今日(9月14日・日)は、辺野古の海上行動やシュワブゲート前での抗議行動はお休み。船団も出ないので、自宅で資料整理を続けた。
以下、辺野古の海底ボーリング調査の実態についての考察である。
(2014.9.9 沖縄タイムス) (小型スパッド台船)
現在、辺野古沖では埋立にむけたボーリング調査が行われている。しかし、この海底ボーリング調査は、このブログでも何回か指摘してきたが、全く形式だけのおざなりなものにすぎない。知事選までに、海底ボーリング調査が完了したということをアピールし、県民に、もう反対しても無駄だというあきらめの意識を受け付けるためのものでしかない。
現在のボーリング調査は、当初、予定されていた内容から次のように変更されている。
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当初の特記仕様書 |
変更内容 |
水深の浅いところ |
単管ヤグラ 9ケ所 |
陸域部での調査 5ケ所 |
小型スパッド台船 7ケ所 |
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水深の深いところ |
スパッド台船 12ケ所 |
スパッド台船 9ケ所 |
1.調査箇所の削減---陸上部の調査は意味がない
単管ヤグラを中止したのは、10年前の海底ボーリング調査で反対する住民らがヤグラに上がり込み、結局、調査中止に追い込まれたことによる。そのため、今回は、新しく開発したという小型スパッド台船に切り替えた。しかし、調査箇所が7ケ所に減っており、さらに水深の深いところのスパッド台船による調査も3ケ所減っている。
当初の21ケ所の調査予定を、小型スパッド台船7ケ所、スパッド台船9ケ所に削減したが、その分の埋め合わせとして陸上部の調査が5ケ所行われている。海上から観察していたが、シュワブの砂浜に簡単なボーリング機械が設置され、ほんの2~3日で調査を終えている。
ボーリング調査は、埋立外周の護岸部に設けられるケーソン等の大型構造物の設計のために、基礎地盤の支持力等を調べるものだ。シュワブの砂浜で調査をしても何の意味もない。これは、21ケ所が16ケ所に減ってしまったので、数合わせとして陸上部で5ケ所の調査をしたにすぎない。
2.短い調査日数---きちんとした調査は行われていない
さらに大きな問題は、1ケ所のボーリング調査の日数があまりに短いことである。当初は1ケ所の調査に7~11日間程度かかると想定されていたが、今回行われている調査は2~4日ほどで作業を終えている地点が多い。
海底ボーリング調査の特記仕様書によれば、海底ボーリング調査にあたっては、まず、磁気探査(鉛直探査)が行われる。これは、地表面下-10mまでの不発弾等の調査・確認を目的としたもので、5インチ砲弾仕様で0.3m、50Kg爆弾仕様で0.5m、および250Mg爆弾仕様で1.0m毎に孔底直下の安全を確認しながら、-10mまで探査するものである。その後、-50mの深さまでボーリングを行い、標準貫入試験や孔内水平載荷試験や各種土質試験が行う。
標準貫入試験は、地盤の支持力を知るために、ハンマーを落下させ、サンプラーが30cm入る打撃数を調べるものだ。ハンマーが落とされ、かなりの音がするのですぐ分かる。私は、連日、海に出て調査の様子を観察しているが、先日、辺野古崎西の小型スパッド台船で標準貫入試験が行われていたが、私の見た限り、それまでは標準貫入試験は行われていない。
-50mまでのボーリング調査(磁気探査を含む)が、1ケ所当り、ほんの数日で終えられるはずはなく、かなりの手抜き調査となっている疑いが強い。
3.不可解な工期設定---当初から形式だけの調査となっていた
この土質調査(「シュワブ(H25)地質調査(その2)」)は、本年5月31日に中央開発㈱と契約された。工期は、本年11月30日だ。ところが不可解なことに、本年3月31日に契約された埋立工事の実施設計である「シュワブ(H25)埋立設計」(日本工営が受注)の工期も、11月30日となっている。
普通なら、地質調査を行って地質のデーターを得、それにもとづいて実施設計にあたるものだ。前年度に地質調査を行い、翌年度に実施設計にあたるのが通常だろう。今回のように、地質調査と実施設計の工期が同じということは、当初から地質調査のデーターとは関係なく、実施設計にあたるということを意味している。
今回の埋立工事には、政府は無尽蔵にお金を出す。地質調査の細かいデーターに基づいた、最も経済的な基礎や構造物を設計する必要はないというのだろう。
このように、当初から海底ボーリング調査は形式だけのものであったが、それがさらにひどい実態になっている。来週からにも予想される大浦湾の大型スパッド台船による調査も、箇所数をさらに減らし、調査内容も簡素化するのではないかと思われる。政府・防衛局にとって必要なのは、地質調査のデーターではなく、「海底ボーリング調査が終わった」と宣言することにすぎない。