なんとなくクラシテル

獣医という仕事をしている人間の生活の例の一。
ほとんどが(多分)しょーもない話。

パール展

2006年01月11日 | 
へ。上野の科学博物館は最近、宝石関係の展覧会をやりたがってますなあ。以前「ダイヤモンド展」を見に行った時は、見物客の9割が女、しかもオバサンで、そいつらが殺気立っているのに恐れをなしたものだ。コワ過ぎる~~~!価格のつけようがない、貴重なダイヤ、思わず見入っていると「動きなさいよ!!」と怒鳴られるんだもんな、しかも満員電車並みの盛況ぶり、動けったって動きようがないんですが・・・・という状態だったし。
 今回も、そういうオバサン軍団がいたらコワ面白いよな、という怖いもの見たさもあったのだが。結構考える所のものはあった感じがするのよ。
 真珠の特殊性は「生き物が作る」&「偶然の産物」という所か。それに価値を感じたから、宝飾品の一種たり得るようになった、ということらしい。有難がってたのは、どうやらヨーロッパ人やアメリカ人供で、こいつらはでかくて綺麗な真珠を見つけるために、貝を開けまくって殺しまくったわけよ。挙句に真珠を作りえる貝を数十種、絶滅に追い込んでいるそうな。ひどい奴らだ。やっぱ、「南蛮人」とは言い得て妙だよな、と納得してしまう。日本では明治以前は特に重要視されてなかっただけじゃなく、産地の藩では大切に扱って、アコヤ貝を禁猟に近い状態にしていたらしい。養殖真珠の技術も日本発だ。これが発展しなかったら、今頃、その辺の貝は相当数が絶滅してしまっていたんじゃないか。ほーら、世界に誇る、日本の技術がこういうのにもあるわけよ。
 
 さて、養殖真珠作りの過程が公開されてて、その中で、科学博物館が解説していなかった事について解説しよう。貝の中にただ核を埋めただけじゃ、真珠は育たない。核&「外とう膜」と呼ばれる部分を、他の貝から移植する必要がある。しかーし、別の貝からポンと移植して拒絶反応は起きないの?これはね、起きないんですよ。なぜか?貝や魚類の免疫システムは単純で、自分と他人との区別をあまりつけられないの。抗体が、単純なIgMという奴だけから成り立っててね。良くある噂話だが、錦鯉の模様を美しくするために、別の鯉の鱗をテキトーに移植してしまう、という裏技もあるのだ。そんでもって、品評会で一等を獲るんだって。ホントかどうか知りませんよ、あくまで噂だけどね。
 IgM話はあっしが受験した年の獣医の国家試験に出たんだよなー。だから、未だになんとなく覚えてるんですけどね。
コメント
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