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Brugge Style
クルーズに行くわけではないが
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20世紀初頭ブームになった豪華な大型客船の旅(タイタニックやクイーン・メアリ号など)におけるモダンの幕開け、ファッションや調度品などを展示する。
今でも大型客船でのクルーズは欧州ではポピュラーだが、20世紀初頭の大型客船の旅にはあった何かが失われていると思う。
その何かがこの展覧会の全てだ。
わたしは過去に戻れるならこういう客船に乗ってみたいと思うが(この展覧会を見て思わない人はいないだろう!)、今の大型客船クルーズには全く興味がない。
......
一年前の今日2017年5月27日、「やっと夏らしくなったので、今夜はタグがついたまま放置してあったこれを着よう」とブログに書いていた。
2017年のRoland Mouretクルーズライン。そうだった、去年はピンクが流行ったのだった!
毎年恒例の今夜のイベント、去年は何を着たか思い出せずブログ内を検索したのだ。
じゃあ今年も...と、去年と同じブランドの同ラインの、今年明けに買ったがタグがついたままの服を取り出す(写真のドレス!)。
英国やベルギーの緯度ではクルーズラインが着られるのは5月下旬と帰納した。
2019年も買うなら参考にしよう。
わたしは新春に販売されるクルーズラインがとても好きだ。まだまだ真冬の時期、どこか遠くのクルーズに思いを馳せ心踊らせ、手を出さずにはいられない。
アパレル会社には、なんとかラインとか、なんとかコレクションとか、ちょっと特別な名称をつけて消費者を踊らせて売るという実業的な意思があるのかもしれないが、デザイナーもクルーズラインには特別ロマンティックな思いを抱いていると信じたい。じゃないとこんな素敵なライン、作れないと思う...
(「クルーズ」でゲシュタルト崩壊)
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パトロン初め
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わたしの「大人になったら絶対にやりたいことリスト」項目には70歳の誕生日にベートーベンのソナタを弾くとか、モロッコ建築リヤドに住むとか...
その中に「芸術パトロンになる」というのがある。
先日、念願叶ってスポンサーの末席を汚すことが決まった。
上写真のロンドン・コロシアムはイングリッシュ・ナショナル・バレエとイングリッシュ・ナショナル・オペラの本拠地だ。
今までは他にもロイヤル・オペラ・ハウスやナショナル・ギャラリーの一番格下のメンバーとしての協賛にとどまっていたのだが、一足飛びに大出世。星の巡り合わせってあるんですね...話はまるでわたしの意思など無視するかのように進んだ。
本格的なスポンサーになるなら、イングリッシュ・ナショナル・バレエの総監督で、尊敬するタマラ・ロホが常にチャリティをうったえている、実際経営が困難そうなイングリッシュ・ナショナル・バレエ関連を応援しようと決めていたのだ。
わたしは、バレエ、クラシック・ミュージック、絵画などのファイン・アートが3度の飯よりも好きだが、自分にはその方面の才能が全くない。せめてサロンのマダムとか、好事家として1ミリでも貢献したいと常々思っていた。パフォーマーだけではこのジャンルは生き残れない。熱心な観客や批評家も必要なのだ。
右手のしていることを左手に知らせるような真似はどうかと思うが、心からうれしい記念に記す。そういうブログなので!
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northern ballet, jane eyre
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Northern Balletの Jane Eyreを観た。
ブロンテの「ジェイン・エア」をバレエに?!
あの波乱万丈だが地味で暗くもどかしい、ハンサムな王子様も妖精も砂糖菓子もダイヤモンドもお城も無縁のあの話を?
...とても知的で洗練されていてよかった。
まず、運命に木っ端のように翻弄されながらも強くたくましく意思を持ってとことん生きる(あの時代の女性では考えられなかった)ジェインをどのように表現するかというとですね...
ヴィクトリア時代の生成り色ベスト姿の男性が5人、6人登場し、彼らは黒子であるとともに、運命、時間、物理的な障害そのものなのである(<わたしの解釈)! なんとすばらしいアイデアなのだろうか。どうやったら思いつくの...うーんと唸りましたよ。
彼ら黒子は時に背景を動かし、小道具を手渡し、ジェインが抵抗する力になり、風になり、障害物になり、時間の流れになり...すばらしかった。あれだけでも見る価値がある。
ノーザン・バレエは、オーウェルの「1984」が大変よかったので機会があれば観に行くようにしている。来年も楽しみだ。
(写真はnorthernballet.comから)
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ポジティブだから
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「モエさんはほんとうにポジティブだから、話をしていると元気になれるし明日もがんばろうと思える」
と言われてうれしかった。
「モエさんはほんとうに単純バカでうるさい」
って意味じゃないの?
とちょっと思ったが、いい方に考えることにしよう。
ポジティブだから(笑)。
なぜ自分が単純バカでうるさいのか反省してみた。
だって若い人に迷惑かけたくないじゃないですか...
異文化圏に長く住まい、価値観の異なる人に多く出会い、複数の言語を理解できるようになり、子育てなど人生経験を積み、他人と一緒(夫と娘)に住み、読書量が増え、知識量が増え(あくまでも当社比です)るに比例して、逆説的だが、自分はこの世についてほとんど何も知らないと深く自覚するようになった。
知らないからもっと知りたいと思うことも無尽にあるが、何を知らないのかすら知らないものごとは無限にある。
その目がくらむような「知」や「美」の存在に日々驚かされているため、感動とともにこの世をよりポジティブ見るようになったとは思う。
もともと好奇心は強い方で、知らなかった! すばらしい! 美しい! 不思議! なぜ? と感動するのがとにかく三度の飯より好きなのだ。
そしてその感動を誰かに伝えて一緒に感動したいというのもセットで...人類が滅亡して自分だけが残ったとして、きっと何かしら感動するほど美しいものは見つけられると思う。でもそこに誰かを連れてきて「綺麗でしょう?」とか「びっくりするよね?」などとワクワクしながらシェアできないと思ったら、幸せは半減するなあ。
娘にもわたしと友達の日本語会話は「へえー!」「うっそー!」「ほんまあ!」だけで成り立っているとからかわれる(笑)。
これはするどい指摘、事実である。
ちなみに昨日、世界にこんなに美しいものがあるのか! と感動していい気分になったのは、キーシンの演奏するリストのソナタ(一日中再生して飽きない)と、このところ暑かったのに一向に萎れない薔薇。
音楽や花は人の気持ちを引き上げるものすごい力を持っていると思う。
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elizabeth
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2人のバレエダンサー、1人のチェリスト、1人のバリトン、役者3人で、Elizabethの表舞台はできている。
いわゆるダンス・ドラマ(というそうです)だ。
去年、ロイヤル・バレエのプリンシパルを引退したゼナイダ・ヤノウスキー(Zenaida Yanowsky)のために、2013年、Will Tuckettと台本作家Alasdair Middletonによって制作された。
長身で高貴で、どこかコミカルなゼナイダ・ヤノウスキーに捧げられた作品だけあって、彼女がどんな役柄に最も深みを与えるダンサーかが考慮されており、とてもいい作品だと思う。
役者による台詞があるところもバレエファン以外にもとっつきやすいのではないか。台詞回しも内容もウィットに富んでいて前のめりで見た。
一方で、エリザベス1世の有名な4人の恋人(彼女は生涯結婚しなかった)との恋愛生活に焦点が当てられすぎているため、もちろん恋愛は舞台に乗せやすくおもしろいネタではあるが、唯一無二の女王エリザベス、「女王」ゼナイダを引き出す面白みには欠けた。繰り返すが、ショウとして鑑賞するにはとてもおもしろかった。
たまたまこの夜が最終夜で、これをもってゼナイダのダンサー人生の終わりだった。
舞台で90分、一言も発しなかった(当たり前だ)彼女が、アプローズを制し、一枚の紙を取り出し
「これがわたしの『声』です」
とスピーチを始めたのが感動的だった。
(写真は@Tristram Kenton)
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