今日(5月11日)、防衛省のホームページに、「普天間飛行場代替施設について」というとんでもない宣伝記事が掲載された。「地盤の安定性を確保した工事が可能」「環境保全にも十分配慮」といった内容への批判は改めてまとめたい。
https://www.mod.go.jp/j/approach/zaibeigun/frf/index.html
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沖縄防衛局は、コロナ禍にもかかわらず、辺野古新基地建設事業の変更承認申請書を県に提出した。「この政権は沖縄を、そしてそこで暮らす人々を、いったい何だと思っているのか」(4月23日 朝日新聞社説)という怒りの声が沸き上がっている。
(防衛局が提出した変更申請書 琉球新報2020.4.21)
辺野古新基地建設事業では、未明のアセス評価書持込など(2011年12月28日)、強引なやり方が続いてきたが、今回のコロナ禍の真っ最中での変更申請提出は、政府の沖縄蔑視感をそのまま示していると言えよう。「うりずんの会」(沖縄選出野党国会議員団)の抗議に対して、渡辺防衛政務官は「(コロナ禍での申請は)事情も知らずにそういうことになってしまいお詫び申し上げる。本意ではなかった」と謝罪したというが(2020年4月26日 沖縄タイムス)、この時期での変更申請提出には、政府内でも混乱があったものと思われる。推進派の支持も得られず、全県民を敵にまわす結果となった今回の変更申請提出は、政府の「大失策」となることは明らかである。
今回の変更申請には、公有水面埋立法第13条の2に基づく「『設計の概要』の変更」と、埋立承認の際の「留意事項」にもとづく「埋立に用いる土砂等の採取場所及び採取量を記載した図書」、「環境保全に関し(ママ)措置を記載した図書」の変更の2つの内容が含まれている。この2つの変更は、法的根拠が全く異なるのだ。
岩国基地沖合移設事業に伴う埋立事業では、8回の変更申請が行われたと言われているが、公有水面埋立法に基づく変更申請が4回、留意事項に基づく変更が4回であった。また、那覇空港第2滑走路埋立事業では、公有水面埋立法に基づく変更申請が1回、留意事項に基づく変更が5回であった。
今回、防衛局が提出した変更申請書の内容は未だ公開されていないが、公表されている「変更承認申請の概要」によれば、次のようになる。
1.公有水面埋立法第13条の2に基づく「『設計の概要』の変更」
地盤改良工事の追加、護岸や埋立地の設計変更、辺野古地区地先の埋立の取止め、ケーソン護岸の天端高の変更
2.「留意事項」に基づく変更
環境保全図書の変更、埋立土砂は「沖縄県内でも調達可能」、埋立土砂に「公共残土やリサイクル材等の追加」(これは公水法に基づく変更でもある)
特に問題となるのは、埋立土砂の調達先である。「変更承認申請の概要」では、「埋立土砂等の必要量は、調達可能(沖縄県内でも調達可能」としか書かれていない。このことを受けて、「埋立土砂は全量県内調達」という報道が相次いでいるが、防衛局は、「具体的な調達先は未定」と言い続けている。
これでは、今回の変更申請でも、埋立土砂が何処から調達されるのか、具体的な調達先が書かれていない可能性が高い。しかし、それが明かでない限り、環境への影響等も判断できず、変更申請書としては不備である。その場合、県は変更申請書を突き返すべきであろう。