先日、沖縄防衛局に公文書公開請求をしていた辺野古新基地建設事業の変更契約書、特記仕様書、施工計画書等の文書の開示をうけた。
「埋立本体工事着工!」と華々しく宣伝されていたK9護岸工が、「仮設工事」に過ぎなかったことも今回の開示で分かったことだが、さらに重要な事実が明らかになった。
今回の事業では、大浦湾に設置予定の38個のケーソンを仮置きするために、大浦湾の中央部・瀬嵩沖に3箇所の海上ヤードを造成することが予定されていた。海底に大量の石材を投下し、285m×60m、172m×45m、119m×40mもの巨大なマウンド(台座)が、それぞれ水深-17m、-10m、-6mのところに造られる。大型ケーソンは長さ52m、奥行22m、高さ24mもの巨大なもので、本土で造られ、海を曳航して沖縄に運んでくる。すぐに設置できないので、いったん仮置きするための海上ヤードが必要とされていた。
ところが、今回、開示された文書で、海上ヤード造成が「取り止め」になっていることが明らかになったのだ。海上ヤード造成は、「ケーソン新設工事(2工区)」、「汚濁防止膜等工事」、「中仕切岸壁新設工事」の3つの工事に分けて発注されていたが、そのいずれも、昨年年末から3月末に「取り止め」となっている(末尾の添付資料参照)。マスコミからの照会に対して、防衛局は、「(取り止めを認めた上で)今後については検討中」と回答したという。
海上ヤードの「取り止め」は、防衛局にとって極めて深刻な事態である。
防衛局はその理由を明らかにしていないが、まず、考えられるのは、ケーソンそのものが不用になったということだ。ケーソンに代えて、鋼管杭等、他の工法による護岸造成の検討が始まったのかもしれない。あるいは、ケーソンの基礎に支持杭等を打ち、ケーソンのサイズも大幅変更になったのかもしれない。今年2月から大浦湾の数十ヶ所で海底ボーリング調査のやり直しが始まっていたが、我々が指摘してきたように、海底地盤に何らかの問題が見つかり、工法変更せざるを得なくなったのだろう。
いずれにしろ、ケーソン護岸を他の工法に変更する場合は、県に、公有水面埋立法に基づく設計概要変更申請を提出し、知事の承認を得ることが必要となる。知事が承認しない場合、防衛局は工事を進めることができない。その意味で、今回の海上ヤードの「取り止め」は、埋立工事そのものが頓挫するかもしれない実に大きな意味を持っているのである。
いずれにしろ、K9護岸は仮設工事に過ぎなかったことや、辺野古側での行き当たりばったりの工事など、防衛局は混乱に陥っているようだ。