沖縄防衛局は1月27日早朝、2台の大型クレーン船や台船等計7隻の作業船を大浦湾に進入させ、巨大なコンクリートブロックの投入を始めた。臨時制限区域に沿って引き出したオイルフェンスや標識ブイのアンカーだという。昨年10月、台風19号の影響でフロートを海底に固定していた鋼板アンカー(重量160Kg)が引きずられてサンゴ礁や海草藻場が破壊されただけではなく、設置したアンカー248個のうち120個が流出してなくなってしまった。そのため、今度は1個が20~45トンもある巨大なアンカーを数10個も設置するというのだ。
27日以後、海保が抗議船やカヌー隊を排除しながら、大型クレーン船によるコンクリートブロックの投入作業が続いている。大浦湾に大型クレーン船が行き来し、巨大なコンクリートブロックが沈められる光景を見るのはたまらなく辛い。泣きながら抗議するカヌー隊のメンバーもいる。
(大浦湾に投入された巨大なコンクリートブロック)
(海保に守られて進むコンクリートブロックの投入作業(1月29日))
大浦湾に大きく引き出されたオイルフェンスが海を引き裂き、アンカーの巨大なコンクリートブロックが海底のサンゴ礁を破壊している。しかも許しがたいことに、防衛局は沖縄県漁業調整規則に基づく岩礁破砕許可申請の手続きもとらずに作業を続けているのだ。沖縄県はただちに防衛局の作業を中止させなければならない。以下、この点について説明する。
沖縄県漁業調整規則39条は水産資源を保護するため、サンゴ礁などの海底を改変する行為を行う場合は、知事の許可を受けなければならないと定めている(「岩礁破砕行為」)。今回の辺野古埋立計画に関しても、防衛局は昨年7月11日、埋立工事そのものの岩礁破砕許可申請を行い、知事は8月28日に許可をした。(海底ボーリング調査については、同年8月14日に「許可不要」と回答している。)
この岩礁破砕許可は、あくまでも埋立工事の範囲内(172ha)の許可であり、「工事の施工区域を明示するための浮標灯」の設置は記載されていたが、今回のような巨大なコンクリートブロックを設置することは含まれていない。工事の施工区域の外周線(臨時制限水域)にコンクリートブロックをアンカーとしてオイルフェンスを張り巡らすためには、岩礁破砕許可申請が必要である。(ボーリング調査等の場合は許可を要しないとされているが、その場合でも事前に許可の要不要について県と協議することとされている。)
基地の県内移設に反対する県民会議は、本年1月14日、県に対して、岩礁破砕許可の手続きをしないままフロートのアンカー設置を着工させてはならないと申し入れを行った。県は当初、「アンカー設置は岩礁破砕の対象とはしていない」と逃げていたが、「それは漁船のアンカー等についてであり、今回のような巨大なアンカーは異なる」と追求を受けると認めざるを得なくなった。そして、県農林水産部は、1月15日、フロートのアンカーについて、「アンカー設置に伴う行為が沖縄県漁業調整規則第39条に規定される岩礁破砕行為、またはその協議事項に該当する行為であるかどうかを確認するため」として、次の各点について防衛局に文書照会を行った。(この日、県の土木建築部は、「仮設桟橋」(大型突堤)について、設計概要の変更申請の手続きが必要かどうか確認するための文書照会を行っている。)
1.アンカーの仕様(大きさ、重さ、形状、設置数など)、2.アンカーの設置要領(設置場所、設置方法、設置間隔など)、3.アンカーの回収方法、4.荒天時の対応方針
この県の照会の回答期限は1月30日だった。しかし、防衛局は県に回答もしないまま、1月27日から20~45トンもある巨大なコンクリートブロックの投入を強行したのである。 これほど県を無視した違法行為はない。(防衛局は、1月30日に回答を郵送したと称している。)
県の「岩礁破砕等の許可に関する取扱方針」では、「無許可行為に対する措置」として、「知事は、許可を得ずに実施中の行為について、当該行為者に対し、行為の停止及び現状回復を命じることができる」と定めている。県は、ただちに、防衛局に対して、「これ以上のコンクリートブロックの投入の禁止、すでに投入されたものの撤去」を命じなければならない。