今日(3月23日・木)は、知事の辺野古・設計変更申請不承認を取消した国交大臣の裁決取消を求める辺野古・大浦湾周辺住民の抗告訴訟の口頭弁論を傍聴した。
那覇地裁に向かっている時、名古屋のYさんから連絡が入った。Yさんらは、2016年の高江・ヘリパッド工事強行のための機動隊派遣の違法性を問う住民訴訟で、名古屋高裁で逆転勝訴判決を勝ち取っていたのだが、最高裁が愛知県の上告を受理せず、高裁判決が確定したというのだ。沖縄や東京の住民訴訟は最高裁で敗訴が確定していただけに、愛知の住民勝訴判決の確定はやはり嬉しい。
名古屋高裁判決は、派遣決定の手続きの瑕疵を問題として一部の損害賠償を命じたものだが、次のような内容もある。
ゲート前の座込みテントや車両の撤去について、「本件車両及び本件テントを強制的に撤去する法的根拠は見当たらない」とし、「本件車両及び本件テントの撤去を含む態様は、派遣された都府県警察の警察官及び沖縄防衛局の職員が組織的、計画的に行ったものであり、沖縄県警察においては、上記撤去が違法である疑いが強いことを認識しながら、敢えて援助要求を行った。援助要求には重大な瑕疵があるというべきである」とまで言い切っている。沖縄県警の対応を厳しく批判したものであり、この判決確定の意味は極めて大きい。
口頭弁論後の集会で発言の機会があったので、「愛知の住民勝訴が確定した」と報告をした。皆、大きな拍手で喜んでくれた。辺野古の裁判では、裁判所が国に忖度したような判決が続くが、こんなこともあるのだ。司法の状況がいくら厳しくても、ともかく裁判を提起し、争い続けないとこんな勝訴もない。ここまで頑張り抜いたYさんら、名古屋の原告、そして弁護団の皆さんに心から敬意を表したい。
ところで、今日の辺野古周辺住民の抗告訴訟の口頭弁論ではとんでもないことがあった。原告を代表してAさんが意見陳述をする予定だったが、裁判長が事前に陳述の原稿を提出するよう求め、内容に問題があるとして修正するよう指示してきたのだ。この内容では陳述を認めることはできないという。こんな「検閲」は今までなかった。
Aさんは陳述案で、辺野古新基地事業について、「自然を破壊し、生物多様性を損壊する国家犯罪です」と書いていたのだが、「国家犯罪」という表現は認めることができないというのだ。他にも、「犯罪行為」や「断罪」等の表現についても「適切ではない」とした。何故、Aさんの個人的な想いを、裁判長が制止できるのか? 被告の国が問題にすることはあるとしても、裁判長が制止するとはどういうことか?
弁護団やAさんは、法廷での意見陳述の機会を重視するため、やむなく裁判長の指示に応じ、これらの表現を修正して陳述したが、裁判長によるこのような「検閲」は認めることはできない。
今日の法廷でも弁護団は抗議したが、裁判長は「原告の意見陳述は、原告としての当然の権利ではない。弁論が円滑に進むよう協力をいただいたもので、訴訟指揮の問題だ」と抗議をはねつけた。
他にも、今後の訴訟の進め方として、原告に対して、「まずは訴訟要件を中心にすえて反論してください」と、本論に入ることなく原告適格の問題でこの裁判を切り捨てようとしていることを露骨に匂わせた。
(口頭弁論後の報告集会)