バンド最大のヒットアルバム「シカゴ17」からの第1弾シングル。ただしこれは、12インチ。
「STAY THE NIGHT」
ピーター・セテラ&デヴィッド・フォスターの共作。リード・ヴォーカルはピーター。
全米最高ランク16位。
1984年4月発売
「今宵、一緒にどう?」としつこく迫り口説き続ける男の物語。プロモでもピーターが女性を延々と追い掛け回し、どつかれまわされて埃まみれ、傷だらけになっても諦めないちょっと情けない役をコミカルに演じています。メンバー達も工事現場作業員、白バイ警官などに扮して好演。
序盤、自動車修理工員のピーターが、車を引き取りに来たサングラス姿の無表情でクールな女性に迫ります。ロングヘアをなびかせて黒いタイトなミニ・スーツをパシッと決めた女性はピーターを殴り倒し、暴走運転発進。
タイヤをきしませて追走するトラックの荷台に飛び乗ったピーター(これ、もちろんスタントマンが演じているのですが勢いあまって股間を強打したエピソードをメンバーが笑ってコメントしていました)
並走しながらもピーターは歌い続けて白バイ2台に追いかけられるのですが、この警官がジミーとリー。とてもカッコイイ!!
まるで映画「グライド・イン・ブルー」のオマージュですね。
「17」のジャケット看板をさりげなく登場されて、それの設置係がビル。遂にその看板を突き破って自爆のピーター・・・。
なぜかシーンは夜になり、ピーターはボロボロ。
救急車の中で脈をとるダニーは首を振って「・・・・・・」。
救急車の運転手はあのお姉ちゃんでした!という幕切れ。
この曲は1984年、11年ぶりの熱狂の来日公演でまだ未発売にもかかわらず、いち早く演奏してくれました。
コンサートの中盤、ピーターが会場に背を向けてダニーに片手を伸ばしたり、縮めたりの屈伸カウント合図を送り、スネアをヒット。
それに被さるようにシンセの音色。ベース演奏とともにピーターが歌いだす。
とても強烈な印象に残る独特のナンバーでした。でも良く覚えているのは「なんか野暮ったい曲だなあ・・・」と思ったからなのです、正直な話。
だから新譜からの第1弾シングルがこの曲と聞いた時にも「ああ、あの曲だ」と思う程度。ところが、アルバムのトップを飾ったこの曲のスタジオでの完成形にビックリしました。
ライブ時とは比較にならないほどに、素晴らしいアレンジ。一辺に気に入ってしまいました。
デヴィッド・フォスターの手腕によるところ絶大でしょうね。そしてあのプロモですからね(笑)。
B面は「オンリー・ユー」
3:52
デヴィッド・フォスター、ジェームス・パンコウとの共作。
「17」はシカゴ最大の売り上げを記録したアルバム(Ⅸのベストを除く)。アメリカだけでも400万枚を売り上げています。
中身のクォリティも高くL・Aにて2年をかけてアルバム2枚分をレコーディング。その中からより完成度の高い作品を1枚にまとめ上げています。よってどこをセレクトしてもヒット性に富み、非の打ちどころない曲がズラリ。
贅沢を言わせてもらえるのならば、多少デヴィフォス色が強すぎるところが、唯一の難でしょうか。
デビッドフォスター自信も後に「オーバープロデュース」と語ってますが、まあいずれにしてもデビッド、シカゴ双方ともにターニングポイントとなったAOR期の金字塔^_^。