

会って話したのでは伝えようもない心の傷。14通の手紙が、それを書き尽くした。
「前略 蔵王のダリア園から、ドッコ沼へ登るゴンドラ・リフトの中で、まさかあなたと再会するなんて、本当に想像すら出来ないことでした」運命的な事件ゆえ愛しながらも離婚した二人が、紅葉に染まる蔵王で十年の歳月を隔て再会した。そして、女は男に宛てて一通の手紙を書き綴る――。往復書簡が、それぞれの孤独を生きてきた男女の過去を埋め織りなす、愛と再生のロマン。








再会のシーンが美しいなぁ、そんなことってあるんだなぁ・・・元夫婦と元妻の再婚相手の子供の3人が、偶然同じゴンドラに乗りあわせた。
なんで元夫が一人でゴンドラに乗って来たのか・・・往復書簡でわかっていく。
それにしても長いお手紙。
亜紀は男運がなかったのだろうか?
靖明が命拾いをしたとき、父親が何も言わなかったら元のさやに納まっていたんだろうか。
ゴンドラの後、亜紀たちが帰るまで待っていたのだし、亜紀だって再婚相手のことはさほどでもなかったことだし・・・
お手紙で心の整理をしていたのか、最後は真似のできない潔さが印象的でそういう生き方があるのだなぁと・・・
モーツァルトでのお話がとてもよかった。
「生きていることと、死んでいることは、もしかしたら同じことかもしれない」
こんな言葉が降って湧くようなことが起こっていたのだね。
素敵な本を読みました。
★★★★★
