いろんな方から、最近、国道329号線の辺野古集落とメインゲートの中間で始まった国道下での工事についての問い合わせをいただいている。簡単には10月24日のブログにも書いたが、再度、工事の内容を説明しよう。
この工事は、「シュワブ(H27)道路拡幅工事」で、キャンプ・ハンセンから続く軍用道路が国道下を通るトンネル(ボックスカルバート)部分を拡幅しようとするものだ。2016年2月、鴻池組、大城組の共同企業体が17.3億円で受注した。防衛局は、単に道路拡幅工事としか説明していないが、この工事も辺野古新基地建設事業に関連している疑いが強い。
下が、この工事の平面図である。
この工事では、幅員7.0m、高さ4.4mの現在のトンネルを、幅員8.05m、高さ5.5mに拡幅することが予定されている。国道を車両を通行させたままトンネル工事を行うのであるからかなりの難工事で、施工期間が600日もかかる。
先日から下の写真のような準備作業が始まっている。
この工事の周辺は下の図のようになっている。キャンプ・ハンセンからの軍用道路が国道329号線の下を通りキャンプ・シュワブに続いているが、すぐ近くに埋立に使う土砂の採取予定地があることが分かる。
今回の事業では、辺野古ダム周辺の土砂が最初の埋立用土砂として予定されている。防衛局は、埋立承認願書では、辺野古ダムの湖面の上にベルトコンベアを設置し、ダム西側の土砂を大浦湾までベルトコンベアで運ぶ計画だった。しかし、辺野古ダムの上にベルトコンベアを設置するには、名護市法定外公共物管理条例で名護市との協議が必要になる。ところが稲嶺名護市長が同意せず、防衛局は、やむなく、辺野古ダムの上にベルトコンベアを設置する計画を諦め、2014年9月、土砂をダンプトラックで運ぶという設計概要変更申請を沖縄県に提出した。
当時は、まだ仲井眞前知事の時代だったが、埋立を承認した仲井眞県政も、ダンプトラックによる搬送は環境への影響が大きいとしてこの設計変更を承認できなかった。そのため、防衛局は不承認とされるとまずいので、この設計概要変更申請を取下げざるを得なかったのだ。
最初の埋立工事のためには、辺野古ダム周辺の土砂を大浦湾に運ぶ必要があるのだが、今のままではその目処が立たない。そこで、その打開策のために、キャンプ・ハンセンから続く軍用道路の国道下のボックスカルバートの拡幅工事を始めたのであろう。
防衛局は、2014年9月の設計概要変更申請の審査において、県がこのシュワブ内の道路を使わないのかという質問に対して、「米側の運用上における制限が多い等の理由で採用できない」と回答していた(2014.11.19 防衛局から県への回答)。それを、土砂運搬の目処が立たないために、米軍に泣きつき、トンネル部分の拡幅を条件に同意を得たものと思われる。
しかし、土砂搬送方法の変更は、設計概要変更申請を出して知事の承認を得ることが必要である。辺野古埋立には関係がないとして拡幅工事を行い、完成すれば埋立用土砂の搬送のために使用することは許されない。