13日(水)午前の院内集会、防衛省交渉、午後の海上保安庁交渉、そして夜の集会を終え、14日(木)、沖縄に戻ってきた。機内で、海上保安庁交渉の録音テープを聴き直し、要点をまとめた。以下、海保との交渉の内容を簡単に報告しよう。(我々の質問事項とその詳細については、先日のブログ(海上保安庁交渉の問題点)を参照されたい。また、防衛局との交渉の内容については、琉球新報が1面で報告したような重大な問題があるので、問題点を整理した上で明日以後に報告する。)
この日の海上保安庁との交渉は、「辺野古への基地建設を許さない実行委員会」の要請を受けた福島瑞穂議員の努力で実現した。海上保安庁からは5名が出席、岩永洋氏(海上保安庁警備救難部警備課)という専門官が主に回答した。
(市民の抗議船の転覆事件の映像を見る海上保安庁職員ら。この日の交渉では、職員の顔の分かる写真を撮影しないことという条件が付けられていたので、これ以外の写真は撮影していない。)
(「ラヴ子」の転覆事件)
福島議員が中心となり、まず、4月28日、海保によって我々の抗議船「ラブ子」が転覆させられた事件を中心に海保を追求した。しかし、海保は「転覆の原因については調査中であり、今、お答えできない。しかし、フロートの中に入ると工事現場で危険だから入らないでくださいと再三お願いしてきた。また、中に入るのは、法に触れます、罰則もあるので入らないでくださいとお願いしてきた。我々の指導にもかかわらずそういう状態が発生した場合は、保安官が乗り込んだり、船を横付けして止めるということはあり得る。」と責任を認めようとしない。
このような海保の無責任な対応に、転覆させられた際、「ラブ子」に乗っていた我々の仲間が撮影した映像を上映し、①定員オーバーになる形で保安官が乗り込んできた、②「ラブ子」が傾いている時に、海中から来た保安官が左舷を下げて転覆させた。右側からも保安官が押している。意図的に転覆させたのではないか、等と強く抗議した。
私も、「この間、相次いでいる海保による『不屈』や『勝丸』への追突事件、そしてこの『ラブ子』の転覆事件等、まかり間違えば人命にもかかわる大変な事態だ。今日も海保は、『安全の確保・法令の遵守』を強調するが、これだけケガ人が続出している事態をどう考えるのか。我々、抗議する市民は『安全確保』の対象ではないのか! また、『法令遵守』というが、フロートの中に入った場合だけではなく、フロートの外でも海保が規制することも多い。私が海保に全治2ケ月のケガをさせられたのも、フロートの外だった。」と強く抗議した。また、カヌー隊のメンバーからも、『海保は、転覆させたカヌー隊メンバーの頭を抑えて海に沈めたりしている。』と抗議の声があがった。
この「ラブ子」の転覆事件については、海保が「調査中」と言って具体的な説明をしなかったので、調査がまとまった段階でその内容を福島議員にきちんと報告するよう約束させた。
また、海保の現場指揮者・吉田氏による「死んだら連絡する」などの暴言についても問題となった。彼はその他にも、「告訴人、黙れ!」というような暴言を繰り返している。参加者からは、「あまりに許せない発言だ。複数の者が聞いている。彼のやり方、暴言はもう度を越している。現場から撤退させなさい!」という声が集中した。福島議員も、「吉田氏についてはやりすぎです。処遇についても考えてもらえますか。」と指摘した。
(「不屈」への海保指揮船の追突事件 4月6日)
最後に、5月5日、シュワブ基地ゲート前で海上保安官らが抗議する市民らを暴力的に押さえ込んだ事件について追求した。海保の岩永氏は、「その日は、海上保安官たちが車両7台でシュワブ基地に入ろうとした際、複数の抗議者の方々が突然、車両の前に飛び出して車を止めた。また車が停止して国道が渋滞した。そのため、『あぶないですよ』と言って安全な道路脇まで移動してもらった。」と弁明した。
全く事実関係を無視した海保の説明だったため、急遽、現場での映像を上映した。一人の市民を5~6名の保安官が押さえ込み、足や腕を関せつ技のような形で締め付けている様子が生々しく映し出された。保安官らが暴力をふるう度に、参加者からは悲鳴や怒りの声が湧き上がった。岩永氏は、「抗議する方が暴れられたので---」とも弁明していたが、大勢の保安官が一方的に市民に襲いかかっているのだ。
参加者からも、「海上保安官が陸上でこうした実力行使をする法的根拠はない。海保はいつも『法令の遵守』というが、こんな違法行為は絶対に許せない。」という声があがった。岩永氏もさすがにまずいと思ったのか、「これは海上保安官としての職務行為ではない。危険な状況があったので安全確保的に一般的な緊急の措置としてやったものです。」と弁明したが、映像にもあきらかなうように、ほとんど無抵抗の市民に5~6名の屈強な保安官が襲いかかっているのだから、「危険な状況」は海保が作り出しているのだ。
福島議員は交渉の最後を次のようにまとめられた。
「初めて映像を見たが、非常に衝撃的でした。一人の人間に対し押さえ込んで、関節技をかけて、これはやりすぎです。『不屈』の件も『ラブ子』の件も問題だし、吉田氏の発言にも驚いた。今日は本部として当事者の声を聞いてもらったので、現場をきちんと指導してほしい。吉田氏については、これだけはっきりと指摘されているので、今後について考えて見てください。」、「『ラブ子』の転覆事件について、調査が終わったら報告してください。2度とケガ人がでないよう現場を適切に指導するようお願いします。」
岩永氏は、調査結果の報告、現場の「適切な指導」を約束し、この日の交渉を終えた。
沖縄では、第11管区海上保安本部は我々の抗議を、ゲートを閉めていっさい拒否し続けている。そのような中で、海上保安庁を話し合いの場に出てくるよう努力された福島瑞穂議員には心から感謝したい。