先日、目取真俊さんがブログ「海鳴りの島から」で、名護からキャンプ・シュワブへの国道329号線があちこちでひび割れしてしていることを指摘された。そのため、2月15日(木)、やはり土木技術者であるOさんと現地調査に入った。そして調査結果をもとに沖縄総合事務局北部国道事務所に申入れを行ったのでその報告をする。
国道329号線を名護の世冨慶から東に進み長堂橋を過ぎると、国道の左車線(辺野古への走行側となる車線)があちこちで破損し、乳剤をかけて応急処置がされている。いずれも最近、補修されたところが多いが、末補修のところでも手入れが必要なところも多い。車両の轍(わだち)の部分が沈みこんでいるところもある。こうした箇所は、キャンプ・シュワブまでに約10箇所、延長にして456mにもなる。
この国道の破損の原因は明らかである。破損しているのは名護から辺野古へ向かう片側の車線だけである。反対車線はほとんど傷みがない。辺野古新基地建設事業では、最近になってキャンプ・シュワブに入る工事車両が特に増えている。石材を搬入するためには、10トンダンプだけではなく、大型トレーラーも多く使われている。大型トレーラーは、最大積載量20トン以上、車両重量だけでも10トン、合計すると総重量は35トン~40トンにもなる。さらに、ダンプトラックでも大型トレーラーでも、明らかに過積載の車両も多い。こうした車両が頻繁に走行するため、道路が損傷してしまったのだ。反対側の車線は、石材を降ろした空荷での走行となるなので、道路の損傷は少ない。
車両制限令では、総重量が20トンを超える車両を走行させてはならないとされている。ただ、同制限令47条の2では、「道路管理者は、車両の構造又は車両に積載する貨物が特殊であるためやむを得ないと認めるときは、前条第二項の規定又は同条第三項の規定による禁止若しくは制限にかかわらず、当該車両を通行させようとする者の申請に基づいて、通行経路、通行時間等について、道路の構造を保全し、又は交通の危険を防止するため必要な条件を付して、同条第一項の政令で定める最高限度を超える車両の通行を許可することができる」とされている。大型トレーラーについては、沖縄総合事務局に特殊車両通行許可を得て使用されているはずである。
しかし、この車両制限令47条の2でも分かるように、大型トレーラーの通行許可は無条件に出されるものではない。まず、「車両の構造又は車両に積載する貨物が特殊であるためやむを得ない」場合に限られるが、石材の運搬については、そもそも10トンダンプを使用すればよいのであって、敢えて大型トレーラーを使用する必要はない。また、「道路の構造を保全するための条件」もつけられている。今回のように、道路の損傷が激しい場合は、当然、道路管理者は走行を制限すべきである。
(辺野古の工事で使用されている大型トレーラー。総重量は40トンほどにもなるだろう)
調査の後、道路管理者である沖縄総合事務局北部国道事務所を訪問した。管理課の担当者に、この道路損傷、補修についての説明を求めたが、担当者は、「経年劣化もありますし、原因は分かりません」と言うだけだった。
我々からは、これだけ道路が損傷している以上、少なくとも大型トレーラーについて特殊車両通行許可を制限すること、さらに過積載の取締を強めることなどを申入れた。
数日後、再訪し、検討の結果を聞くこととする。
(沖縄総合事務局北部国道事務所の担当者らに申入れ)