毎日がちょっとぼうけん

日本に戻り、晴耕雨読の日々を綴ります

「訪日中国人が爆外以外にできること:作文」No.1764

2016-10-06 21:16:59 | 中国事情

 

一昨日のキャンパスは秋晴れの気持ちのいい日でした。

家にも帰らず、旅行にも出かけなかった学生たちは、

わらわらと寮の部屋から寝具を持ち出し、

偉人の像などに被せて干していましたよ。

こういうことは日本ではあまり見られないでしょうね。

花と蝶。

ダリアが咲いていました。北海道を思い出します。

 

さて、3月・4月・5月と、

私は鬼のように学生たちに作文を書き続けさせていたのですが、

それは「中国人の日本語作文コンクール」に応募するというのが目標の一つでした。

何故そんなことを目標に?と疑問に思われるでしょうが、

ここでは説明を省きます(いろいろあるんです💦)。

その中で、佳作に一人、三位以内(詳しい順位は未定)に一人、入選しました。

三位以内に入ると、日本僑報社から出版される本に載せてもらえます。

佳作は残念ながら名前だけしか載りません。

そういうわけで、佳作の作文をここに紹介することはコンクール事務局でも

許してくれると思います。

課題テーマの一つが「訪日中国人が爆外以外にできること」でした。

今年の国慶節は昨年のような現象はなかったようですが、

この作文に書かれているような方向に向かっているのでしょうか。

 

―――于蕾(応募当時三年生、現四年生)「交流の花を咲かせ続けよう」―――

 「お客様、すいません。この商品はもう一つしかないんです。」

「ダメだ。私は10個ほしい。これが欲しくて日本に来たんだ。」

「私は二時間も行列したんだぞ。」

激しい怒号が店内に飛び交う……。いったい、こんな外国旅行に何の意味があるだろう。

 

 私だって、日本に行ってみたい。大学で日本語の勉強を始めて以来、ずっと日本に興味を持っている。(日本の空は青く澄み、山は美しい、食べ物は美味しく、人々は優しい。そして、日本の品物は紛い物じゃない。日本へ行って、浴衣を着て、花火を見たい……)。

そう思ってきた。でも、「爆買い」が話題になるにつれ、私は今、改めて日本に旅行する意味を探している。

「旅行の魅力は、忙しい毎日から抜け出して非日常を味わうことじゃない?」

友人はそう言う。

 大学に入った後、夜空に星が輝くのを一度も見たことがない。ここ菏澤市では、みんな深刻な大気汚染の中で暮らしている。夜どころか、昼間も濁った空気のせいで、10m先が見えない日もある。マスク着用の人も多い。何も知らずにマスクをしないで歩いている子どもを見ると、心も痛い。なぜ私たちの生活はこうなってしまったのだろう。

ある時、ネットで偶然、石垣島の星空を見た。国立天文台から見上げた空には、透明な空気を通して、無数の星たちが燦然と輝いていた。いつになったら私の町でもこんな星空が見られるのだろう。

「行きたいなあ!」

ため息が出た。


 星空とともに私が心惹かれるのは、橋だ。川に隔てられた向こうとこちらを繋ぐ美しい橋は、人々の交流の要にもなる。

江島大橋の写真を見た時の衝撃は忘れられない。

「どうやってこんな橋を作ったの?天才?!」

思わず叫んでしまった。江島大橋は、島根県の江島と鳥取県を繋ぐ長い橋だが、すごいのは長さより高さだ。まるで空に浮かぶ虹の架け橋だ。  

「あまり坂が急すぎるので、この橋を渡る自動車はアクセルを踏みっぱなしにする。」という記事を読んで、(「橋を渡る」というより「橋を登る」だな)と、おかしかった。

後で、この橋のある江島は牡丹栽培が盛んな所だと知って本当に驚いた。私が住んでいる菏澤市も中国の牡丹栽培の一大中心地なのだ。 四月中旬には、赤やピンク以外にも、黒や青、紫などの香しい花が咲き誇り、国際牡丹博覧会には外国人も訪れる。牡丹の栽培で江島と菏澤の人たちが交流できれば、この橋は確実に、中国人と日本人を繋ぐ橋になるだろう。思っただけでワクワクする。

 

 新野公介さんのことはご存知だろうか。新野さんは現在、清華大学の留学生だが、自分が日本や中国の食べ物を食べる様子を、中国の動画サイトに投稿し続けている。時には日本料理を実演して作り方を紹介することもある。

「人が食べる姿を見て何が面白いんだ?」

疑問に思う人もいるだろう。しかし、彼が配信する動画の作品回数は10万回にのぼり、中国版ユーチューブに当たるYOUKUのトップページで紹介されるほどの人気なのだ。

私が感動したのは彼の話だ。

「動画の配信は交流のきっかけに過ぎない。当然、私が日本を代表しているわけではないが、私という一人の日本人にも触れてもらうことで、日本への理解を少しでも豊かに、多岐に渡るものにしてもらいたい。反対に、中国の美しさ、中国の良さを、活動を通じて吸収し、日本人に伝えていきたい。」

と新野さんは語った。もし私たちが日本を訪れるときに、新野さんと同じ考えで行動すれば、中国と日本の交流はもっと前向きに進むだろう。

 

 旅行の価値は決して買い物だけではない。日本を訪れ、日本人と心と心の交流ができたら、それこそ最高だ。互いに相手の文化に尊敬を払って交流し、学び合うのだ。その中で、自分たちの習慣やマナーをも振り返って見直すことができるだろう。

 牡丹の花が毎年、毎年、咲くように、中日の人々の交流の花がずっと咲き続けることを願う。

 

 

コメント
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