今日(1月10日・水)は午前11時から、県庁前広場に行き、具志堅隆松さんらの沖縄南部地区からの遺骨混りの土砂調達に反対するハンスト行動の準備をしていた。その時、辺野古から連絡が入った。防衛局が今日、大浦湾に海上ヤードの基礎捨石投入を強行するというのだ。
当初は12日(金)といわれていたが、実施設計の事前協議なしに工事着手することは埋立承認の際の留意事項に違反するという指摘を無視し、予定よりも早めて工事を強行したのだ。防衛局のあまりに強引なやり方に憤りが収まらない。
沖縄平和市民連絡会は、1月5日、知事宛に「大浦湾での工事着手に関する要請書」を提出していた(1月5日の本ブログに要請書全文掲載)。当初は、今日(10日)、要請書に対する県幹部との面談・意見交換の場を設定するということだったのだが、昨日、担当者から突然、「知事との調整がまだできていないので、面談は12日にしてほしい」という連絡が入った。電話での話では、「防衛局に対して、実施設計の協議前に工事着手しないよう求める文書を出すことを検討している」ということだった。ところが防衛局は、協議前に工事に着手してしまったのだ。
午後、沖縄平和市民連絡会は役員ら5名で、県海岸防災課を訪れ、「防衛局にただちに工事を中止するよう指示すること」と申し入れた。
今日の午後5時頃、知事の記者会見があった(琉球新報WEB版)。知事は、強い調子で「極めて乱暴で粗雑な対応」と批判し、「工事着手は遺憾」といったものの、「海上ヤードが事前協議の対象となるかについては弁護士と確認したい」と答えたという。官房長官が午後の会見で、「海上ヤードは実施設計の対象ではない」と言ったが、それを受けて県は腰砕けになってしまったのか。
海上ヤードは、大浦湾の海底に大量の石材を投入し、180m×82m、197m×62m等の巨大な4つの台座を2年半かけて造成するという大工事で環境への影響もきわめて大きい。
しかも、事業終了後、撤去する仮設構造物といわれているが、「海上ヤードは基本的に撤去するとしているものの、--- 撤去するかは生物の生息場として存置するのかを改めて判断する」(設計変更申請「環境保全図書」1-126)とされている。防衛局がこれだけ巨大な構造物を撤去するとは考えられず、存置されることは確実だと思われる。
この工事が、実施設計の対象ではないというのなら、わざわざ留意事項でこの項目を付けた意味はなくなってしまう。
(今日から12日まで、具志堅さんら5名がハンストに突入!)
(午後、工事着手を受けて、平和市民連絡会の役員ら5名で県に申入れ)
(午後のNHKテレビニュースより)
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<具志堅隆松さんのハンスト決行趣意書>
ハンガーストライキ決行趣意書
戦没者の尊厳を守るために、沖縄南部地区からの辺野古・埋立土砂採取計画の撤回を求める
知事は、辺野古基地建設に、先の大戦の激戦地であった沖縄南部地区の土砂を使うという設計変更申請を不承認としていたが、国土交通大臣の代執行により承認されてしまった。
しかし、埋立承認の際の留意事項では、「工事の実施設計について事前に県と協議を行うこと」、「土砂採取場所を変更する場合は知事の承認を受けること」と定められているように、埋立土砂の採取地決定は知事の承認事項である。
防衛局は、南部地区からの土砂採取計画の撤回要請に対し、「まだ決まってない、工事の実施段階で受注業者が決める」と繰り返している。受注業者の責任にするのではなく、土砂採取地を決定するためには知事の承認を得なければならない。
また知事は防衛局に対して、実施設計の事前協議で、戦没者の尊厳を守るために土砂採取候補地から南部地区を外すよう毅然とした態度で求めるべきである。
先の沖縄戦では20万人余りの戦死者を出した。激戦地の南部地区にはいまだに多くの住民や日本兵の遺骨が埋もれている。戦後、政府が全国の戦没者遺族の元へ届けた遺骨箱の中に入っていたのは、ほとんどが遺骨ではなく御霊石であった、御霊石とは戦没地の石で、その石には戦没者の魂がこもっているという意味である。今回、防衛局は、戦没者の血と魂を吸い込んだ南部の御霊石を住民や日本兵を殺したアメリカ軍の基地を作るために海に捨てようとしているのだ。これは戦没者に対する裏切りであり、冒とくである。
公有水面埋立法施行規則第3条では、埋立願書に「埋立に用いる土砂の採取場所」を記載するよう定めている。また、埋立承認申請の審査基準でも、「埋立土砂等のすべての採取場所が示されているか」(『公有水面埋立実務便覧』 P396)とされている。「採取予定地」しか示さなかったのはそもそも書類不備であった。
また埋立承認申請の審査基準には、「免許禁止基準(法第4条第1項各号)にすべて適合している場合であっても、公益上の観点から免許すべきでないと判断される特別な理由」という項目もある。知事も「人道上、許されるはずもない」(2021年11月25日)と言われたが、この問題はまさに「公益上の観点から免許すべきでない」はずである。今回の代執行では、「採取予定地」ということで承認されたとしても、南部地区からの土砂採取が確定すれば、この審査基準にも抵触する。
以上の理由から、次の2点を求め、1月10日からハンガーストライキに入ることを宣言する。
1.防衛局はただちに沖縄南部地区を土砂採取予定地から外すこと。また、採取地の決定は知事の承認事項であると認めること。
2.知事は県民・国民や全国の遺族のためにも、毅然とした態度で人道無視の防衛局による南部地区の土砂調達計画を撤回させるよう全力をあげること。
2024年1月9日
沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」 代表 具志堅隆松