中国の大学生から、安倍首相への手紙(三通)
その一
湖北大学日本語学部四年生
第8回中国人の日本語作文コンクール最優秀賞受賞者
李欣晨
安倍首相:
私は中国一人の大学生です。大学に入ってから、日本語を専門に学び続
けて、昨年が既に四年生になりました。
四年生になると、同級生の皆は、進学と就職の問題について、さんざん
迷っています。
日本へ留学したい学生も多くいますが、そういう時期に、日中両国は、
尖閣諸島の領土帰属問題を巡り、お互いに一歩を譲りませんでした。矛
盾の深化に伴う両国関係が、ずっと冷え込んだままです。
そのせいで、政治領域だけではなく、民間文化交流、企業経済活動など
の分野にも影響を受けて、後退の傾向を呈している。特に日本留学を夢
に頑張っている学生は、日中関係悪化の影響で、自分の家族や親友の反
対により、夢を叶える機会を諦めてしまいました。
私の同級生の一人は、「一生君を養っても、日本に留学させない」とお
母さんに言われ、残念でなりませんでしたが、日本留学の夢を諦めてし
まいました。私自分でも、最初は留学に行きたいでしたが、両親に反対
されて、一応中国大学院の試験を受けました。
しかし、日本僑報社により主催された「第八回中国人の日本語作文コン
クール」最優秀賞である日本大使賞受賞の副賞として、今年の1月日本
へ参観に行きました。
そして、中日両国民は、直接の接触もないのに、観念中すでに醜悪化さ
れている相手と戦い、過激な行動でお互いに傷つけているのが何の意味
もないことを、この旅を通じてしみじみ感じてきました。
それで、日本から帰ってきた後、周囲の人々に自分の見聞を話しました。
日本への先入観を取り除くために、微力ながら、自分なりの力を尽くし
たいです。
これまで暖かい感情で繋ぎとめられていた日中友好関係は、いきなり冷
え込んでいることは、すべて日中の永久友好を祈る人にとって、大きな
ショックです。
日中両国は、隣国で同じく東アジア地域に属し、交流往来が長く続いて
いる。その友好関係は、アジア・太平洋地域に限られず、全世界の平和
発展に及ぶ影響力を持っているので、どうか両国の平和と共同発展を祈
る人の夢に、願が叶える翼をつけておくために、日中両国の未来を明る
い道にお導きください。
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その二
国際関係学院日本語学部四年生
第7回中国人の日本語作文コンクール最優秀賞受賞者
胡万程
大学一年の時、高橋さんという留学生と週に一度、相互学習を始めた。
しかし、1ヶ月たっても学習言語は上達せず、親しくもなれなかった。
僕たちは初級だったが、相互学習の間、僕は習いたての日本語を、高橋
さんはたどたどしい中国語を話し続けた。二人とも本当は相手から生の
母語が聞きたかった。しかし、生の母語を聞けず、楽しいはずの相互学
習は、自分の能力を高めるためだけの『戦いの時間』のようだった。
僕は清華大学の笈川先生に相談し、アドバイスをもらった。「二人とも
自分の利益ばかり考えすぎ、勉強じゃなくて、山登りなどに行ってみた
ら」
僕は半信半疑だったが、アドバイスに従い、高橋さんを香山へ誘った。
すると、二人は母語で話しをし、互いに相手を思いやりながら登山でき
た。それがきっかけで、私と高橋さんは、相手を大事にするようになり、
その後の相互学習もうまくいった。自分の利益より相手の利益を優先し、
双方が利益を得る、つまりウィンウィンの関係になれたわけだ。
これは僕の個人的な体験であるが、中日の絆にも適応できると考える。
無論、国家同士の絆ともなると、個人の関係ほど簡単ではない。しかし、
原則は同じではないだろうか。
中日国交正常化から41年、この間、中日は関係を深めてきた。現在、
日本の最大貿易国は中国であり、日本人の最多渡航先も中国だ。また、
2007年、在日外国人中、中国人は一位、全体の32%を占める。しかし、
日本人の中国に対する認識は、1978年から続く「外交に関する世論調
査」では最悪の状況にある。2006年外務省の「日中関係に関する世論
調査」では、日中関係は良好ではないという人が66.7%、良好と言う
人はわずか6.9%だ。
歴史問題と領土問題が日中間の外交・友好関係の最大の壁と言える。
外交の基本原則は自国の国益を守ること。しかし、自国の国益だけ
を追って、双方の国益を損なう結果になっていまいか。領土問題な
ど、即刻解決が困難な問題は、双方、暫時、静観するという方法は
とれないか。周恩来も「求同存異」を提唱している。
領土がどちらのものかを争う前に、お互いがその領土の資源を最大
限に利用する協力体制を模索する。歴史問題は忘れないが、まず民
間交流を図る。そのようなウインウインの関係を考えること、それ
こそ、中日の絆の出発点ではないだろうか。
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その三
国際関係学院日本語学部四年生
第7回中国人の日本語作文コンクール三等賞受賞者
欧陽文俊
安倍 晋三 さま
はじめまして、中国北京で日本語を専攻としている欧陽文俊です。突然
で不躾だとは思っておりますが、どうしても伝えたいことがあるので、
拙文を読んでいただければ幸いです。
去年の五月に中国大学生訪日団の一員として日本へ行ったことがありま
す。印象に残ったことの一つは早稲田大学の学生たちと将来の夢を話し
合ったことです。中日両国の大学生の夢を聞いて気付いたのは、国が違
っても、立場が違っても、生い立ちがそれぞれであっても、両国大学生
の夢はあまり違いはないということです。つまり、立身出世、穏やかで
幸せな生活を送っていきたいというのは夢の共通点といってもいいでし
ょう。もう一つ気付いたのは言語が通じないとしても(訪日団にはまっ
たく日本語ができない中国学生もいるので、英語で話し合ったグループ
もあった)、ちゃんと自分の本音を伝えようとすれば、必ずや話し合い、
理解し合うことができるということです。
人間は自分の立場からしか物事を考えることができないので、自己中心
主義を貫く癖があると言ってもいいでしょう。しかし、自分の考えを主
張しすぎると、他人との「和」を忘れ、人間関係を壊してしまうのは空
しいことです。考えれみれば、国と国との関係は人間関係と同じもので
しょう。魚釣り島であれ、尖閣諸島であれ、民族主義に任せないで、落
ち着いて話し合おうとしてこそ、利益の共通点が見えてくるでしょう。
また、利益点や文化が同じでなくても、国家レベルの会談、草の根の交
流を始め、あらゆる手段を尽くして話し合おうとするこそ、お互いに理
解し合うことができます。偉そうなことを書いてしまったようだが、た
だ自分の経験から考えたことです。
私はただ一人の大学生としては、中日関係の改善に力が小さいことがわ
かっています。それでも、今でも日本への留学を準備しております。日
本でもっと知識を見に付きたいだけではなく、自分の目で見た日本、体
験した日本を丸ごとに友達や家族に教えたい、より多くの日本人と友達
になりたいと思っているからです。自分の力が微小だとは知っているが、
自分なりに頑張っていこうと思っております。中日関係を改善すること
には安倍首相が一番有力ではないでしょうか。中日両国が各レベルでち
ゃんと話し合う未来へ導いてほしいです。
中日両国代々の平和と友好をお祈りいたします。
※この三通の手紙は、コンクール主催者、日本僑報社より転送したもの
です。
連絡先
171-0021東京都豊島区西池袋3-17-15 日本僑報社・日中交流研究所
担当者
段躍中(日中交流研究所長)
TEL 03-5956-2808 FAX 03-5956-2809
info@duan.jp
その一
湖北大学日本語学部四年生
第8回中国人の日本語作文コンクール最優秀賞受賞者
李欣晨
安倍首相:
私は中国一人の大学生です。大学に入ってから、日本語を専門に学び続
けて、昨年が既に四年生になりました。
四年生になると、同級生の皆は、進学と就職の問題について、さんざん
迷っています。
日本へ留学したい学生も多くいますが、そういう時期に、日中両国は、
尖閣諸島の領土帰属問題を巡り、お互いに一歩を譲りませんでした。矛
盾の深化に伴う両国関係が、ずっと冷え込んだままです。
そのせいで、政治領域だけではなく、民間文化交流、企業経済活動など
の分野にも影響を受けて、後退の傾向を呈している。特に日本留学を夢
に頑張っている学生は、日中関係悪化の影響で、自分の家族や親友の反
対により、夢を叶える機会を諦めてしまいました。
私の同級生の一人は、「一生君を養っても、日本に留学させない」とお
母さんに言われ、残念でなりませんでしたが、日本留学の夢を諦めてし
まいました。私自分でも、最初は留学に行きたいでしたが、両親に反対
されて、一応中国大学院の試験を受けました。
しかし、日本僑報社により主催された「第八回中国人の日本語作文コン
クール」最優秀賞である日本大使賞受賞の副賞として、今年の1月日本
へ参観に行きました。
そして、中日両国民は、直接の接触もないのに、観念中すでに醜悪化さ
れている相手と戦い、過激な行動でお互いに傷つけているのが何の意味
もないことを、この旅を通じてしみじみ感じてきました。
それで、日本から帰ってきた後、周囲の人々に自分の見聞を話しました。
日本への先入観を取り除くために、微力ながら、自分なりの力を尽くし
たいです。
これまで暖かい感情で繋ぎとめられていた日中友好関係は、いきなり冷
え込んでいることは、すべて日中の永久友好を祈る人にとって、大きな
ショックです。
日中両国は、隣国で同じく東アジア地域に属し、交流往来が長く続いて
いる。その友好関係は、アジア・太平洋地域に限られず、全世界の平和
発展に及ぶ影響力を持っているので、どうか両国の平和と共同発展を祈
る人の夢に、願が叶える翼をつけておくために、日中両国の未来を明る
い道にお導きください。
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その二
国際関係学院日本語学部四年生
第7回中国人の日本語作文コンクール最優秀賞受賞者
胡万程
大学一年の時、高橋さんという留学生と週に一度、相互学習を始めた。
しかし、1ヶ月たっても学習言語は上達せず、親しくもなれなかった。
僕たちは初級だったが、相互学習の間、僕は習いたての日本語を、高橋
さんはたどたどしい中国語を話し続けた。二人とも本当は相手から生の
母語が聞きたかった。しかし、生の母語を聞けず、楽しいはずの相互学
習は、自分の能力を高めるためだけの『戦いの時間』のようだった。
僕は清華大学の笈川先生に相談し、アドバイスをもらった。「二人とも
自分の利益ばかり考えすぎ、勉強じゃなくて、山登りなどに行ってみた
ら」
僕は半信半疑だったが、アドバイスに従い、高橋さんを香山へ誘った。
すると、二人は母語で話しをし、互いに相手を思いやりながら登山でき
た。それがきっかけで、私と高橋さんは、相手を大事にするようになり、
その後の相互学習もうまくいった。自分の利益より相手の利益を優先し、
双方が利益を得る、つまりウィンウィンの関係になれたわけだ。
これは僕の個人的な体験であるが、中日の絆にも適応できると考える。
無論、国家同士の絆ともなると、個人の関係ほど簡単ではない。しかし、
原則は同じではないだろうか。
中日国交正常化から41年、この間、中日は関係を深めてきた。現在、
日本の最大貿易国は中国であり、日本人の最多渡航先も中国だ。また、
2007年、在日外国人中、中国人は一位、全体の32%を占める。しかし、
日本人の中国に対する認識は、1978年から続く「外交に関する世論調
査」では最悪の状況にある。2006年外務省の「日中関係に関する世論
調査」では、日中関係は良好ではないという人が66.7%、良好と言う
人はわずか6.9%だ。
歴史問題と領土問題が日中間の外交・友好関係の最大の壁と言える。
外交の基本原則は自国の国益を守ること。しかし、自国の国益だけ
を追って、双方の国益を損なう結果になっていまいか。領土問題な
ど、即刻解決が困難な問題は、双方、暫時、静観するという方法は
とれないか。周恩来も「求同存異」を提唱している。
領土がどちらのものかを争う前に、お互いがその領土の資源を最大
限に利用する協力体制を模索する。歴史問題は忘れないが、まず民
間交流を図る。そのようなウインウインの関係を考えること、それ
こそ、中日の絆の出発点ではないだろうか。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
その三
国際関係学院日本語学部四年生
第7回中国人の日本語作文コンクール三等賞受賞者
欧陽文俊
安倍 晋三 さま
はじめまして、中国北京で日本語を専攻としている欧陽文俊です。突然
で不躾だとは思っておりますが、どうしても伝えたいことがあるので、
拙文を読んでいただければ幸いです。
去年の五月に中国大学生訪日団の一員として日本へ行ったことがありま
す。印象に残ったことの一つは早稲田大学の学生たちと将来の夢を話し
合ったことです。中日両国の大学生の夢を聞いて気付いたのは、国が違
っても、立場が違っても、生い立ちがそれぞれであっても、両国大学生
の夢はあまり違いはないということです。つまり、立身出世、穏やかで
幸せな生活を送っていきたいというのは夢の共通点といってもいいでし
ょう。もう一つ気付いたのは言語が通じないとしても(訪日団にはまっ
たく日本語ができない中国学生もいるので、英語で話し合ったグループ
もあった)、ちゃんと自分の本音を伝えようとすれば、必ずや話し合い、
理解し合うことができるということです。
人間は自分の立場からしか物事を考えることができないので、自己中心
主義を貫く癖があると言ってもいいでしょう。しかし、自分の考えを主
張しすぎると、他人との「和」を忘れ、人間関係を壊してしまうのは空
しいことです。考えれみれば、国と国との関係は人間関係と同じもので
しょう。魚釣り島であれ、尖閣諸島であれ、民族主義に任せないで、落
ち着いて話し合おうとしてこそ、利益の共通点が見えてくるでしょう。
また、利益点や文化が同じでなくても、国家レベルの会談、草の根の交
流を始め、あらゆる手段を尽くして話し合おうとするこそ、お互いに理
解し合うことができます。偉そうなことを書いてしまったようだが、た
だ自分の経験から考えたことです。
私はただ一人の大学生としては、中日関係の改善に力が小さいことがわ
かっています。それでも、今でも日本への留学を準備しております。日
本でもっと知識を見に付きたいだけではなく、自分の目で見た日本、体
験した日本を丸ごとに友達や家族に教えたい、より多くの日本人と友達
になりたいと思っているからです。自分の力が微小だとは知っているが、
自分なりに頑張っていこうと思っております。中日関係を改善すること
には安倍首相が一番有力ではないでしょうか。中日両国が各レベルでち
ゃんと話し合う未来へ導いてほしいです。
中日両国代々の平和と友好をお祈りいたします。
※この三通の手紙は、コンクール主催者、日本僑報社より転送したもの
です。
連絡先
171-0021東京都豊島区西池袋3-17-15 日本僑報社・日中交流研究所
担当者
段躍中(日中交流研究所長)
TEL 03-5956-2808 FAX 03-5956-2809
info@duan.jp