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額縁フェティシズム




額縁が大好きなのである。



もちろん本当はアートが好きなのだ。そしてアートが主役なわけだが、わたくしども庶民の家庭においてはアート自体は贅沢品であるからして、脇役の額縁の方を積極的に楽しむのである。


夫もかなりの額縁好きで、何でもかんでも額装したがり、阻止するのが大変だ。
例えばわたしは油絵だけはキャンバスむき出しで飾りたいのに、時々彼は思い出したように額装屋に持って行こう持って行こうと唱える。



かく言うわたしも、パキスタンで買い求めて以来集めている布地に柄を染色するための木製スタンプや、古い袋帯を持ち込んだり、イレギュラーな形の額を頼んでは、額装屋のおやじさんに「これは初めてです。でもチェレンジ精神が湧いてきます。あなたはわたしのミューズです(笑)。」と言われるのだ。
えらいセコいミューズで申し訳なく思っている。

この額装屋とは10年以上のつきあいで、鏡を額に収めてもらった時、ブラッセルのあのブティックにあるあの額みたいなのが好みと言ったら、わざわざどんなものか見学に行ってくれた。熱心な職人である。うむ、憧れるわあ熟練職人。




わたしは常々調香とか絽刺とかあれもこれも学びたいと夢見ており、その夢リストの中には額装の技術習得という夢もある。
奥さんのカルチャースクールで作るようなファンシーな額ではなく、マイスター弟子関係で習得するような、ほらよくルーベンスが収められているような「これは寺か教会の門?」みたいな額...ああいうのを作って額装できるようになりたいなあ。
そこまでいくとすでに額装技術ではなくて額縁制作という他分野か。


何をするにでもこうやって身の程知らずにスケールの大きいことを妄想するものだから、夢はいつまでたっても夢のままなのか。

でもそれこそルーベンスが収められているような額は作っても中にいれるアートがない...

トロンプルイユな壁飾りにでもしよう。

夢を見るのは実現の始まり(笑)。







借景





写真全体で色を統一したかったので同じような色合いの絵と額縁だけを載せた、とは言え地味な家ですね...


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