辺野古新基地建設事業では、4月末から埋立本体工事としてK9護岸の基礎部分となる石材の投下が始まった。海に投下する石材については、アセス評価書や埋立承認願書で、事前に洗浄することとされている。ところが現場では、石材を投下するたびに粉塵が舞い上がり、海が白濁していることから、石材が事前に洗浄されていなのではないかという疑惑が高まっている。
石材は当時、国頭村の採石場から持ち込まれていた。そこで、仲間たちが砕石場で監視したところ、全く洗浄していないことも確認されている。
(国頭村の採石場。簡単な洗浄施設はあるが、100台以上のダンプが入った9日も、一切洗浄していなかった)
5月17日、参議院議員会館で防衛省交渉を行い、この問題を追及した。防衛省の担当者は、「砕石場で洗浄しています」というものの、「具体的な洗浄時間、水量は?」と問いただすと、全く答えられない。その後、何回か再質問を繰り返したところ、6月9日になってやっと「洗浄時間は150秒」という文書回答が戻ってきた。しかし、洗浄の水量については回答がない。
その後、16日に、「洗浄に使用する水量については特に定めていません」という回答が来た。「150秒」という洗浄時間も疑わしいが、水量の定めがないのでは何の意味もない。
防衛省は「洗浄水の透視度が、原水と同等になるまでの洗浄時間が150秒でした」と回答したが、本当にそれだけの洗浄を行っているのであれば、海が白濁することはあり得ない。
伊波洋一参議院議員が6月15日の参議院外交防衛委員会で石材の洗浄問題について質問された。防衛省の高橋局長は、ここでも「150秒」と答えたが、なんとこの日から防衛局は砕石場を変えてしまったのだ。従来の国頭村の砕石場の使用を止め、本部の山城砕石鉱業から石材を搬出し始めた。国頭村の採石場はあまりに洗浄施設がお粗末なことが村道からもすぐに分かるので、変更したのではないかと思われる(それでも監視がない時には、国頭の採石場も使われている)。
(本部の山城砕石鉱業)
山城砕石鉱業でも監視を続けたところ、シュワブに持ち込まれる石材は、出口付近にある洗浄施設では洗浄されていないことが確認された。ある報道機関が、その点を防衛局に質問すると、かなり時間がたってから「奥の方の洗浄施設で洗浄している」という回答が来たという。洗浄施設は、普通、出口のところに設置されているものだから、この説明も俄には信用し難い。
最近は、1日に100台ほどのダンプがシュワブに石材を運んでいる。1台につき150秒で洗浄しているのであれば、それだけで250分、4時間以上が必要だ。それだけの時間をかけて本当に洗浄しているのか、これもきわめて疑わしい。
今後、辺野古新基地建設事業で使用される石材は、総量で150万㎥にもなる。石材の採石場での十分な洗浄は、アセスや埋立承認願書での約束である。これらの石材がきちんと洗浄されているかどうか、厳重に監視していかなければならない。
(15日の参議院外交防衛委員会で石材の洗浄問題を追及する伊波洋一参議院議員)
<追記>
今日(19日)の沖縄タイムスは、「石材投入で海水白濁」という大きな記事を掲載している。その写真でも、石材投下現場付近の海が白く濁っていることがよく分かる。