防衛局は、辺野古新基地建設事業に関する第3回技術検討委員会(12月25日)で、計画内容の大幅変更を明らかにした。しかしその内容にはいくつもの問題がある。このブログでは、「①辺野古漁港周辺の埋立の中止」、「②埋立土砂はほとんど県内から調達する」、「③大幅に削減された地盤改良工事の砂杭数」などについて説明してきたが、今日は「④先行埋立の問題点」について指摘したい。
今回、明らかになった防衛局の計画では、大浦湾で地盤改良工事が終了すると、外周護岸を概成する前にN6、N7、N8、N9の中仕切岸壁を造成した後、ケーソン護岸(C2)設置予定個所の内側に先行盛土を施工するという(下の図2参照)。公開された「主な検討内容」では、「海上からトレミー船による先行埋立を実施」と記載されている。図2では、先行盛土はかなりの面積で行われる。
さらに、第2回技術検討会(11月29日)の資料にはC2護岸部の横断面図がある(上図参照)。ここでは水深35mから水深10mほどまで、海中で厚さ25mほどの先行盛土を施工した後、その上にケーソン護岸を設置することとなっている。
しかし、海中に土砂を投下しても締固めは全くできない。その上にケーソンを置こうとしてもすぐにズブズブと沈下する。また、一部は硬い海底地盤の上にかかっているので、ケーソンは大きく傾いてしまう。いったいどのような方法で海中での先行盛土の上にケーソンを設置するというのであろうか?
また、やはり第2回技術検討会の資料には、C1護岸の一部の横断面図がある(下図参照)。地盤改良工事の後、厚さ25mもの基礎捨石を敷き詰め、その後、内側に先行盛土を行うとされている。厚さ25mもの基礎捨石というのはケーソンを小さくするためと思われるが、膨大な量の石材が必要となる。
先行盛土のために、外周護岸を概成する前に大量の土砂を投下すれば、汚濁はそのまま大浦湾一帯に拡散する。防衛局は海底に管を下して土砂を散布するトレミー船で施工するというが、汚濁が比較的少ないという二重管トレミー工法でも水深20mほどまでがやっとである。今回は水深35mほどの海底への土砂散布であり、菅は海底に届かず、途中から土砂を放り出すこととなる。汚濁は一面に拡散してしまう。
この汚濁の拡散は汚濁防止膜では対応できない。現在、大浦湾に設置している汚濁防止膜のカーテンは海面下7mほどでしかない。今回のような深い海底での汚濁の拡散を防止はできない。
防衛局は先行盛土部分の海中での締固めの問題、汚濁の拡散の問題等をいったいどう解決しようとしているのか?
第3回技術検討会の資料や議事録は未だ公開されていない。しかし、技術検討会で各委員がこのように杜撰な計画について問題を指摘することなく、何の質問もしていなかったのであれば呆れる他ない。