辺野古新基地建設事業では、この間、海上ヤード造成が取り止めになったことから、ケーソン護岸の計画自体が取り止めか大幅変更になったのではないかと指摘してきた。
そのことを裏付ける事実がさらに見つかった。現在、沖縄防衛局のホームページには、8月3日付で、「シュワブ(H29)土質調査(その1)」と「シュワブ(H29)土質調査(その2)」の2つの海底ボーリング調査の入札公告(一般競争入札)が掲載されているのだ。調査箇所は分からないが、前者は11地点、後者は8地点の海底ボーリング調査が発注されている。9月末開札だから、10月から来年3月末まで、さらに海底ボーリング調査を実施するというのだ。
海底ボーリング調査は、当初、2014年6月から11月末までの6ヶ月の予定で契約された。当時は、2014年12月にも本体工事着工と言われていた。それが工期延期が何回も繰り返され、最終的には昨年3月31日、24地点の調査を終えて終了した。このボーリングは「護岸本体の設計に必要なデータを得るための調査」で、その結果により護岸工の実施設計を行う予定だった。
ところがこの24地点のボーリング調査の結果も公表されないまま、本年2月から、大型調査船(ポセイドン)、スパッド台船、クレーン台船による海底ボーリング調査が再開された(当初計画で29ヶ所もの調査が予定されていたが、実際にはさらに多くの地点で実施されている)。
この再開されたボーリング調査は、一般競争入札によるものではなく、「ケーソン新設工事(その1)」の「確認ボーリング」として実施された。「確認ボーリング」について、防衛省は、「(護岸本体の設計に必要なデータを得るためではなく)護岸工事を安全かつ適切に履行するために必要な施工計画を検討するための調査」と説明している。言わば、受注した業者が念のために行うボーリング調査で、各護岸工のほとんどには「確認ボーリング」が含まれている。
ただ、今年になって再開されたボーリング調査は、「ケーソン新設工事(その1)」の「確認ボーリング」と言われているが、「ケーソン新設工事(その1)」の施工箇所とは全く関係のない広い範囲で行われている。実際には、海底の琉球石灰岩層に軟弱部や空洞等、何らかの問題が見つかり、ボーリング調査をさらに詳細にやり直す必要が生じたのではないかと思われる。
再開されたボーリング調査もこの7月で終った。ところが、さらに今回、19地点の海底ボーリング調査2件の一般競争入札が行われたのだ。何故、こんなに何時までもボーリング調査を繰り返すことが必要になったのだろうか?
これはもう、「確認ボーリング」ではなく、「護岸本体の設計に必要な調査」が再度、始まったことを意味している。2014年から調査を続けてきても、未だ、実施設計に必要なデータが得られない。大浦湾の護岸工の基礎地盤の問題はかなり深刻なのだ。海上ヤードの中止は、ケーソン護岸の大幅設計変更によるものだが、今回、明らかになった海底ボーリング調査の全面やり直しは、さらにそのことを裏付けるものである。
防衛局は、かなり深刻な事態に陥っている。
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<資料>下に今までの海底ボーリング調査と現在、入札が始まった調査の概要を示す。