沖縄平和市民連絡会は、今、開会されている沖縄県議会に2件の陳情書を提出している。
本ブログの10月2日では、「大浦湾のB27地点で始まったボーリング試験に関する陳情書」を説明したが、今日は、「奄美大島からの石材調達に伴う特定外来生物の侵入を許さないための陳情書」の全文を掲載する。
この2件の陳情は、10月15日、16日の土木環境委員会で審議される。
ご注目ください。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1f/4a/31caaf6e20c90c101f0ec0a4c7ce5b1f.jpg)
(荒っぽい方法で切り崩されている奄美大島の採石場(2024.9.2 撮影))
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2024年10月1日
沖縄県議会議長様
辺野古新基地建設事業で、奄美大島からの石材調達に伴う特定外来生物の侵入を許さないための陳情
沖縄平和市民連絡会
本年4月、防衛局が辺野古新基地建設事業の埋立「土砂」を奄美大島から調達すると大きく報道されました。その後、防衛局は8月中旬、鹿児島県や奄美大島の4市町村を訪問し、奄美大島の採石場や搬出港で特定外来生物の生存状況の現地調査を行うと説明しました。そして9月中旬に、奄美大島に現地調査に入りました。
これらの報道ではいずれも、「土砂」調達とされていましたが、最近になって防衛局は、「奄美大島から調達するのは『石材』であって、『土砂』ではない」と言い始めたようです。長く、「土砂」と報道されていたのを打ち消しもせず、7月の市民団体との意見交換の場でも、奄美大島から調達する「土砂」の問題について話し合っていたのですから、今になって、「『土砂』ではなく、『石材』」というのは納得がいきません。防衛局は、「岩ズリ」を「石材」と称している可能性があります。
調達されるのが「土砂」なのか、「石材」なのか、まだ不明な点もありますが、防衛局がすでに奄美大島で現地調査を行った今、県として早急な対応が必要です。
そのため、下記のとおり陳情しますので、ご配慮されるよう要請します。
記
1.今回、防衛局が奄美大島に特定外来生物の調査を行ったのは、「土砂(岩ズリ)」調達のためか、「石材」調達のためか、防衛局に文書での明確な説明を求めること。
「石材」を調達するというのであれば、その目的、搬入量、搬入期間等を明らかにさせること。
2.県は、代執行で承認された設計概要変更承認申請書の審査の過程で、防衛局に対して、本事業で必要となる石材の調達先について質問したが、防衛局は、「(石材について)現時点で県外からの調達は考えておりません」と文書回答した(2021年1月11日)。また、設計概要変更承認申請書に添付された「環境保全に関し講じる措置を記載した図書」(以下、「環境保全図書」)の「主な資材搬入計画」でも、「(石材について)沖縄県内において、本事業への必要量は確保できる」と記載されている。
辺野古新基地建設事業に使用する石材を奄美大島から調達するというのであれば、埋立承認の際の留意事項に基づき、環境保全図書の変更について知事の承認を得る手続きを取らせること。
3.那覇空港滑走路増設事業で、石材を奄美大島から調達するよう変更した際も、留意事項に基づく知事への承認申請が出され(2015年4月6日)、知事が承認している(2015年7月15日)。沖縄県の「公有水面埋立事業における埋立て用材に係る外来生物の侵入防止に関する条例」(以下、「土砂条例」)に基づく埋立用材搬入届出書は、知事の承認後、5ケ月以上経過した後に出されている。
今回も、「土砂条例」に基づく埋立用材搬入届出書は、環境保全図書の変更について知事の承認を終えるまでは受理しないこと。
4.防衛局が現地での特定外来生物の調査を終えた今、何時、「土砂条例」に基づく届出書が提出されるか分からない状況にある。早急に、届出書の審査、現地立入調査を厳密に実施するために、環境部に担当職員を大幅に増員し、特定外来生物に詳しい専門委員の委嘱等、万全の準備態勢をすすめること。
5.沖縄県は2018年8月~10月、当時、土砂調達が予定されていた鹿児島県等の7県に職員を派遣し、辺野古新基地建設事業で特定外来生物を他地域に移動しないための取組について、協力を要請した。また、今年になってからも、設計変更申請の「土砂に関する図書」に記載された4県に職員を派遣したという。今回、奄美大島からの埋立用材調達が確実になったことを受け、鹿児島県や奄美大島の4市町村を訪問し、特定外来生物に関する情報提供や、県の今後の立入調査への協力等を要請すること。
6.那覇空港滑走路増設事業で奄美大島から石材を調達する際、「土砂条例」が初めて適用された。当時、県が委嘱した専門委員からは、「特定外来生物の混入は採石場よりも搬出港で起こる可能性が高い」と指摘されている。奄美大島の搬出港は鹿児島県や地元市町村が管理している。県への搬入前後にかかわらず、鹿児島県や地元市町村の協力を得て、搬出港への徹底的な立入調査を繰り返し実施すること(当時、専門委員からは、「生物は常に移動分散しているので、1回の調査では不十分」、「クモは風で飛ばされるので、最低、岸壁から内陸に100mぐらいは調査すること」と指摘されている)。
7.那覇空港滑走路増設事業で奄美大島から石材を調達する際、内閣府沖縄総合事務局が提出した「土砂条例」の届出書(2015年12月)では、「これまで採石場や搬出港で特定外来生物は確認されていない」とされていたが、沖縄県が現地立入調査を実施したところ、3ケ所の採石場、3ケ所の搬出港の全てで特定外来生物が確認された。
本年9月、沖縄防衛局が実施した調査結果にかかわらず、奄美大島には特定外来生物が広く分布しているという前提で対応すること。
8.本年9月13日の報道では、防衛局は、「辺野古新基地建設事業で、宮城島から石材調達のために事前の環境調査を始めるとうるま市に伝えた」という。設計概要変更承認申請書に添付された「埋立てに用いる土砂等の採取場所及び採取量を記載した図書」(以下、「土砂に関する図書」)では、宮城島は、土砂(岩ズリ)調達可能地とされていた場所である。防衛局は、「岩ズリ」を「石材」と称している疑いがぬぐえない。
宮城島から調達しようとしているのは、「土砂(岩ズリ)」か、「石材」かを防衛局に確認すること。
以上