゃべりの後、龍正を出て長町武家屋敷の真ん中にある長寿堂に向かいます。
長寿堂は有名な老舗のようです。ここはいくら頼んでも一切撮影させてくれなかったので、作品を買うこともなかったし、あまり友好的なコメントはできません。ガイドブックをみると、この店はちゃんとした高級品と、値段を抑えるために型物器に専門家が手書きする作品や、絵柄も転写を用いる作品を置いてあることのことです。 たしかに、型物で絵付けだけ手書きで1万円を超すものまで売っていました。ちゃんと作り方を説明して売るなら、これによってリーズナブルに九谷焼を手に入れることが出来るからいいんじゃないのという考え方もあるでしょう。難しいところですね。本物の九谷焼ばかり並べておいても、お客さんは減ってゆき、その内九谷焼自体が消滅してしまう。一方、こんなの九谷焼じゃない偽物だ、九谷焼の自殺だ。これこそ九谷焼の消滅を促進している。という考えもある。
お店の方は愛想無かったので、お店に来ていたお客さんのお嬢さんと話しました。九谷焼をとても気に入っていて、何度も眺めに来るのだと言っていました。確かに、この店は高いものから少し安いものまで、魅力的作品がほどよく勢ぞろいしています。見るだけならいいお店です。お金が余っている方は、ふらっと買えばいいのです。気に入ればそれで幸せです。
なぜかこのお店には温かみを感じることが出来ずに、お店を出ました。外は雪がチラチラと寒い、今日の探検はお終い。
金沢の夜は泊まる金沢駅前アパホテルの中にある、<彩旬>で、金沢おでん、フグの塩麹づけ、天狗舞の純米吟醸で夕食。金沢おでんの定番、車麩、赤まき蒲鉾、バイ貝と大根、卵いずれも結構でした。石川の酒、天狗舞もとてもおいしかった。フグはへしこ風でしょっぱすぎました。
次の日、2020-2-6 能登島ガラス美術館訪問の後に再び九谷焼探求を行いました。
コロナで写真撮影できませんから、このレポートを急いでもしょうがないので、2手に分け、明日、九谷焼―2として載せます。