BS&T、シカゴらがデビューして世界中にブラッスロック・ブームが吹き荒れると、ご多分にもれず雨後のタケノコ、柳の下のドジョウよろしく続々と類似ジャンルのバンドが現れました。
まあ、このジャンルというもの自体があっという間にピークを通過してしまったためにそのほとんどが短命に終わりました(流行に乗り遅れたりテクニックが及ばなかったり、すぐに煮詰まってしまったり・・・とても高度な技術が要求される分野の一つです。またこのジャンルはロック・フィールド以外にもジャズメン、スタジオ・ミュージシャンが終結したバンドが多かったためにコミュニケーションもそうとうに難しかったと思われます)。裏を返せばシカゴが結成47周年を迎えて今もなおずっと現役で活躍しているということは驚愕に値しますね。(もちろん彼らにも紆余曲折ありましたが)
ここに紹介する「MYRTH」(なんと読むのだろうか??)も1969年にデビューしたのですが、残念なことに、この1枚で消滅してしまいました。
6人編成、10曲入り。
オープニング部分に可愛らしい小鳥たちのさえずりを導入、そのSEがずっと曲間ごとに顔を出し続けます。
さて、曲の方はと言いますと、これが期待以上のクオリティーでビックリ。
テクニカルで確実なアンサンブル・プレイ、コーラス・ワークも安定していて華麗。
楽曲も正統派ブラスロックといった感触でとても聞きやすくカッコいいです。
なぜ、もっとこういうアルバムにスポットが当たらないんだろう???と不思議に思うくらい。(もしかしたらこの1枚ですべてを出し切ってしまったのかな!?)
ホーンセクションも見事に吠えまくっていて決めのリフなんかいかにも「これぞブラスロック!」のお手本のような冴えを見せます。
先に紹介した「へヴン」はとてもあくの強いクセのあるバンドで好き嫌いが極端に分かれそうな感触でしたが、こちらはスムーズに耳に飛び込んできて好感のもてる1枚です。
CD化にはなっていないんだろうなあ…たぶん。
こういうロックの歴史の波に飲み込まれて人知れず消えていった(一部のコアなマニアを除く)バンドは無数にいたのでしょうね。そんなバンドを密かに見つけ出して「おおお!」と衝撃を受けるサウンドに出会った時の喜びはたまりませんねえ!!