台風襲来のため、しばらく海上行動はお休みだ。今日(8日・水)は辺野古に行かず、県議会の軍特委(米軍基地関係特別委員会)を傍聴した。高江や辺野古の陳情が審議されるので、毎回、軍特委だけは傍聴することにしている。今日の傍聴者は陳情を出した高江・住民の会のRさんと私だけだった。
(8日の県議会軍特委)
高江の陳情に対する審議では、「知事は一度、高江を視察してはどうか」という議員の質問に対して、町田公室長が「知事の日程等を勘案しながら検討したい」と答えたのが注目される。また、今日の軍特委では辺野古の問題で特に気になったことがあるのでまとめておきたい。
防衛局は、今年1月末から岩礁破砕許可(埋立本体部分内。昨年8月28日)の範囲外に大量のコンクリートブロックを投下した。県は、防衛局に調査に入るまでの作業中止を指示したが、国は行政不服審査請求・執行停止の申立等で県の指示の効力を一時的に停止するなど、県の指示に従おうとしない。翁長知事は、再三にわたって許可条件違反(昨年8月28日の許可には、「本申請外の行為をした場合は、許可を取消すことがある」という許可条件がついていた)で埋立本体部分の岩礁破砕許可を取り消すと繰り返してきたが、米軍が臨時制限区域内での立入調査を認めないこともあって、現在に至るまで許可の取消しには至っていない。今のままでは、知事は岩礁破砕許可の取消ができないのではないかと危惧される。
ところが最近になって、この問題についていくつかの事実が明らかになってきた。結論から言うと、昨年8月28日の埋立本体部分の岩礁破砕許可の審査の過程には瑕疵が多く、許可そのものが取り消さなければならないのだ。防衛局の申請内容は杜撰なものだったし、当時(仲井真知事時代)の県の審査も全く不十分なものだった。今までこの問題については「許可区域外への投下だから、許可条件違反ということで岩礁破砕許可を取消すべき」と言われていたが、それ以前に、当時の県の審査過程に瑕疵があったので、許可そのものが取り消されなければならないのだ。
以下、瑕疵の内容を簡単に説明しよう。
まず、先日、Mさんが指摘した「長島の消失」問題がある。防衛局は本体工事にあたって、海底部分を広範に「床掘・浚渫」する。埋立承認願書にも書かれているが、「床掘・浚渫」はまさに岩礁破砕なので昨年8月28日の岩礁破砕許可申請にもその図が添付されている。それが下の図面だ。
(「床掘・浚渫」の図面)
一番下のジュゴンがひっくり返ったような形の「床掘」箇所は、この図面では長島が何故か、描かれていないが、明らかに長島に重なっていることから、「長島が消失する」と大きな問題になった。防衛局は、あわてて「図は概略図。長島には手をつけない」と弁明したが、そのような杜撰な図面を提出したことが問われなければならない。さらに、申請書では、この「床掘」箇所は「岩礁破砕面積」に含まれていないのだ。概略図で済ませるのではなく、この部分の「床掘」面積を正確に算出し、岩礁破砕面積を訂正しなければならない。
さらにコンクリートブロックの大量投下問題がある(詳細は本ブログ6月30日参照)。公文書公開請求で入手した埋立本体工事の設計図書をチェックすると、今後、最大57トンもの巨大なコンクリートブロック102ケをはじめ、286ケものコンクリートブロックが大浦湾に投下されることが分かった。このうち、236ケは汚濁防止膜のアンカーだという。今まで問題となっていた施工区域に沿った箇所でのコンクリートブロック投下は、45トンのもの8ケをはじめ、全49ケに過ぎなかったから、これはとんでもない計画だ。
県に確認すると、「汚濁防止膜のためのコンクリートブロック投下は昨年8月28日の岩礁破砕許可に一応含まれている。問題は、防衛局は約15トンのコンクリートブロックを投下するとしていたので、それを超える重量のものについては県と協議する必要がある」というのが水産課の見解だった。
しかし、当時の岩礁破砕許可申請には下のような図面が添付されているだけだ。
これらの図を見ても、汚濁防止膜のアンカーとして四角いブロックのようなものがついているが、その詳細は、「施工要領図」に「アンカーブロック 2.5×2.5×1.0」とされているだけで、重量、数量、位置等は全く記載されていない。また、これらのコンクリートブロックの寸法、個数から面積を計算すると3,006㎡にもなるが(ただし、「係留シンカー」を含む)、これは「岩礁破砕行為の面積」には含まれていない。防衛局の申請書は全く杜撰なものであり、それを是正させないまま許可を出した県の審査にも瑕疵があったことは明らかである。
以上、述べてきたように、昨年8月28日の埋立本体部分の岩礁破砕許可には瑕疵があったので取り消されなければならない。
今日の軍特委では、「長島の消失」問題も話題になったが、県は、「実施設計の協議の段階で長島に影響がでないかどうか審査する」と回答しただけだ。この問題は、埋立承認の取消し、そして岩礁破砕許可の取消しに繋がる重要な問題である。県は問題をあまりに軽視しすぎている。