辺野古新基地建設の立地条件そのものにかかわる重要な問題として、活断層や軟弱地盤の問題に加えて、飛行場周辺の高さ制限の問題が浮上している。
米国防総省の「統一技術基準書」では、滑走路の周囲2286mの範囲の高さ制限が45.72mとされている。辺野古新基地の滑走路の高さは標高8.8mなので、高さ制限は標高54.52mとなる。これ以上の高さの建築物等があってはならないのだ。
本年4月の沖縄タイムスの報道をきっかけに、沖縄高専や辺野古弾薬庫、久辺小・中学校、そして送電鉄塔等がこの高さ制限を超えていることが大きな問題となった。しかし防衛局は、各方面からの要求にもかかわらず、高さ制限を超える建築物等の実態を明らかにすることを拒否し続けている。
そのため、オール沖縄会議は、自分たちで実態を調べるために、測量事務所に依頼して、本年6月9日、豊原・辺野古地区一帯の水準測量を行なった。その結果がまとまったので、今日(26日・火)、県庁記者クラブで記者会見を行なった。
(26日、県庁記者クラブでの記者会見)
測量の結果、深刻な事態が明かになった。下図が、測量結果をまとめた図である。赤色と桃色で表示した建築物が全て54.52mの高さ制限を超えているのだ(すでに各建物の高さが分かっている沖縄高専は、今回は測量を行なっていない)。
・住宅:約67戸、店舗:7戸 建物高 最高 65.01m
・マンション:4戸(2~6階建 全142室) 建物高66.60m、66.32m等
・公共建築物 久辺中学校 高さ63.57m
久辺小学校 高さ62.70m
豊原地区会館 高さ60.25m
・その他、沖縄県花卉園芸共同組合(敷地高57.46m)、北部雇用能力開発総合センター(敷地高53.76m)、防衛局名護事務所、久辺郵便局(敷地高54.08m)
(上図の各建物の形状は正確ではありません。また、これら以外にも高さ制限に入っている建物もあります。)
沖縄高専や久辺小・中学校だけではなく、これだけ多くの住宅、マンション等が高さ制限の中に入っていることが明かになった。政府は、「米軍との調整の結果、これらの建物は高さ制限の適用除外とされている」などと弁明している。しかし、この弁明は、高専学生寮に生活する552名の学生、そして久辺小・中学校に在籍する234名(今年度)の児童生徒、そして約75戸の民家、4棟のマンションに住むの多くの住民の命と安全を無視した許しがたいものである。
辺野古新基地建設事業は、その立地そのものが問題となっており、ただちに白紙撤回されるべきである。
(現地の水準測量 6月9日)