本部塩川港では、従来、南側の岸壁を使って辺野古への土砂搬送が行われてきた。ところが、昨日(1月20日)、南側だけではなく、北側の岸壁も使って辺野古への土砂搬送が行われたという。
これでは、本部塩川港の約3分の2が、辺野古新基地建設事業のために使用されることとなり、土砂搬送が加速する。報道も「土砂搬送量は2倍になる」としている。
本部町の港湾管理事務所に確認したところ、確かに1月中旬、北側バースでも辺野古への土砂搬送を目的とした荷捌地使用申請を許可したという。ただ、報道では「離島向けの搬出などの妨げにならないことを条件に、港湾管理事務所は許可を出した」とされているが、これは少しニュアンスが違うようだ。
本部町島ぐるみ会議が、本部塩川港の毎月の岸壁使用許可・荷捌地使用許可を公文書公開請求で入手している。それによると、昨年12月は、20隻のガット船・フェリーバージが辺野古への土砂搬送のための岸壁使用が許可されている。さらに、離島等への運搬船も20隻が許可されている。本部塩川港は、離島住民の生活と経済のために、きわめて重要な役割を果たしているのだ。
本部町の港湾管理事務所が、その点を指摘して指導した結果、北側バースの使用は週1回だけに限られるようだ。そのため、搬送量がすぐに2倍になるわけではない。
防衛局は今回、「週1回」に譲歩したが、今後、なし崩し的に回数を増やそうと狙っているのであろう。防衛局が辺野古新基地建設事業を推進するために、本部塩川港を勝手気ままに使用するのを許してはならない。
本部塩川港は県の港湾である。沖縄県は、全てを本部町に押しつけるのではなく、自ら前面に出て対応するべきであろう。
(2021.1.21 琉球新報)