1975年リリースの「シカゴⅧ(未だ見ぬアメリカ)」
もちろん、余裕でアルバムチャート1位を獲得。
ツェッペリンの「フィジカルグラフティー」に代わる快挙。
前作の「シカゴⅦ」がまだ売れ続けていてチャートにあるため、このアルバム発売は送らせるというおまけ付き。
正に70年代のシカゴは圧倒的な人気を誇っていました。
ただ、このアルバムは全盛期の中にあって多少地味な印象があります。
しかし中身は絶対的に保証します。
サウンドは、ややブラスが後退して
コンパクトな仕上がりになり、ポップ化に拍車がかかった過渡期ともいえるからかも。
「創造を生む最高の共同体」不動のオリジナルメンバーに8作目にて初めて8人目のメンバーが加入。
セルジオメンデスのジャパンツアーで知り合い意気投合し、アルバム数作でのゲスト参加を経て加入したブラジル人のパーカッションプレイヤー、ライジールディオリベイラがその人。
アルバムジャケットはお馴染みのロゴにイリノイ州鳥のカージナル。
Tシャツ用アイロンプリントと、警官とシカゴの追っかけっこポスター付き。
店頭ではシカゴペンダントもプレゼントしてくれました。
オープニングは意外にもブギウギナンバー。
ベースラインやヒステリックにシャウトするピーターはまるでスージークアトロ。
「愛することの素晴らしさ」はラムさんの真骨頂。
イントロからして美しい。メロディが泣かせる。すでにAORの片鱗がちらほら。
「逃亡者」はピーターが大好きなフリー風。時にはマウンテン、サバスのリフ臭い感じだけど、やはり決めはシカゴです。
「今度逢うまで」はテリーのアコギ弾き語りでのハスキーボイスが切なくて心に染み入ります。
一転「安らぎの朝の光」ではテリーが敬愛してやまないジミヘンが乗り移ったかのようなハードドライビングサイケデリックロック。
「淋しくなんかないさ」はファンキーなダンスソングだけど、ワウワウペダルプレイが渋く光る。
このアルバムからは3曲がシングルヒット。
まずは
「拝啓トルーマン大統領」
シカゴ版イエローサブマリンだね、これは。大好きだ。ただし歌詞は物議を醸した!
広島のファンからの手紙にショックを受けたシカゴは直ちにこの曲のプロモーションとライブ演奏を永久に封印したのです。
トルーマンは日本に原爆投下を支持した大統領なのだ。
即座に第2弾シングル「オールドデイズ」をカット。ところが今度はボーカリストのピーターが「こんな幼稚な歌詞なんか歌いたくない」と拒否(ピーター脱退後の現在は必ずライブセットリストに組み込まれています。来日時は第二部のオープニングでキースのギターソロからプレイ)。
そして第3弾シングルは残念なことに日本ではカットなし。
これが最高な仕上がり
「明日のラブアフェア」
ラムやテリーが多大なる影響を受けたレイチャールズに対するオマージュか。
とにかくまだこの頃は若かったシカゴなのに、これほどアーバンな展開を繰り広げてくれるなんて、やはり只者ではないね。
単なる甘ったるいラブソングではない。洗練されたアレンジは芸術的。
ソウルフルでジャジーなテイストとオーケストレーションに酔いしれちょうよ。