玉川上水を歩く 東京山手急行電鉄

2017年02月08日 | 東京のお散歩
玉川上水は、杉並区内で再び暗渠となり、東下します。
明大前で、上水道は京王井の頭線の線路を跨ぎます。

京王井の頭は昭和八年に、帝都電鉄として開通した路線ですが
ここに線路を通すにあたり、現役上水道であった素掘りの玉川上水は
コンクリート造の開渠水路に改修され、都心の水道原水の汚染防止と
沿線の勾配を緩やかにする目的から、水路の下に線路を通す事になりました。

昭和四十一年に鋼管となりましたが、淀橋浄水場もすでに廃止され
大蔵省王子印刷局用の千川上水も停水していたため、三田用水用に
境浄水場から放水される水が八年間流れて、上水道としての役目を終えました。

この跨線パイプの下には、井の頭線が複線で通っていますが、
鉄道用地は複々線で確保され、橋脚も複々線用に造られています。

これは戦前に「第二山手線」として計画された東京山手急行電鉄の名残で
大井町から雪ヶ谷、自由が丘、駒沢、梅ヶ丘、明大前、中野、新井薬師前、
江古田、下板橋、板橋、田端、北千住、寺島、大島、砂町を経て洲崎と
山手線のさらに外側に広がりつつある住宅街や郊外電車を結ぶ
大プロジェクトでしたが、世界恐慌の煽りを受けて頓挫した幻の鉄道です。

この線路予定地は、上部に都心の重要な原水が流れていた事から
免許失効後も大きく改修されることもなく残され、井の頭線だけが走るには
少し大きすぎる状態で、現在までその姿を見せてくれているのです。


(玉川上水鋼管とその下を走る井の頭線と山手急行用地)



(鋼管を遊歩道から見る)



(鋼管取付部)

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