Chapter One
Case Ⅰ
Dr.T.…The surgical service has asked for consultation concerning a man with a mediastinal lesion.
T先生:―外科から実は、縦隔洞腫瘍のある患者を紹介してきたんです。
a mediastinal lesion 縦隔洞腫瘍
The patient was admitted directly to the surgery ward as a probable case of aortic aneurysm because the admitting physician detected a tracheal tug and a chest film showed a mass in the mediastinum.
この患者は、胸部X線により気管の牽引と、縦隔洞腫瘍が発見されたため、一応、大動脈瘤の診断をうけて外科病棟に直接入院させられたわけなんです。
aortic aneurysm 大動脈瘤 動脈硬化症のため、大動脈壁の弛緩拡大が生じ、拍動性の腫瘤となったもの。60~70歳の男性に多い。以前は梅毒によるものが多かったが、最近は減少している。大動脈瘤が生じると他臓器を圧迫して、その部位により多彩な圧迫症状を呈することもあるが、初期には一般に無症状、動脈瘤が破裂すると出血性ショックの症状を呈し、死に至る。
mediastinum [ミーディアスティナム] 縦隔 左右の胸膜に挟まれる胸部中央。心、大動・静脈、気管、食道などを含む。
Dr.K.…Did the doctor fear impending rupture of the aneurysm?
K先生:―それでは、主治医の先生は、大動脈瘤の破裂をおそれていたわけですね。
Dr.T.…I don’t know. At any rate, the surgeons now think medical option is necessary because the patient is only 30 years old and has a negative Kahn reaction.
T先生:―そこのところは、私は存じませんが、とにかく、外科の先生方は、この患者が30才の男子であり、しかも血清梅毒反応が陰性であるという点で、内科医の意見を聞いてみたいと考えているわけです。
Dr.K.…Have you had an opportunity to take a history?
K先生:―先生が病歴をおとりになれましたか。
Dr.T.…Yes. The patient works in a department store and was perfectory well until two month ago.
T先生:―ええ、患者は、約2ケ月前まで、あるデパートで働いておりましたが、まったくそれまで健康でした。
He first noticed a cough, which was dry and hacking and, later, productive of clear mucus.
最初に患者は空咳が始まった後、だんだんと痰がでるようになり、透明な粘液のようなものが混じって来ることに気が付きました。
hacking 短い空咳
He had no fever and not felt ill, so he just quit smoking.
熱もなく、本人もそれほど気分も悪くないので、ただ、煙草だけを止めました。However, the cough persisted.
しかし、依然として咳が止まらなかったわけです。
Dr.K.…When the cough became productive, you say the sputum was clear. No purulent material or blood?
K先生:―先生は、痰が透明状だとおっしゃいましたが、いつから咳と痰が一緒にでるようになったのですか? 別に、血液や膿のようなものは、混っておりませんでしたか?
● sputum 痰
●purulent material 化膿性物質
Dr.T.…None. Neither was the amount of sputum large.
T先生:―いや別に―。痰の量もそう多くありませんしね。
However, the cough did interfere with his sleep. When he began to lose weight and strenth, he consuled a physician.
しかし患者は、咳のためにだんだんと眠れなくなり、体重の減少と、体力の衰えのため、心配になり、医師の診察をうけたわけです。
Dr.K.…I suppose the doctor ordered a chest film.
K先生:―その先生は、胸部X線をとられたのでしょうね?
Dr.T.…Yes, but apparently it was read as negative and only antitussive agents were prescribed.
T先生:―ええ、しかし、その結果はまったく正常であると判定されて、少量の抗生物質が処方されただけでした。
●antitussive agent 鎮咳薬
I since have reviewed that particular film; there is not much to see.
それで、私も特に注意してそのフィルムを見ましたが、とり立てていう程の所見もありませんでした。
In retrospect and with our own recent film available, I believe the mediastinal shadow is a bit widened.
まえのフィルムと、最近とられた我々のフィルムを比較してみると、わずかに縦隔洞の幅が拡がったという程度です。
Dr.K.…What happened next?
K先生:―それからどうなりましたか?
Dr.T.…Headaches appeared and became progressively worse and persistent. In fact, when I saw the patient, headaches was his primary complaint.
T先生:―頭痛が始まりだんだんと激しくなって来ました。実のところ、私がこの患者を見ました時は、頭痛が主訴でした。
Dr.K.…I hadn't expected that symptom. We know a recent x-ray study shows a mediastinal shadow which at first was taken to be an aneurysm.But he is a young man and has a negative serum reaction for syphilis.
K先生:―それは、私にとっては、意外な症状でしたね。われわれの知る限りでは、最近のX線検査で縦隔洞陰影が、はじめ大動脈瘤ではないかと見られたことですね。それに患者が若年であり、しかも血清梅毒反応が陰性であるということですね。
ベック式!魔法の暗記術公式ホームページ
Case Ⅰ
Dr.T.…The surgical service has asked for consultation concerning a man with a mediastinal lesion.
T先生:―外科から実は、縦隔洞腫瘍のある患者を紹介してきたんです。
a mediastinal lesion 縦隔洞腫瘍
The patient was admitted directly to the surgery ward as a probable case of aortic aneurysm because the admitting physician detected a tracheal tug and a chest film showed a mass in the mediastinum.
この患者は、胸部X線により気管の牽引と、縦隔洞腫瘍が発見されたため、一応、大動脈瘤の診断をうけて外科病棟に直接入院させられたわけなんです。
aortic aneurysm 大動脈瘤 動脈硬化症のため、大動脈壁の弛緩拡大が生じ、拍動性の腫瘤となったもの。60~70歳の男性に多い。以前は梅毒によるものが多かったが、最近は減少している。大動脈瘤が生じると他臓器を圧迫して、その部位により多彩な圧迫症状を呈することもあるが、初期には一般に無症状、動脈瘤が破裂すると出血性ショックの症状を呈し、死に至る。
mediastinum [ミーディアスティナム] 縦隔 左右の胸膜に挟まれる胸部中央。心、大動・静脈、気管、食道などを含む。
Dr.K.…Did the doctor fear impending rupture of the aneurysm?
K先生:―それでは、主治医の先生は、大動脈瘤の破裂をおそれていたわけですね。
Dr.T.…I don’t know. At any rate, the surgeons now think medical option is necessary because the patient is only 30 years old and has a negative Kahn reaction.
T先生:―そこのところは、私は存じませんが、とにかく、外科の先生方は、この患者が30才の男子であり、しかも血清梅毒反応が陰性であるという点で、内科医の意見を聞いてみたいと考えているわけです。
Dr.K.…Have you had an opportunity to take a history?
K先生:―先生が病歴をおとりになれましたか。
Dr.T.…Yes. The patient works in a department store and was perfectory well until two month ago.
T先生:―ええ、患者は、約2ケ月前まで、あるデパートで働いておりましたが、まったくそれまで健康でした。
He first noticed a cough, which was dry and hacking and, later, productive of clear mucus.
最初に患者は空咳が始まった後、だんだんと痰がでるようになり、透明な粘液のようなものが混じって来ることに気が付きました。
hacking 短い空咳
He had no fever and not felt ill, so he just quit smoking.
熱もなく、本人もそれほど気分も悪くないので、ただ、煙草だけを止めました。However, the cough persisted.
しかし、依然として咳が止まらなかったわけです。
Dr.K.…When the cough became productive, you say the sputum was clear. No purulent material or blood?
K先生:―先生は、痰が透明状だとおっしゃいましたが、いつから咳と痰が一緒にでるようになったのですか? 別に、血液や膿のようなものは、混っておりませんでしたか?
● sputum 痰
●purulent material 化膿性物質
Dr.T.…None. Neither was the amount of sputum large.
T先生:―いや別に―。痰の量もそう多くありませんしね。
However, the cough did interfere with his sleep. When he began to lose weight and strenth, he consuled a physician.
しかし患者は、咳のためにだんだんと眠れなくなり、体重の減少と、体力の衰えのため、心配になり、医師の診察をうけたわけです。
Dr.K.…I suppose the doctor ordered a chest film.
K先生:―その先生は、胸部X線をとられたのでしょうね?
Dr.T.…Yes, but apparently it was read as negative and only antitussive agents were prescribed.
T先生:―ええ、しかし、その結果はまったく正常であると判定されて、少量の抗生物質が処方されただけでした。
●antitussive agent 鎮咳薬
I since have reviewed that particular film; there is not much to see.
それで、私も特に注意してそのフィルムを見ましたが、とり立てていう程の所見もありませんでした。
In retrospect and with our own recent film available, I believe the mediastinal shadow is a bit widened.
まえのフィルムと、最近とられた我々のフィルムを比較してみると、わずかに縦隔洞の幅が拡がったという程度です。
Dr.K.…What happened next?
K先生:―それからどうなりましたか?
Dr.T.…Headaches appeared and became progressively worse and persistent. In fact, when I saw the patient, headaches was his primary complaint.
T先生:―頭痛が始まりだんだんと激しくなって来ました。実のところ、私がこの患者を見ました時は、頭痛が主訴でした。
Dr.K.…I hadn't expected that symptom. We know a recent x-ray study shows a mediastinal shadow which at first was taken to be an aneurysm.But he is a young man and has a negative serum reaction for syphilis.
K先生:―それは、私にとっては、意外な症状でしたね。われわれの知る限りでは、最近のX線検査で縦隔洞陰影が、はじめ大動脈瘤ではないかと見られたことですね。それに患者が若年であり、しかも血清梅毒反応が陰性であるということですね。
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