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「ナショナル・ギャラリー 英国の至宝」




当ブログに何年もお付き合い下さっているAさんからメールが届いた。

「ナショナル・ギャラリー 英国の至宝」というドキュメンタリー映画が、17日から日本で公開されていることと、鑑賞をどれだけ楽しみにしておられるか教えて下さったのだ。

ええっそんなおもしろそうなのあったの? 全然知らなかった! とリンクを辿る。

「ロンドンの中心、トラファルガー広場にある世界最高峰の美術館、190年もの長い間、人々に愛されつづける秘密に迫る」という副題が、当館所有の名画と共にオフィシャルサイトを飾っている。

フィレンツエのウフィツィは1769年、パリのルーブル1793年、マドリッドのプラド1819年と、どこもゆうに200年以上の歴史があるので、ロンドンのナショナル・ギャラリー1824年は比較的後発の美術館だ。だから長い歴史を誇るより、他が王侯のコレクションを元にしている一方で、ナショナル・ギャラリーは個人のコレクションを国が買い取り、国民の啓蒙を目指して設立されたことが新しく、特別なのだと言えると思う。


わくわくしながらトレイラーのセリフを追うと

「ベラスケス ピサロ ルーベンス
ピカソ ホルバイン スタッブス
ベリーニ レオナルド ティツイアーノ
ターナー レンブラント カラヴァッジオ
ミケランジャロ プサン フェルメール
ダ・ヴィンチ」

「全ては”見ること”と”考えること”。絵とあなたの関係性を見つけてほしい」
「音楽 映画 哲学 科学 そして人生...あなたが興味あることはすべてアートの中にある」

この短い映像を見ているだけで心が躍る。
有名な作品の紹介だけでなく、ロイヤル・バレエのダンサー(エドワード・ワトソンら)が絵画を前に踊る場面も含まれているし、しかも裏方の仕事もたっぷり見られるみたいで...明日履歴書を持って美術館に走ってしまうかも!


厚かましいにもほどがあるが、わたしだったらこのトレイラーにこんなセリフをつけるだろう。
「世界にはたったひとつの真理があるのかもしれない。しかし人間には、たとえどんなに優れた芸術家であってもその一面しか現わすことができない。たったひとつの真実を現わすために今までこれほどの才能が必要で、今後もさらに多くの才能を必要とするとしたら...美術館はまぎれもなく世界の真理の一部である。今後も美術館を保護して行こう」

とか、

「世界に対するこのような見方、解釈、表現方がある! あなたが思いもよらないような方法が!」

とか。



わたし自身は映画を見ていないのだが、期待を込めて、「おすすめのもの」にカテゴリーした。

ご興味ある方はぜひ!
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サリー丘陵冬景色








大寒。

今朝はロンドンから南部に位置するサリー州も今年一番の寒さ(昨夜の最低気温はマイナス2度)、
どこもかしこも霜に包まれ、とてつもなく美しい朝となった。

わたしは人に会うため早朝からシェア(Shere)という小さな村へ。

六甲山か摩耶山を走っているような気分になる
この辺りのドライブが大好きだ。

「サリー丘陵の谷間は、薄衣をまとった女神がうたた寝している姿」
と前にもクサいことを書いたが、

霜が降りて白く輝き、ところどころに霧がかかる谷間は、
わたしのような平凡な人間さえも詩人もどきにさせるのだった。


そして花より団子、
これから朝ご飯!


(写真はお気の毒なことに、道の凍結のためにひっくりかえってしまった車の
事故処理が終わるのを待つ、20分ほどの間に撮った。
どなたにも怪我はなかったようでよかった)
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月曜日嫌い








アフタヌーンティーを注文して、出発を一分先にでも延ばそうと無駄な努力中。
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パリで習ったうまいもん




パリに行った話をすると、必ず「どこで何を食べた?」と聞かれる。
このブログ上でもそうだ。
もちろんわたしもそこを一番か二番に語りたいので大歓迎だ。
「パリといえばうまいもの」、この公式は(特に英国住まいにとっては)絶対なのだ。

店名を載せるだけでは芸がないし、またすでに多くの人が紹介推薦している店だと思うので、今回はそこで教えてもらった料理のヒントをご紹介したい。
パリの超贔屓のレストランのひとつ「TOYO」さん! 和とフレンチの組み合わせのバランスの良さ。お店の清潔な雰囲気もほんとうに素敵。

先日、自宅でこの料理を完成したときにはご機嫌が過ぎて写真を撮るなぞ思いもしなかったので、写真はない。次回は必ず。


まずは魚介ベースのカレー。
とよさんは「ブイヤベースで」とおっしゃったが、最近、街の魚屋で超立派な海老が手に入ったので調理後冷凍しておいたその殻、にんじん、タマネギ、セロリでスープを適当にとり(アメリケーヌ・ソースのプロセス)、フードプロセッサーにかけ、濾し、そこに市販のルウを加えて小エビだけのカレーにした。
このカレーを作るだけのために高い海老を「殻のために」買っても惜しくないくらい、もうほんとうにおいしいの! 


次は鴨の炊き込み御飯、トリュフのせ。
鴨の丸焼きをした後に残るガラ(肉を好みの分量適当に残しておく)を熱湯でさっと洗い、研いで普通の水加減をした米の上にのせ、酒か白ワイン少々、塩を加え、ストウブ等の鍋で炊く。
炊きあがったら骨に残っている肉をほぐしてご飯に混ぜ込み、黒トリュフをガリガリ削って頂く!
想像しただけでも、おいしい時に出る何かが分泌されませんか...

トリュフがなければ、トリュフ塩とトリュフ・オイルだけでもかなりおいしい。
おむすびにしても最っ高。
(トリュフ塩で普通の白いご飯を結んでもおいしい)


もちろん「TOYO」で、とよさんにお世話をしてもらいながらお話を伺いつつ頂く方が比べ物にならないほどおいしいのだが、英国の家庭でもここまで美味しいものが食べられる...


ほんとーうに2014年下半期レシピで一番おすすめなのでぜひ試してみて下さい。
わたしがクックパッドのメンバーなら絶対に自身を持って載せます!


TOYO
17 Rue Jules Chaplain, 75006 Paris


あともう一件、パリで必ず行くのは「國虎」さん。
そう、パリでは和食に行きたくなる。日本に帰れなくてもパリでいいかーとさえ思ってしまう。

國虎
5 Rue Villedo, 75001 Paris

日本人シェフのおられるお店は和食店でなくてもパリにとても多いが、やっぱり最高ですな。



唯一写真(右)があったのでこの店もついでに。
L'Avant-Comptoir
3 Carrefour de l'Odéon, 75006 Paris
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影が踊る -「白鳥の湖」




ヴァシリエフ(Ivan Vasiliev)がジークフリード王子を踊る...しかもコジョカル(Alina Cojocaru)と...

これはすんばらしいカップルの誕生になるか、それとも。

とにかく見たい、見たい、早く見たいと楽しみにしていたイングリッシュ・ナショナル・バレエの「白鳥の湖」だった。

去年の夏にヴァシリエフがナタリア・オシポヴァ(Natalia Osipova)とSolo for Twoを踊った時は、あの彼が全く飛ばなかったので、今度はあのジャンプを見るのも興...というのもあった。


まず、コジョカル、最高のバレリーナだ。
音楽性あり、正確であり、丁寧、「え? 今、何した?」と観客を惑わすような技術あり、優美優美...

欲を言えば、オデットが王子に一目惚れで深い恋に落ちたようには見えなかったのが残念。あ、相手が悪い(笑)?

年末の「くるみ割り人形」では彼女の踊りを心ゆくまで堪能できなかった(クララの踊りがあまり多くないことと、彼女の次元だけがひとり他と違う孤高感で)ので、余計に酔わされた。
3幕目、オディールを演じている場面で、女官役が貧血かなにかで舞台上でひっそり倒れたのさえ、オディールの魔力が指先からつま先から漂うせいではないのか、と思わされるほどだった。


ヴァシリエフは...素晴らしいダンサーであるにしても、彼はジーグフリード王子の雰囲気ではないのかもしれない。しかしながらわたしが見たのは彼の正真正銘ジーグフリード・デビューの夜だったので、これから日が経つにつれて役を磨いていくかもしれない。そう思いたい。

3幕目でロットバルトに「(オディールに)永遠の愛を誓うか?」と質問されて頭をぶんぶん振って「はい、はい、そりゃもう誓います!」と確認するところなど、とても王子様には見えなかった、あれはバジル(ドン・キホーテ)ですぜ...


それでこの優れたダンサー二人がパ・ド・ドゥを踊るとどうなるかというと...

はい、お互い影と踊っているようだった。舞台が進行するにつれ、温まってきた感じは十分したが、それでもお互いがそこにはいない誰か他の人と踊っているような感じ。

あ、でも「白鳥の湖」の物語的にはそれでいいとは思う。「結婚しろとママにせっつかれているのに、僕、まだ誰とも付き合ったこともない...彼女がいないの、僕だけ...」と悩むジークフリードが見た幻としてのオデット。気が遠くなるほどの時間を、永遠の愛を誓ってくれる王子様だけを待ちながら生きてきたオデットの出会うジークフリード...切羽詰者同士、これが影同士の恋でなくて何なのだ? 「シャレード」ですな。もしもそこまで計算されていたのだとしたらすごいなあ(違うけど)。


この日からもう一週間以上が過ぎてしまったが、もう一度月末までに見に行くつもりなので初日感想を書き留めておく。

他にはCystal Costaという、つい近年、ローザンヌで入賞した男性ダンサーがよかった。


(写真はThe Gurdianより)
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