日本が随や唐の時代から中国の技術や文化を取り入れ、発展してきたという史実は、日中友好の会で枕詞のように語られる。日中近現代史についても「両国の不幸な歴史」とか「両国民の間に今なお残る傷」といった言葉で、さらりと触れる場合もある。
しかし、現在の日中関係はそのような言葉でお茶を濁すには、ギスギスし過ぎている。日本人で中国好きな人は10%未満だとか聞こえてくる。日本語学科の学生達が、日々、日本語を学びながら心中穏やかではないのも当然だ。
日本では、逆に中国人全員が(日本人なんか死ねばいいのに。)と思っているかのように伝わっているのではないだろうか。
その意味では、この大学生達の生の言葉は、貴重だ。今回は気合いを入れてたくさんの学生の声を日本の皆さんに届けたいと思う。内容は昨日の続きで、日本暮らし20年になる中国東北地方出身の女性(原口さん:仮称)の手紙に対する返事だ。
(陳 ○○)
原口さん、こんにちは。
私たちは原口さんの手紙をいただいた後、南昌の初雪を迎えました。日本も寒くなるでしょう。わざわざ私たちのためにお手紙を下さってどうもありがとうございました。
原口さんの手紙を通じて、私はいろいろ勉強になりました。原口さんがおっしゃったとおり、中国、あるいは中国人はいくつかの欠点があります。最近、私は日本語に訳された「醜い中国人」という本を読んでいます。著者柏楊さんは、中国人のある醜さを深刻に、厳しく指摘していた。私は読みながら驚きつつ共鳴があります。原口さんはもともと中国人です。今は日本で生活しているので、中日間の比較はよくできます。私は今、大学生としても、中国に存在する欠陥を痛感しています。
ところが、私はちょっと話したいことがあります。確かに以前、中国は日本に対してマイナスの宣伝がありました。これは政治にも関係があるでしょう。日本は、中国を侵略し無残なことをしていた。原口さんは、以前東北人としてよく知っているはずです。もし、日本がドイツのように、自国の犯した罪を深刻に認めれば、中日の交流は一層発展できると思います。
今の中国では、日本へのマイナスの宣伝が少なくなった一方、日本では中国に関わる宣伝はどうですか。
確かに日本は、今の中国より優れたところが多いです。日本製品の品質、日本企業の管理技術、そして日本人の几帳面さ……。中国はいろいろ日本に学ばなければならないことが山ほど持っています。
しかし、今中国は発展途上国です。中国は真っ暗な歴史があります。様々な原因で今の中国はまだ幼いです。でも必ず数年後、でなければ数十年後、中国は私たちの本当の誇りになります。原口さん同様、私たちも確信しています。
私は日本に関心を持っています。原口さんがおっしゃった仕事に対する責任感、意欲、几帳面さは本当に貴重で、不可欠なものだとおもっています。原田さんのお手紙を拝見した後、私は自身の責任感が以前より強くなりました。これから私は必ず自覚を持って、自分の国の発展に心を込めて努力します。
原口さんはもしご都合がよろしければ、是非中国にいらっしゃって観光してください。その時、私たちがご案内いたします。
(○ 穎子)
原口さんこんにちは。
私は○穎子と申します。日本語学科の三年生ですが、日本語はまだまだです。自分が自分の言いたいことを正確に日本語で表すことができるか自信がないので、今ちょっと緊張しています。
あなたの手紙を読んだあと、私はいろいろ考えています。まさかあなたと中国がそんなに深い関係にあるとは思わなかった。あなたの経験は私より多く、私はもっと聞きたいです。
この頃中日関係は、ちょっと微妙な時期です。我々日本語学科の学生についても、もっと厳しくなるかも知れません。私は日本国民は優秀で、特にものごとに対する真面目さは、必ず学ぶべきだと思っています。中日関係の明るい明日を待っています。
(黄 ○○)
原口さん、今晩は。
私は黄○○と申します。作文の授業で先生が原口さんからの手紙を読んでくれたから、何か悲しい気持ちが胸に溢れてきました。この気持ちを日本語でどう表したらいいかよく分かりません。
二十歳の私は、今、日本語学科の三年生で、今までたいしたことはやって来なくて、ただ学校で自分の専攻を勉強しています。お金がないせいで、外国へ行ったことはもちろん、国内での旅行もほとんどありません。外国人は一体我々中国人にどんな考えを持っているのかがよく分かりません。インターネットでいつも中国人のマイナス面についての記事は探せますが、やはり自分の耳でそのことを聞かないと信じられません。
小さい頃から中国人としてのプライドと誇りが高いですから。もともとは中国人である原口さんが、我々の民族に客観的に評する事ができるのに感心します。
私の高中時代の友だちがフランスに留学しています。今年の夏休みに彼女は一時帰国しました。彼女は留学してから初めて中国人の素質が悪いと分かったと話しました。
飛行機の中で、ずっと騒いでいる乗客は中国人だと言いました。フランス人はあまり中国人のことが好きではありません。彼女自身も不愉快なことを経験しました。しつけがよい彼女がフランス人と話したとき、相手は「あなたは日本人ですか。」と聞きました。「いいえ、私は中国人です。」と彼女が答えました。相手は、しばらく彼女を見て何も言わずに離れました。フランスの人たちは日本人を除いて他のアジア人が好きではないと、彼女はそう言いました。その情報を聞いたとき、私もビックリしました。心が何か傷つけられたようでした。
確かに近年中国経済はめざましく発展しています。しかし、経済の発展と共に中国の精神文明も同じスピードで発展しているとは言えません。今の中国は二十年、三十年前の日本と同じようです。多分五十年前の日本だったかも知れません。
タナカ先生はこの間、私たちに学校の問題についてレポートを書かせて、うちのクラスメートが一番関心が多かったのは環境問題でした。それに対して先生がいくつかの対策を出しました。彼女は私たちに過去の日本のことを紹介しました。その時私はとても恥ずかしく思いました。なぜかというと、十五年ほども教育を受けた私たち大学生は、環境意識がわりにありませんでした。いつも社会文明が発達している先進国のことが羨ましいと感嘆するばかりで、自分自身の不足を改善するつもりは全然ありません。これは大学生の問題だけでなく、全ての中国人の問題です。これから我々中国人が自分の認識を高めなければなりません。そうしないと…。
先日私は友だちから航空便をもらいました。中身は日本のインスタント食品です。私はお菓子を食べたとき、ちゃんとその包装をみてみました。包装にはとても詳しい情報が書かれています。初めて「お客様が神様だ」と感じました。近年、中国のビジネスもこのスローガンを唱えています。しかし、サービスはやはりちょっと…。
といっても、中国のビジネスを批判しすぎることはできないと思います。中国経済がものすごい勢いで発展していることは事実です。ところが、今日の中国の市場経済は欧米のように十分に発達してはいません。問題が出るのは避けられません。
原口さんがおっしゃったように、私たちは中国の将来に責任を持つ世代です。
これからはよくがんばらなければなりません。『為中国(山屈)起而読書。」何十年か前、周恩来はそう言いました。今の私は中国の誇りのために勉強しています。
それでは、今日はここまで。お体をお大事に。
南昌 黄○○ 拝
ここ数日、彼らの手紙文を読み、心が波立っている。もう少し、みなさんもおつきあいください。明日に続く…。
しかし、現在の日中関係はそのような言葉でお茶を濁すには、ギスギスし過ぎている。日本人で中国好きな人は10%未満だとか聞こえてくる。日本語学科の学生達が、日々、日本語を学びながら心中穏やかではないのも当然だ。
日本では、逆に中国人全員が(日本人なんか死ねばいいのに。)と思っているかのように伝わっているのではないだろうか。
その意味では、この大学生達の生の言葉は、貴重だ。今回は気合いを入れてたくさんの学生の声を日本の皆さんに届けたいと思う。内容は昨日の続きで、日本暮らし20年になる中国東北地方出身の女性(原口さん:仮称)の手紙に対する返事だ。
(陳 ○○)
原口さん、こんにちは。
私たちは原口さんの手紙をいただいた後、南昌の初雪を迎えました。日本も寒くなるでしょう。わざわざ私たちのためにお手紙を下さってどうもありがとうございました。
原口さんの手紙を通じて、私はいろいろ勉強になりました。原口さんがおっしゃったとおり、中国、あるいは中国人はいくつかの欠点があります。最近、私は日本語に訳された「醜い中国人」という本を読んでいます。著者柏楊さんは、中国人のある醜さを深刻に、厳しく指摘していた。私は読みながら驚きつつ共鳴があります。原口さんはもともと中国人です。今は日本で生活しているので、中日間の比較はよくできます。私は今、大学生としても、中国に存在する欠陥を痛感しています。
ところが、私はちょっと話したいことがあります。確かに以前、中国は日本に対してマイナスの宣伝がありました。これは政治にも関係があるでしょう。日本は、中国を侵略し無残なことをしていた。原口さんは、以前東北人としてよく知っているはずです。もし、日本がドイツのように、自国の犯した罪を深刻に認めれば、中日の交流は一層発展できると思います。
今の中国では、日本へのマイナスの宣伝が少なくなった一方、日本では中国に関わる宣伝はどうですか。
確かに日本は、今の中国より優れたところが多いです。日本製品の品質、日本企業の管理技術、そして日本人の几帳面さ……。中国はいろいろ日本に学ばなければならないことが山ほど持っています。
しかし、今中国は発展途上国です。中国は真っ暗な歴史があります。様々な原因で今の中国はまだ幼いです。でも必ず数年後、でなければ数十年後、中国は私たちの本当の誇りになります。原口さん同様、私たちも確信しています。
私は日本に関心を持っています。原口さんがおっしゃった仕事に対する責任感、意欲、几帳面さは本当に貴重で、不可欠なものだとおもっています。原田さんのお手紙を拝見した後、私は自身の責任感が以前より強くなりました。これから私は必ず自覚を持って、自分の国の発展に心を込めて努力します。
原口さんはもしご都合がよろしければ、是非中国にいらっしゃって観光してください。その時、私たちがご案内いたします。
(○ 穎子)
原口さんこんにちは。
私は○穎子と申します。日本語学科の三年生ですが、日本語はまだまだです。自分が自分の言いたいことを正確に日本語で表すことができるか自信がないので、今ちょっと緊張しています。
あなたの手紙を読んだあと、私はいろいろ考えています。まさかあなたと中国がそんなに深い関係にあるとは思わなかった。あなたの経験は私より多く、私はもっと聞きたいです。
この頃中日関係は、ちょっと微妙な時期です。我々日本語学科の学生についても、もっと厳しくなるかも知れません。私は日本国民は優秀で、特にものごとに対する真面目さは、必ず学ぶべきだと思っています。中日関係の明るい明日を待っています。
(黄 ○○)
原口さん、今晩は。
私は黄○○と申します。作文の授業で先生が原口さんからの手紙を読んでくれたから、何か悲しい気持ちが胸に溢れてきました。この気持ちを日本語でどう表したらいいかよく分かりません。
二十歳の私は、今、日本語学科の三年生で、今までたいしたことはやって来なくて、ただ学校で自分の専攻を勉強しています。お金がないせいで、外国へ行ったことはもちろん、国内での旅行もほとんどありません。外国人は一体我々中国人にどんな考えを持っているのかがよく分かりません。インターネットでいつも中国人のマイナス面についての記事は探せますが、やはり自分の耳でそのことを聞かないと信じられません。
小さい頃から中国人としてのプライドと誇りが高いですから。もともとは中国人である原口さんが、我々の民族に客観的に評する事ができるのに感心します。
私の高中時代の友だちがフランスに留学しています。今年の夏休みに彼女は一時帰国しました。彼女は留学してから初めて中国人の素質が悪いと分かったと話しました。
飛行機の中で、ずっと騒いでいる乗客は中国人だと言いました。フランス人はあまり中国人のことが好きではありません。彼女自身も不愉快なことを経験しました。しつけがよい彼女がフランス人と話したとき、相手は「あなたは日本人ですか。」と聞きました。「いいえ、私は中国人です。」と彼女が答えました。相手は、しばらく彼女を見て何も言わずに離れました。フランスの人たちは日本人を除いて他のアジア人が好きではないと、彼女はそう言いました。その情報を聞いたとき、私もビックリしました。心が何か傷つけられたようでした。
確かに近年中国経済はめざましく発展しています。しかし、経済の発展と共に中国の精神文明も同じスピードで発展しているとは言えません。今の中国は二十年、三十年前の日本と同じようです。多分五十年前の日本だったかも知れません。
タナカ先生はこの間、私たちに学校の問題についてレポートを書かせて、うちのクラスメートが一番関心が多かったのは環境問題でした。それに対して先生がいくつかの対策を出しました。彼女は私たちに過去の日本のことを紹介しました。その時私はとても恥ずかしく思いました。なぜかというと、十五年ほども教育を受けた私たち大学生は、環境意識がわりにありませんでした。いつも社会文明が発達している先進国のことが羨ましいと感嘆するばかりで、自分自身の不足を改善するつもりは全然ありません。これは大学生の問題だけでなく、全ての中国人の問題です。これから我々中国人が自分の認識を高めなければなりません。そうしないと…。
先日私は友だちから航空便をもらいました。中身は日本のインスタント食品です。私はお菓子を食べたとき、ちゃんとその包装をみてみました。包装にはとても詳しい情報が書かれています。初めて「お客様が神様だ」と感じました。近年、中国のビジネスもこのスローガンを唱えています。しかし、サービスはやはりちょっと…。
といっても、中国のビジネスを批判しすぎることはできないと思います。中国経済がものすごい勢いで発展していることは事実です。ところが、今日の中国の市場経済は欧米のように十分に発達してはいません。問題が出るのは避けられません。
原口さんがおっしゃったように、私たちは中国の将来に責任を持つ世代です。
これからはよくがんばらなければなりません。『為中国(山屈)起而読書。」何十年か前、周恩来はそう言いました。今の私は中国の誇りのために勉強しています。
それでは、今日はここまで。お体をお大事に。
南昌 黄○○ 拝
ここ数日、彼らの手紙文を読み、心が波立っている。もう少し、みなさんもおつきあいください。明日に続く…。