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Brugge Style
英国の短い夏
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英国の夏は短く儚い。そしていつ来るか全く予想もできない
後から振り返ったらきっとこの2週間ほどが
今年の英国の夏として記憶されるのだろう
とにかく陽のあるうちに人生を楽しめ、と
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swan lake, version liam scarlett
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ロイヤル・バレエの新バージョン「白鳥の湖」のリハーサルとオープニングを鑑賞した。
古典バレエの傑作「白鳥の湖」は19世紀にロシアで制作されたが、当時は大失敗。
作曲したチャイコフスキーが傷つくほどメタメタにけなされたそうだ。
20世紀初頭にプティパとイワノフによって最初の改訂がされ、こちらがヒット。
世界中には無数のバージョンがあり、ほとんどがプティパ=イワノフを踏襲しているほどこれは「完璧」に近い。「はさみ」とか「こうもり傘」の類です。
オデット・オディールの正体は、悪魔ロットバルトの目的は...
いくらでも解釈ができる余地がこの作品を魅力的にしているのだと思う。わたしですらもわたしなりの解釈1 その2が可能なほど。
全シーズンまでロイヤル・バレエで演じられたのは80年代に制作されたアンソニー・ダウエル(Anthony Dowell)版でやや古びており、今シーズンは若き振付家リアム・スカーレット(Liam Scarlett)がもちろんプティパ=イワノフ版を継承しつつ新たに再構成した。
以下、リハーサルのオデット・オディール、サラ・ラム(Sarah Lamb)と本番のマリアネラ・ヌネツ(Marianela Nunez)の話...これがまたこの世のではありえないほどすごかったのです...は先に残しておいて、筋の方を書きたいと思う。
ネタバレを含むため、これからご覧になる方はご注意ください。
新しいバージョンにアップデイトされるにあたって期待と困惑が混ざった気持ちだったが、大きく筋や解釈が変わったわけではない。
プロローグで王女が白鳥に姿を変えられるシーンが挿入されるようになったのはボリショイやアメリカン・バレエ・シアターなどと一緒だ(わたしはこのシーンは無用だと思う)。
これが最後にきっちり、他では見たことのない結末の伏線になっていた。王子の裏切りのために呪いが解けなくなったオデットが自死を選び、呪いが無効になったロットバルトも死んで王子だけが生き残るの!
背景は衣装的に19世紀、バイエルン王ルードヴィッヒの頃のドイツか。
男性の軍服姿と、女性のオーストリア皇后エリザベートスタイル。
舞台装置は一新されてゴテゴテしていない豪華さがある。森と湖の遠景は、英国人はこれをターナー風と呼ぶだろう。わたしはクロード・ロラン風とあえて言おう。
どこかで見た他のバージョンに似ているな...ベルリン国立バレエ(Staatsballet Berline, Patrice Bart版)の背景を思い出させる。あちらは時代がもう少し遅い設定(20世紀初頭?)。
実はわたしはPatrice Bart版がかなり好きだ。
と思っていたら、ロットバルトが宰相として宮廷に入り込んでいるというところもPatrice Bart版に同じ。
ロットバルトが女王に影響力のある人物として宮廷で幅を利かせている筋には大変説得力があると思う。
しかし、Patrice Bart版のロットバルトが異形でなく、冷徹で計算高く人を心理的に操る邪悪な「人間」という、ある意味、魔王や悪霊よりもずっと複雑で性格描写にも深い理解と説得力があるのに対して、ロイヤル・バレエは単に悪の化身が姿を変えて宮廷に入り込んでいるだけで、オディールを招き入れて国を奪おうとするとはするが少々単純。せっかく彼を宮廷人にしたのだからもっと第1幕目でも存在感があればいいのにと思った。
3幕目の王子のお妃選びシーンでは、欧州各国からお后候補の姫たちがローカル色豊かなダンサー陣を引き連れて登場する。これもより具体的で鮮やかでよいと思った(今までのロイヤル・バレエは仮面舞踏会という説明だった。お后候補はみな同じ衣装を着用している個性のはっきりしない集団だった)。
アメリカン・バレエ・シアターはこの場面が秀逸だ。妖怪ロットバルトが女性を思いのままに操ることのできる超魅惑的な美男に変身して登場する設定。お妃候補らが王子には見向きもせずにロットバルトに骨抜きにされる様子はとても興味深い。
他にも多少の振り付けの変更、増減、ダウエル版にあった王子の家庭教師役はいなくなり、王子の狩に同伴する友達グループがなくなり、王子が母・女王から弓を贈られる(今まではガードの弓を奪ったのだった)、王子の親友ベンノが姉妹とパ・ド・トロワを披露するシーンが2カ所に増えている(1巻目と3幕目)、白鳥がクラシックチュチュ(今まではロマンティクチュチュだった)、全体的に衣装があっさり現代的なセンスになったなど、他にもいろいろなより細かな変化はある。
安心して見られた。
というのは100%褒め言葉ではない。
もっとあっと言わせてもよかったと思うの...
今シーズンはあと3回見る予定。毎回見たいほど!
(写真はthegurdianからTristram Kenton for the Guardian。このパ・ド・ドゥ、もっとねっとり官能的でなければと思う。すばらしいのはすばらしかったが健全すぎた)
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花車
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「白鳥の湖」のリハーサルを見るために横切った
コヴェント・ガーデンの花車
見とれて足取りが乱れました
コヴェント・ガーデンというと「マイ・フェア・レイディ」の花売り娘イライザ...
オマージュかな(考え過ぎ?)
わたしがこれを「かわいい車!」と表現しことで、
友達が「かわいいっていう言葉も人によって使う対象がかなり違うよね」と。
たしかにわたしは「かわいいものが好きじゃない」。
わたしがかわいくていいなと思うのはこの範囲ぐらいまでだと感じた。
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白鳥の湖2018
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バレエの古典は「白鳥の湖」。
わたしが一番好きな演目だ。
19世紀ロシアで初演された時は不評
(バレエ音楽を作曲するのが初めてだったチャイコフスキーが傷ついたほど)で
その後、プティパとイワノフによって改訂され
ロイヤル・バレエでは1934年に初演、以来大きな成功を収めているそうだ。
ロイヤル・バレエで上演されてきた最近の版は
アンソニー・ダウエル(Anthony Dowell)のものだが
今シーズン、若き振付家リアム・スカーレット(Liam Scarlett)が
プティパ=イワノフ版を継承しつつ新たに再構成する。
デザインはJohn Macfarlane。
今夜がいよいよオープニングナイト
物語の解釈は変わっているのか
振り付けなどはどこが変わっているのか
保存したのはどの部分なのか
衣装は、舞台装置は?
楽しみで楽しみで楽しみでしょうがない!!
(写真は女神マリアネラ・ヌネツMarianela Nunezとリアム・スカーレット。
マリアネラのTwitterより拝借)
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sizaと世界
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カステラの法則主義者のモエ
ポルトガル出身の建築家、アルヴァロ・シザ・ヴィエイラへの愛を語り続けていたら
こんなすてきな本をいただいた。
内容はもちろん、緑と青の表紙もとてもすてきで見惚れる。
シザの作品がわたしを快感にひたらせるのは
「ただ芸術作品だけが、世界全体がひとつの全体であるような意味で、ひとつの全体でありえています。
作品の枠組み(額縁)によって、作品は、ものの多様な分散性と言うものから確固と分かたれています」
「芸術はまさに内容と形式の意味を逆転し、形式を独立させた時に誕生する」からだ
(以上、ジンメルの「ジンメル・コレクション」より)。
何かちらっと世界のことが理解できたような気にさせてくれる...
そんな建築で日々暮らしてみたいものである。
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