12月25日(金)午前、県民会議として辺野古新基地建設事業の当面の問題について県への申し入れを行なった。県からは、辺野古新基地対策課副参事、水産課長、海岸防災課長、環境保全課長、教育庁文化財課等が出席した。
なお、赤嶺政賢衆議院議員をとおして防衛局へのいくつかの質問を出していたが、今日の午後、赤嶺議員の事務所で防衛局の担当者からその回答を受けることができた。その内容については明日のブログで説明する。
(県民会議の県への申し入れ)
以下、県民会議の要請書と県の回答、そして質疑応答と我々からの再要請についてまとめてみる。(青字は要請書、赤字は県の回答、緑字は質疑応答)
翁長雄志沖縄県知事様 2015年12月25日
要 請 書
基地の県内移設に反対する県民会議
辺野古新基地建設を阻止するために日々、努力されていることに心から敬意を表します。
先日の代執行訴訟の口頭弁論での翁長知事の力強い陳述には多くの県民が励まされました。さらに、年内にも国土交通大臣の執行停止の取消しを求める抗告訴訟を提訴する方針を示されるなど、知事が辺野古埋立を許さないためにあらゆる手段を行使しようとされていることを私たち県民も心強く思っております。
ただ問題は、防衛局がこれらの裁判の間も工事強行の姿勢を強めていることです。たとえば、11月12日からの海上ボーリング調査の再開だけではなく、11月22日未明にはクレーン船が大型コンクリートブロックを積んで大浦湾に入りました。さらに11月末からは、大浦湾のシュワブ沿岸部のヤニバマ(通称・米軍レジャービーチ)で護岸工事の進入路となる工事用道路の造成工事が始まっています。このままでは大浦湾へのコンクリートブロックや石材の投入が何時始まるかもしれないというきわめて緊迫した事態を迎えています。
こうした状況を踏まえ、下記のとおり要請しますのでご検討ください。
記
1.「工事用仮設道路」の「付替道路」造成工事について
1-1. 昨年12月5日、仲井真前知事は防衛局から出されていた設計概要変更申請の「工事用仮設道路の追加」を承認しました。11月末から工事が始まった「付替道路」は、この「工事用仮設道路①、②」の一部を変更したものであり、防衛局は改めて知事宛てに設計概要変更申請を提出する必要があります。その手続を行わないまま工事に着手したことは公有水面法第13条違反と考えますが、知事のご見解と防衛局への指導方針をお示しください。
<県の回答>
「皆様方からの情報提供もあって、県としても新しい道路計画である可能性が高いということで、12月4日に防衛局に図面や資料の提出を求める文書照会を行なった。またそこで新たな道路計画であれば、設計概要変更申請の手続が必要だということも指摘した。」
「県の文書照会に対して、12月14日に防衛局から回答が来た。その内容は、『各種作業の安全性及び効率性を確保するためにパネル等を一時的に敷設していますが、当分の間、新たな道路建設を行う予定はありません。』というものだった。」
「我々としては、『当分の間』というのは、新たな計画をしていると受け取れるので、12月18日に再度文書照会を行った。また、防衛局からは図面等がいっさい提出されていないので、改めて図面の提出を求めている。それにもとづいて内容が確認できるまではパネル等の敷設は中止するよう申し入れた。また、新たな道路計画であれば、設計概要変更申請を行うよう申し入れた。」
<質疑応答と我々からの再要請>
・現場では栗石を網に入れた根固め用袋材を海岸に並べ、その上にパネルを設置している。防衛局は「一時的にパネル等を設置」と回答しているが、全く事実に反している。(この点を現場写真を示しながら説明した。)
・また、こうした防衛局のデタラメな説明を許さないためにも、一度、県として現場への立入調査を行うよう要請した。県は、「立入調査を含めて、検討させてください。」と回答。
1-2. また防衛局の「付替道路」の工事着手は、埋立承認の際の留意事項にある実施設計についての県との事前協議の定めにも反するものです。知事のご見解と防衛局への指導方針をお示しください。
<県の回答>
「県としても皆様方と同じ見解だ。防衛局には留意事項違反だと申し入れている。」
1-3. 「工事用仮設道路①、②」の造成に際しては、16,300㎡の切土、盛土が予定されており(伐木・除根面積を加えると23,600㎡)、県に対して赤土等流出防止条例に基づく手続が必要です。今回の「付替道路」は、「工事用仮設道路①、②」の一部の変更であり、「付替道路」部分だけでも1,230㎥(根固め用袋材や割栗石による盛土を除く)もの掘削・盛土が行われることからも、「工事用仮設道路①、②」全体について、着工前に赤土等流出防止条例に基づく手続が必要です。その点で、今回の着工は同条例に違反するものと考えますが、知事のご見解と防衛局への指導方針をお示しください。
<県の回答>
「1000㎡以上の土地の形質変更については、赤土等流出防止条例に基づく手続が必要になる。県としては、再度、作業内容の確認をしたうえで適切に対応していきたい。もし条例違反であれば、事業行為の中止の他、必要な措置を講じるよう命令することになる。」
<質疑応答と我々からの再要請>
・我々からは、「今回、県は防衛局から出されたシュワブ基地内の4600㎡の土地の形質変更の事業行為通知書に対して、11月4日に確認済通知書を出してしまった。これは、コンクリートプラント設置のための造成ではないかとも言われている。そうだとすれば、埋立本体の護岸工造成のために必要となるコンクリートブロック等の製作のために使われる。本年1月には、やはり陸上作業ヤードの造成に関する赤土等流出防止条例の手続を承認してしまっている。今の県政の最重要課題は『いかにして辺野古新基地建設を止めるか』ということのはずだが、問題ではなかったか?」と追求した。
しかし、環境保全課長は、「コンクリートプラントだという話は聞いている」と認めたものの、「審査して基準に合致していれば確認済通知書を出さざるを得ない」という態度を続けたため、県民会議からの批判が集中した。我々は、「これからも工事用仮設道路の造成等で赤土等流出防止条例に基づく事業行為通知書が県に出される。今後は担当部署だけではなく、県全体で検討すべきだ」と強く求め、環境保全課長も最終的には「今後は辺野古新基地対策課に上げるようにする」と認めた。
本年6月の県議会で町田公室長は、「辺野古移設阻止のための知事権限」の一つとして赤土等流出防止条例をあげている。それが、実際には何のチェックもなしに確認済み通知書が2回に渡って出されてしまっているのだ。
・「シュワブ内で生コン製造 防衛局、プラント設置を計画」(2015.12.26 琉球新報)
2.埋立本体部分の岩礁破砕許可の取消し、コンクリートブロック投下問題について
2-1. 私たちは、11月27日、県に、「埋立承認の取消しに伴い、昨年8月28日の埋立本体部分の岩礁破砕許可の取消し」を要望しました。その際、県は「適切な時期に判断していきたい」と答えられています。埋立承認を取消しておきながら埋立本体部分の岩礁破砕許可をが継続していることは全く矛盾したものと言わざるを得ません。さらに、大浦湾に今にも大型コンクリートブロックが投下されようとしている今、ただちに埋立本体部分の岩礁破砕許可を取り消されるよう再度、要請します。
<県の回答>
「本件については、法的な問題はもちろん、行政判断を行うタイミング等、様々な事情を勘案しつつ適切な時期に適切な対応が行なえるよう県全体として取り組んでいく。今後は、国との争訟の経過等も見ながら判断したい。」
<質疑応答と我々からの再要請>
・「躊躇する理由が分からない。埋立承認を取り消しておきながら、何故、埋立本体部分の岩礁破砕許可を取り消さないのか」と追求したが、県は「県としては争訟も抱え、岩礁破砕許可を取消すべきだとうのは重々承知していますが、今は時期を考えている状態です」という態度を変えなかった。
2-2. 防衛局は、今後、大浦湾に汚濁防止膜設置のための大型コンクリートブロックを大量に投下するとしています。しかし防衛局は、工事の設計図書では最大57トンとしていたものを突然、15トン以下とするなど、その対応はきわめて杜撰なものと言わざるを得ません。
12月10日には、県の照会に対する防衛局の回答が出されたようですが、この問題に関して県の今後の対応方針をお示しください。また、県は、「事実確認ができるまでブロックを投下しないよう求めた」とのことですが、どのような事実確認ができればブロックの投下を認めるというのでしょうか?
<県の回答>
「防衛局からの回答内容が不十分であったことから、12月18日に再照会を行なった。県としては回答を検討した上でブロック投下の是非を含めて適切に対応していきます。」
<質疑応答と我々からの再要請>
・「11月22日に大型クレーン船で持ち込まれたコンクリートブロックはもう1ケ月以上もそのままの状態が続いている。年末を控え、防衛局も早く投下しようと狙っているに違いない。それを阻止するためにも、埋立本体部分の岩礁破砕許可を取消すべきだ。」と追求した。
3.文化財調査、埋葬遺骨問題について
3-1. 前述の「付替道路」造成工事が始まった箇所は、名護市教育委員会が埋蔵文化財の有無を確認するための試掘調査及び文化財確認調査が予定している所です。しかし、防衛局は名護市教委との協議も始まっていないにも関わらず、名護市教委に何の連絡も行わないまま造成工事に着手しており、文化財保護法上も大きな問題です。県教委として防衛局を指導することが必要と考えますが、ご見解をお示しください。
<県の回答>
「今回の工事について名護市教委に確認したところ、名護市教委も現場をまだ確認できていない状態だ。シュワブ内の文化財については、第1義的には名護市教委。県としては名護市教委とも連絡を取りながら適切に対応していく。」
3-2. 県教委は、碇石発見現場付近で土器や石器が見つかったことから、一帯を遺跡認定する予定と報道されていますが、それに向けた作業状況をご説明ください。また、埋立予定地全域での水中遺跡の調査の必要があると考えますが、県教委としての方針をお教えください。
<県の回答>
「名護市教委がどの範囲を遺跡とするよう求められるのか、まだ明らかになっていない。海域の調査についても、名護市教委が調査を実施するということになれば県教委としても名護市教委と連携をとって対応したい。」
3-3. 大浦崎収容所の埋葬遺骨の問題について、県教委が聞き取り調査を始めたと報道されていますが、この問題についての経過と県教委としての今後の方針をご説明ください。
<県の回答>
「県は文献調査、聞き取り調査等で蓋然性の高い情報があれば国に対して対応を求めていく。大浦崎収容所の埋葬遺骨の問題についても、現在、県は文献資料の収集や当時収容されていた方々の聞き取り調査を現在行っている。今後も情報収集につとめていきたい。」
4.追加質問事項(海上ボーリング調査終了後のフロート撤去問題について)
<我々からの要請>
「防衛局の海上ボーリング調査は現在2ケ所で進められているが、年内にも終了すると思われる。以前から県民会議から要請し、翁長知事も5月、6月の記者会見で、「海上ボーリング調査が終了すれば大浦湾に張り巡らされているフロートやオイルフェンスの撤去を求める」と言明された。海上ボーリング調査が終わろうとしている今、県として防衛局にフロートの撤去を求めていただきたい。 」
<県の回答>
「大浦湾のフロートは、ボーリング調査の安全のために設置しているということだったので、当然、ボーリング調査が終われば引き上げてもらう。以前から防衛局には2回にわたって文書で指示をした。今回、ボーリング調査が終われば再度、指示をする。」