チョイさんの沖縄日記

辺野古や高江の問題等に関する日々の備忘録
 

あまりにひどい沖縄県土建部の対応 「政府の地震調査員会の南西諸島周辺でM8級の巨大地震のおそれという長期評価、県の津波予想は、公有水面埋立法の審査基準にはない」--- これは知事の了解を得た答弁か?

2023年12月14日 | 沖縄日記・辺野古

 今日(12月14日・木)、沖縄県議会土木環境委員会で、沖縄平和市民連絡会が提出していた「辺野古・埋立承認の再撤回を検討するために、第3者委員会の設置を求める陳情」(全文は末尾に掲載)が審議された。

 崎山嗣幸県議、比嘉みずき県議、玉城健一郎県議らの質問に対する県土木建築部長らの答弁はあきれるほどひどいものだった。

 私たちが埋立承認再撤回の理由として最初にあげたのは、政府の地震調査委員会が、南西諸島周辺でM8級の巨大地震がおきるおそれがあるという長期評価を出したことや、沖縄県の「津波浸水想定」でも、辺野古新基地には高さ12m近い津波が襲うという予測をしているという問題だった。これらは「埋立承認後の事情の変化」であり、当然、埋立承認の再撤回の理由となるものだ。

 しかし、崎山議員の「巨大地震のおそれ、津波予測をどう考えるか?」という質問に対して、土建部長らは驚くような答弁をした。「これらは公有水面埋立法の審査基準にはない」として、いっさい問題とはならないというのだ。公有水面埋立法第4条1項では、「環境保全及び災害防止につき十分配慮されたものであること」とされており、県の答弁はあきれる他ない。

 また現在、防衛局は、辺野古側の埋立が終了しているにもかかわらず、辺野古への土砂海上搬送を続けている。これは、大浦湾の埋立土砂の仮置きであり、設計変更申請の内容を先取りした違法工事であることは明らかだ。しかし、土建部長らは、「防衛局に確認したところ、大浦湾の埋立土砂は搬入していないということだった」として、全く問題にしようとしないのだ。違法工事をしている当事者が「違法」と認めるはずはない。県は、「埋立ではなく、赤土対策のための土砂搬送」というような防衛局のふざけた弁明を許すことなく、何故、毅然と対応しないのか?

 私たちが求めた承認の再撤回を検討する第3者委員会の設置についても、崎山県議の質問に対して土建部長は、「代執行訴訟判決を受けてどのような対応がとれるか検討していく」と回答をはぐらかした。また、比嘉みずき県議も、「第3者委員会の設置について、知事ら三役と十分相談すること」と迫ったが、同じ答弁を繰り返すだけだった。

 デニー知事は、こうした問題について十分承知した上で、土建部長らの委員会答弁を承諾したのだろうか?

 これでは、20日の代執行訴訟判決後、国土交通大臣が知事に代わって設計変更申請を承認し、すぐに大浦湾の工事が始まってしまう。県は何の対抗策をとることもなく、事業は加速するだろう。あるいは、国の代執行を待たずに知事が設計変更申請を承認してしまうことも考えられる。

 今、辺野古新基地建設反対運動は最大の正念場を迎えている。

 

   (今日の沖縄県議会土木環境委員会(県議会のネット中継より)

 

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(沖縄平和市民連絡会の陳情書全文)

 

沖縄県議会議長 赤嶺 昇様           2023年12月4日 

 

辺野古・埋立承認の再撤回を検討するために、第3者委員会の設置を求める陳情

          沖縄平和市民連絡会

          共同世話人

           高里鈴代・真喜志好一・松田寛・宮城恵美子・城間勝

<陳情の趣旨>

 国が提起した、辺野古・設計変更申請を知事に代わって代執行するための訴訟の判決が12月20日に言い渡されます。この代執行訴訟は、地方自治法の代執行の要件に該当しない不当なものですが、第1回口頭弁論では具体的な審理に入らず、即日結審となってしまいました。県には厳しい判決が出される見通しと報じられています。

 このままでは年内にも国土交通大臣が知事に代わって設計変更申請を承認することが予想されます。沖縄防衛局はすでに大浦湾での地盤改良工事や護岸工事等を発注し、契約を終えました。代執行されれば、すぐに工事が始まり、大浦湾の貴重な環境は致命的に破壊されてしまうでしょう。

 このような厳しい状況の中、沖縄県・玉城知事は埋立承認の再撤回に向けた検討作業を始めることが必要です。

 埋立承認後の事情の変化等によりその効力を持続するのが適当でないと判断された場合、知事は埋立承認を撤回することができます。今回の場合、埋立承認再撤回の事由となる「埋立承認後の事情の変化」としては、次のような事項があります。

 

1.辺野古新基地の耐震設計は中小地震を対象とした「レベル1」で設計されている。しかし、2022年3月、政府の地震調査委員会が「南西諸島でM8級の巨大地震のおそれ」という長期評価を公表したため、「レベル2」での耐震設計に見直すことが必要となっている。

 また、県の「津波浸水想定」(2015年3月)では、津波の最大遡上高が、辺野古崎で11.7mと想定されており(辺野古新基地の外周護岸の標高は8.1m)、津波の際に新基地は全て破壊されてしまう。

 

 2.防衛局は、設計変更申請の耐震設計は、2018年に改正された新版の『港湾施設基準』に準拠したと説明したが、実際には2007年の旧基準を使用していることが明らかになった。新基準に基づいて設計すれば最大加速度が約5倍となり、護岸の安定性が確保できないおそれがあるために旧基準を使ったと思われる。

 

3.防衛局は、2007年の土質調査で、「軟弱な沖積層が広く、厚く分布している。追加のボーリング調査が必要」と報告されていたにもかかわらず、埋立承認申請では、その事実を隠蔽し、「N値11の砂層。軟弱な粘性土層は確認されていない」としていたことが2023年11月に明らかになった。

 

4.防衛局は、辺野古側の埋立工事が完了したにもかかわらず、設計変更申請の内容である大浦湾の埋立のための土砂を辺野古側に仮置きするための搬送を続け、沖縄県の照会に対して、「埋立用土砂は搬送していない」と虚偽の回答を繰り返してきた。このような違法工事や、留意事項違反が相次ぎ、41回にわたる知事の行政指導にも従ってこなかった。

 

5.2023年3月31日に閣議決定された、「陸域及び海域の30%以上を保護地域にする」という、「生物多様性国家戦略2023-2030」に反していること。

 

6.陸上自衛隊と米海兵隊が辺野古新基地に陸上自衛隊の離島防衛部隊「水陸機動団」を常駐させる等、共同使用することで合意していることが2021年に明らかになった。また、米海兵隊も、南西諸島の島々を小規模に分かれた部隊で転々とするEABO(遠征前方基地作戦)構想等で再編される。辺野古新基地のような大きな基地が、ミサイルの時代に有効に機能するのかどうか等の再検討が必要である。

 

7.本年11月6日、在沖米軍幹部が、「軍事的に言えば、普天間から辺野古に移った場合は機能が低下する」、「辺野古が完成した後も普天間の維持を希望する」と発言している。普天間飛行場の改修・強化工事も続いており、辺野古新基地が完成しても普天間飛行場が返還されないおそれがある。

 

8.3回の知事選や県民投票で、辺野古新基地には反対という県民の民意が明確に示されてきた。 

 

<陳情の内容> 

 沖縄県は、上記①~⑧、及びその他の埋立承認再撤回事由を検討するために、2015年に翁長前知事が埋立承認を撤回した際のように、有識者による第3者委員会を設置すること。

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