毎週のように本土に講演にまわっていた疲れが出たのか、すっかり風邪をひいてしまい、ダウンしている。今日(19日・水)は、軟弱地盤問題地質調査データー不開示決定取消訴訟の進行協議。次回(7月19日・金)までに原告から準備書面を提出することとなった。
6月10日、辺野古土砂搬出反対全国連絡協議会が行った防衛省交渉全記録の後半を掲載する。 時間がなく、中途半端に終わってしまった項目が多いが、追加質問でさらに追及していきたい。環境省交渉の記録は、明日、掲載する。
(6月10日の防衛省・環境省交渉)
2.大浦湾の活断層・軟弱地盤問題、地盤改良工事について
⑴ 活断層について
2-1-1. 本年3月上旬、立石雅昭新潟大学名誉教授ら地質学者ら10数名が、辺野古・大浦湾周辺の地質調査を行った。その結果、楚久断層、辺野古断層から続く大浦湾海底部の落ち込みが活断層である可能性が高いと指摘されている。そして、政府が今までの地質調査のデータを全て公開するとともに、改めて活断層の存在についての調査を行うよう要請している。 政府は、今も、「権威ある文献等において辺野古沿岸域における活断層の存在を示す記載はない」と説明するが、既存の文献だけに頼るのではなく、今までの地質調査のデータから活断層が存在するかどうかについて具体的に説明するべきではないか? また、改めて活断層の存在について調査を行う考えはないか?
<防衛省読上げ回答> ●防災対策上、考慮すべき地震にかかわる国内の知見を包括的に集約し、提供している地震調査研究推進本部が活断層として整理紹介している各種の調査結果のデータベースのいずれにも、辺野古沿岸域に活断層の存在を示す記載はありません。 また、我国の活断層に関する1万以上の文献を網羅的に収集し、新文献についても追加、更新している最新のデータベースである活断層データベースにも、辺野古沿岸域に活断層の存在を示す記載はありません。 我が国における多数の地質学等の権威によって編集され、日本全国の活断層が網羅的に記載された活断層詳細デジタルマップにおいても辺野古沿岸域における活断層の存在を示す記載はありません。 沖縄防衛局において、今、申し上げている権威ある文献等において辺野古沿岸域に活断層の存在を示す記載はないことを確認しております。
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2-1-2. 立石雅昭新潟大学名誉教授ら、現場調査を続けている地質学者らとの意見交換の場を持つ考えはないか? <防衛省読上げ回答> ●一般的に空港土木施設や港湾施設の設置に際し、活断層については文献などの既存の資料による調査を実施するもので、現地調査までは実施していません。 なお、沖縄防衛局においては、権威ある文献等において辺野古沿岸域における活断層の存在を示す記載はないことを確認しております。
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⑵ 今後の地盤調査・土質調査の予定について
2-2-1. 昨年7月26日、防衛省の担当者は土砂全協からの「今後、ボーリング調査を行う予定はあるのか?」という質問に対して、「現時点において、現在履行中の室内試験を含むボーリング調査以外に、海上ボーリング調査を行う予定はない」と回答した。 今も、大浦湾で追加の海上ボーリング調査を行う予定はないのか? 従来、行ってきた地盤調査・土質調査に関する業務は、全て終了したのか? まだ継続中の業務はあるのか?
<防衛省読上げ回答> ●調査については現時点で継続中の業務はありません。大浦湾側の地盤改良にかかる検討については、今後、沖縄防衛局において具体的な設計等の検討を行うこととしており、現時点ではその設計業務の発注に向けた手続きを進めている段階です。 従来の各種調査によって護岸や埋立地等における土の層の分布状況や各層の強度特性は明らかであると考えております。
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2-2-2. 国土交通省の依頼で、「地盤に係る設計・施工の検討結果 報告書」(2019年1月。以下『検討結果報告書』)の内容の当否に関する鑑定を依頼された日下部治東工大名誉教授は、結論としては「概略設計段階としては適切である」としたが、今後、詳細設計の段階では追加の地盤調査・土質試験の必要性を指摘した[1]。 今後、追加のボーリング調査を行わないというのであれば、同名誉教授の鑑定を無視するものではないか? <防衛省読上げ回答> ●ご指摘の鑑定では、沖縄防衛局において行った「検討結果報告書」に記載した地盤改良工事を行うことにより、安定性を確保した護岸及び埋立て地の施工は可能であるとの評価をいただきました。 また、鑑定書では、地質調査に関する調査においても、概略検討を行うには適切な調査密度と判断できる旨の記載があります。 いずれにせよ、地盤改良にかかる工事については、今後、沖縄防衛局において具体的な検討をしっかりと行ってまいります。
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⑶ 地盤改良工事等に必要となる大量の砂の調達について
2-3-1. 「検討結果報告書」によれば、今回の地盤改良工事では、敷砂・砂杭等のために650万㎥もの砂が必要とされている。また、これ以外にも、ケーソンの中詰、埋立区域の盛土部でも予定されている地盤改良工事等にも大量の砂が使われる。 これらをあわせれば、辺野古新基地建設事業では総量何万㎥の砂が必要になるのか?
<防衛省読上げ回答> ●報告書の記載のとおり、実際の設計・施工にあたっては、より合理的な方法を追及することとしており、地盤改良に必要な材料についても確定していないことから、現時点で具体的に説明することは差し控えさせていただきます。
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2-3-2. 沖縄県の年間海砂採取量は、101万㎥~184万㎥であり(2007年~2016年)、今回の地盤改良工事等のために必要となる砂の量は、沖縄の年間海砂採取量の3~6年分にもなる。県内では現在以上の海砂採取は深刻な環境破壊を起こすことが危惧されるが、このように大量の砂をどこから調達するのか?
<防衛省読上げ回答> ●我が国の砂のH27年度の年間採取量は約3600万㎥であり、H28年度は約3700万㎥です。 今回の地盤改良工事で必要となる砂の量はこれを大きく下まわることになりますから、その調達は可能であると考えております。 他方、報告書にも記載したとおり、実際の設計・施工にあたっては、より合理的な方法を追及することしており、地盤改良に必要な材料についても確定していないことから、現時点で具体的に説明することは差し控えさせていただきます。
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<質疑応答>
〇砂の年間採取量は年間3600万㎥と言われたが、これは海砂、山砂、川砂等を全部含めた数字ですね。国交省と経産省が出した数字ですね。
●はい、そのとおりです。
〇山砂が相当含まれていると思いますが、山砂というのはほとんどが小石であって、砂の役割は果たしませんよ。そういうものを全部含めて3600万㎥だから供給が可能だというのは、あまりに杜撰だと思うのですが。
●いずれにしましても、砂の量はこれからの基本的な設計の中で検討していって確定していきます。現時点では申し上げられません。
〇3600万㎥というのは、母数をあまりにも広げすぎているのではないかと言っているのです。時間がないので、また後で答えてください。
〇今の話とも関連するが、我が国の砂の清算量は3600万㎥だから調達は可能と言われている。これは国会でも防衛大臣が答えられた。
これは、沖縄県外から砂を持ってくることを前提としていることとなる。一方では調達先は分からないと言いながら、少なくとも県外から持ってくることを前提とした話をしている。これはどうですか?
●調達の具体的な場所は、これからの設計の中で検討していくこととなります。
〇それと全国で3600万㎥だから650万㎥の調達は可能だという理屈もおかしいですよ。3600が3600+650、4250に増えるんですよ。
もう一つ、地盤改良工事の敷砂、砂杭に必要な砂は650万㎥となっているが、ケーソンの中詰土も砂ですね。願書には58万㎥と書かれている。それと埋立区域の盛土部分でも液状化対策を防ぐためにサンドコンパクション工法を行うと明記されている。その砂の量はいくらですか?
●ご質問の報告書の件については、実際の設計施工にあたってはより、合理的な方法を検討することとしておりますので、実際にどれだけの量の砂が必要かどうかは、これからの検討の中で決まってくることです。
〇今、聞いているのは、地盤改良工事ではなく、ケーソンの中詰土、盛土部分のSCP工法の砂の量であって、地盤改良工事の砂とは違う。
●ご質問は、事業の砂の総量はいくらかということでしたので、今の時点ではお答えできません。
2-3-3. 地盤改良工事等のために県外から砂を調達する場合は、沖縄県の「公有水面埋立事業における埋立用材に係る外来生物の侵入防止に関する条例」の対象となることを確認されたい。
<防衛省読上げ回答> ●地盤改良に必要な材料の調達先については、今後、検討していくこととなっていることから、現時点で説明することは困難ですが、関係法令に従い、環境保全に十分配慮する考えです。
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2-3-4. 「検討結果報告書」では、サンドコンパクションパイル工法の使用材料として、砂以外に「スラグ、再生砕石」等があげられている。鉄鋼スラグの使用も検討の対象とされているのか? 鉄鋼スラグは大浦湾の環境に与える影響があまりに大きいことから、使用しないことを約束されたい。
<防衛省読上げ回答> ●今回の検討では、地盤改良に使用する材料については、砂としています。実際の設計施工にあたっては、より合理的な方法を追及することとしており、地盤改良で使用する材料についても現時点で確定していないことから、具体的に説明することは差し控えます。
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<質疑応答>
〇我々が今、確認を求めているのは、鉄鋼スラグはあまりに環境への影響が大きいので、検討の対象から外すべきだと言っている。砂を使うか、鉄鋼スラグを使うか、それを含めて検討するという意味ですか? 鉄鋼スラグは始めから検討の対象から外すべきではないですか?
●お答えとしては、これから行っていく基本設計等において具体的に検討していきますので、地盤改良に必要な材料は現時点では確定しておりません。
〇検討する場合にも前提がある。最初からどうしようもないものは、検討の対象から外すべきだ。
あの大浦湾に鉄鋼スラグを放り込むなんてことがあり得ますか? どうですか、これは後で、環境省さんの方にもお聞きすることですが。
まだ、鉄鋼スラグを使用する余地を残しているんですか?
●まさに地盤改良にかかる設計等の検討を進めていますので、より合理的な方法を追及すると考えていますから、その中でしっかりと検討していきます。
〇鉄鋼スラグの使用を否定しないという意味ですか?
●そこは合理的な方法を追及します。
〇いや、我々が求めているのは合理的な方法ではないですよ。合理的ということではなく、あくまでも環境問題などの話ですよ。何を合理的と言っているの?
●もちろん、環境も含めて検討していくわけですが、その中で十分に検討して、必要な材料について検討します。
2-3-5. 「検討結果報告書」では、サンドコンパクションパイル工法は同時に4個所で11隻もの作業船を出して工事をするという密な工程となっている。敷砂のためのトレミー船への砂の供給、作業船への砂の供給等のために何隻もの砂運搬船が行き来するが、こうした砂の仮置き場が必要となるのではないのか?
<防衛省読上げ回答> ●今後、さらに検討を進め、より合理的な設計施工方法を追及することとしており、具体の施工方法についてお答えすることは困難ですが、今後の検討の中で効率的な施工となるよう検討を進めていきます。
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⑷ 今後の設計概要変更申請の手続について
2-4. 防衛局は本年4月26日、「シュワブ(H31)土木業務設計」、「シュワブ(H31)環境保全検討業務」の入札公告を行った。そこには、「各護岸の基本設計」、「地盤改良検討」、「不同沈下のシュミレーション」等のほか、「公有水面埋立変更申請に要する資料作成」も含まれている。7月5日が見積り合せ予定日で、履行期限は来年3月31日までとなっている。 設計概要変更申請はこれらの委託業務終了後になると思われるが、何時頃を想定しているのか?
<防衛省読上げ回答> ●地盤改良にかかる具体的な設計等の検討にあたっては、より合理的な設計・施工が普天間飛行場の早期返還に資することから十分に検討を行うこととしており、沖縄防衛局において設計業務の発注に向けた手続きを進めております。 この設計業務は、各護岸等や地盤改良にかかる基本設計、施工計画の検討の他、公有水面埋立法に基づく変更承認申請にかかる業務を行うこととしております。 現時点で変更承認の申請時期について確たることを申し上げることは困難ですが、十分な検討を行った上で、できるだけ早く申請したいと考えています。
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⑸ 地盤改良工事の総工費について
2-5. 政府は今も、今回の地盤改良工事について、「詳細な設計が終らなければ確たることは言えない」として総工費を明らかにしていない。しかし、公共工事においては、予算の適正執行の面からも、それぞれの時点で工期や工費が明らかにされなければならない。 防衛局は、埋立承認申請書の資金計画書でも、「埋立に関する工事に要する費用の額」として、各工事毎の費用を示し、総額を2,310億円とした。今回の地盤改良工事についても、現時点で概算した工費を示されたい。
<防衛省読上げ回答> ●沖縄防衛局においては、地盤改良にかかる具体的な設計等の検討を行うこととしていますが、より合理的な設計施工が早期返還にも資することから十分な検討を行うこととしており、現時点で経費について確たることを申し上げることは困難ですが、しかるべき時期にしっかりと説明させていただきます。
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3.県外からの土砂搬入に伴う特定外来生物の侵入の恐れについて
⑴ 高熱処理の実験について
3-1. 沖縄県は、公有水面埋立事業における特定外来生物の侵入を防ぐために、「公有水面埋立事業における埋立用材に係る外来生物の侵入防止に関する条例」(以下、「土砂条例」)を制定している。 沖縄防衛局は、2017年度、特定外来生物の高熱処理の実験を行い、「特定外来生物を死滅させるためには高熱処理が有効であるという結果が得られた」とした(シュワブ(H27)水域生物等調査報告書)。 しかし、膨大な量の土砂を高熱処理することは設備、経費、時間的にも不可能であることは明らかである。防衛局は今も、「高熱処理が有効である」という説明を繰り返しているが(2019.4.2 参議院安全保障委員会)、高熱処理の具体的な方法について検討作業を始めているのか? (前記報告書では、「高熱処理を行う場合には、上記の条件がまんべんなくいきわたるよう土砂等に処理を施す必要がある」、「プラントを造ることを想定」と記載されている。)
<防衛省読上げ回答> ●外来生物の侵入防止対策等については、これまでに特定外来生物の侵入防止対策を検討するための基礎資料として、特定外来生物が死滅する条件を明らかにすることを目的とした実験を行ってきました。 当該実験の結果、特定外来生物を死滅させるためには、高熱処理が有効であるとの結果が得られたところですが、特定外来生物の駆除方法については、今後、必要に応じて専門家當の意見を踏まえながら、適宜・適切に検討を行います。
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3-1-2. 今回の埋立に使用されるのは岩ズリ(土砂)であるため、洗浄すればほとんどが流れてしまう。洗浄という駆除方法を取ることはできない。洗浄、高熱処理がいずれも不可能な場合、他に駆除方法はあるのか? あくまで高熱処理で対応するのか?
<防衛省読上げ回答> ●特定外来生物の駆除方法については、今後、必要に応じて専門家等の意見を踏まえながら、適宜・適切に検討を行います。
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<質疑応答>
〇土砂の高熱処理についてですが、具体的な方法は今後、検討していくというだけですか? 高熱処理の実験をされたのは、水域等生物調査の中だから、随分、前のこととなる。あの報告書の中でも、高熱処理のためのプラントをつくるかどうか検討するなどと書かれていた。あれから3年ほどが経ったが、まだ具体的な検討はしていないのか?
●あの実験は特定外来生物の侵入防止策を検討するための基礎資料として行ったものです。今後、必要に応じて専門家の意見を踏まえながら、適宜・適正に進めてまいります。
〇だから、まだ、高熱処理が有効であるという報告書以後、いっさい具体的な検討はしていないんですね?
●今後、適宜・適正に検討していきます。
〇それはおかしい。具体的な駆除策はまだ決まっていないということですね。専門家の意見は、実験をしたときに聞いているではないですか?
今後、必要なのは、それを具体的に大量の土砂を隅々まで200度にあげることが可能かどうかでしょう。そんなことが実際に可能ですか?
●繰り返しになりますが、外来生物の駆除方法については、今後、適宜・適切に検討してまいります。
⑵ 採石場への立入調査への協力について
3-2. 沖縄県の土砂条例では、「知事は、特定外来生物が付着又は混入しているおそれがある埋立用材があると認めるときは、その県内への搬入の前後にかかわらず、当該職員又は知事の指定した者に、当該埋立用材の所在する場所に立ち入り、調査、質問させることができる」とされている。 防衛局は、事業の発注者として、採石場等に対して、沖縄県の立入調査に協力するよう指導されたい。
<防衛省読上げ回答> ●地盤改良に必要な材料の調達については今後検討していくこととなることから、現時点で説明することは困難ですが、関係法令に従い、環境保全に十分配慮します。 |
[1] 日下部名誉教授の鑑定書では、次のように追加の地盤調査・地質調査の必要性を指摘している。
「引き続き詳細検討が行われ、断面の修正、地盤調査・土質試験の追加の可能性も含め、『必要があれば前段階に溯って再検討を行う』ことは想定されている。」、「詳細設計で要求される詳細調査では、必要に応じ、より密度の高い地盤調査や土質試験を実施するなどしてより精緻な解析を実施するのが有益と考えられる。」、「必要に応じ、追加の地盤調査・土質試験が計画・実施されることも想定される。」