1, 13:00~13:20「PERSPECTIVE」
オープニング・アクトは・・・・・
地元小樽の4人組でトップバッター。
この日唯一のオール・インストウルメンタルバンド。
よって感染防止対策用のパーテーション設置はなし。
こちらは正真正銘、正統派のJフュージョン・バンド。
浅草橋ライブなど小樽イベントで近年アクティブに出演を重ねていますが、
この「雪明りの路」は意外にも初出演。
序盤での出演なんてもったいないくらいの、高水準なテクニックを披露してくれました。
観客席からもその火花散るテクニカルなプレイの連発に、感嘆の声が漏れ聞こえてくるほど。
BBCに出演していた時には女性のウィンドシンセプレイヤーが在籍していたそうです。
こんな凄腕のバンドがまだまだここ北海道にはうじゃうじゃいるのでしょ。
ひじょうに心強い限りだ。
あちこちのイベントでSTAは何年も前からこのバンドとは度々対バンだったにも関わらず、土日開催ゆえに曜日違いですれ違ってばかりでした。
同日にライブでご一緒できたのは、な、な、なんと私の手元に残る記録によると2016年5月上旬の小樽カモメ亭「お気楽ライブ」そしてグッと間をおいて去年7月「浅草橋」以来!
その頃もこのバンドはトップ辺りの出演でしたが、あまりにも印象が強烈だったのでハッキリと記憶しております。
さてさて、全員がマスク姿でのプレイ。
ギターはHSHのP・U仕様のトム・アンダーソン(黒ボディ。指板はメイプル),ストラップも黒のトム・アンダーソンでブランドを統一。
白いジャズベースは5弦(指板ROSE)。もちろん須藤満氏を敬愛しているだけにMOONブランドを使用。
そして3人目はドラマー。
紅一点のキーボード担当はハナちゃん。2段構えでコルグKROME&ローランド。
真っ赤なSTAYスタンドが目にも鮮やか。
私が彼女のライブを観るのは確か5度目です。
ヒロリンとイケちゃん率いる進化系ガール(小樽市民会館)、乙!!帝國ゆるゆる団(ソリッド)、そして浅草橋オールディズナイト。最近ではアミちゃんの「40高中」にも加入したそうですよ。
つまりそのたびにほとんど所属するバンドが違うわけです。
さあ、応援団も到着したようです。皆さん、客席は最前列の中央というベストポジションをゲット(感染防止のために距離は設けておりますよ)。
開演前から「ハナちゃ~ん!」と声援が飛び交っています。
スラリと伸びた足に網タイツ姿が以前のライブでは官能的だったハナちゃんですが、今回は全身を白黒のシックな落ち着いた装いに包んでいるところはサウンド性を考慮したためかな。
「こんにちは!今日は天気に恵まれて良かったです!」
いきなりオープニングに飛びだした「タイガー(2015年リリースのアルバム・ゾディアックに収録)」はトリックスのカバー(カシオペアとスクエアのメンバーからなる夢のスーパーユニット)。
そんな楽曲ですから難易度強。
複雑な変拍子がイントロから情け容赦なく展開していきます。
そして飛びっきりダイナミックなのだ。
ベースのサムピッキングをボトムにギターソロ、そしてキーボード・ソロへと流れてゆく。
「はい、ありがとうございます。
今年も持ち時間が20分と限られていますのでサクサクと進行していきたいと思います。
次は以前に小樽雪明りの路ライブでも披露したことのある曲をやります。
冬の情景ソングであります・・・・・ホワイト・フェアリー(TRIX2009年6月24日リリースのアルバム FANTASTICに収録)」
相変わらず畳みかけるようにメンバー全員が持ちうる限りのエネルギーを全力で注入。
この域に達すると、もう大人のロックフィールドだね。
膨大なる数のアルバムを発表しているトリックスは意外にもコミカルな面をステージパフォーマンスに取り込んでいるのです。
でもPERSPECTIVEは真摯に音楽性基本重視のようですよ。
ライブイベントのコンセプトに相応しく、お気楽でアットホームに演者も観客もスタッフも全員がエンジョイ!
メドレーで、またもやトリックスの「リコレクション(2004年リリースのアルバム・インデックスに収録)」
切れ味鋭いギターによるカッティングからバッキングも勢いよく猛追。
荘厳なるシンセサイザーの響きが熱き彩を添える。
的確なるリズムセクションも渋すぎるくらいだ。
一体となった音像の渦がこれでもかあ、というくらいに唸りを上げる。ユニゾンパートも言葉を失うくらいに鉄壁。
そこから更に怒涛のインプロヴィゼーションへと雪崩込み。
それでいて流麗なるサウンドも特筆もの。一致団結の攻防が凄まじい。
ここでいきなりまたもや「ハナチャーン!」と、どこかで聞きなれた声援。
複雑極まりない進行の中、ハイハットの繊細な刻みが引き継ぎ、ドラムとギターソロの応酬。
特にアームバーを自由自在に操る奏法には皆の目が釘付け。
トリックスはあの伊達男セッキーの十八番でもあります。おかげさまで私も多少は詳しくなりましたよ。
まさに通受けするバンドだけに、カバーするバンドらのこだわり具合が半端ないくらいにかっこいい。
ホイッスルや口笛が会場から鳴り響く中
「それでは、あまりライブではやらないTOTOの難しい曲をやります」
ひじょうにマニアックな選曲で「ジェイク・トウ・ザ・ボーン(1992年リリースのアルバム、キングダム・オブ・デザイア~欲望の王国に収録)」
ピアノ・ソロもフューチャーされていて、どんどんとテンポアップしていく様はまさにライブ向きで圧巻。ドラマーのタイトなるアタック感もアクセントとして見過ごすわけにはいきません。
ああ・・・・ジェフ・ポーカロ様・・・・。
ギタリスト君は根っからのTOTOフリークだけあって、どんな質問にでも即答してくれるくらいの頼もしさです。
それは淡々と紡ぎ出すトリッキーなるプレイ・スタイルにも如実に現れています。
強烈なサスティーンの効いたフィンガリングは感動的でエモーショナル。
心底TOTO&スティーブ・ルカサーを愛しているんだねえ!
「LET'S GO TO THE WHITE PARK(TーSQUAREのベーシスト須藤満2003年リリースのソロアルバムFAVOR OF MY FRIENDSのオープニングを飾る曲)」
これは多分ベーシスト君のリクエストかな?
明らかにそうでしょうね。
グッとグルーヴィーなナンバーの登場だ。
特に軽快この上ないメロディーラインに魅せられてしまった。
ギターが紡ぎ出すフレーズに絡みつくようなビシバシのチョッパーベースが渋くも光り輝いている。
こんな飛び切り素敵な曲をプレイできるなんてプレイヤー冥利につきるね。
ギター、ベースと交互に渡り合うソロの応酬がスリリングなんだけど心なしか楽しそうだ。
難攻不落な展開をも涼しい顔して弾き倒す様は憎い限りだ。
「ではでは・・・・我々が活動し始めた時には5人組でスクエアをやっていたのですが、4人編成になってからはトリックスをやるようになりました。
残りの曲もトリックスをやりたいと思います・・・・ラッシュ!!(2011年リリースのアルバム・インパクトに収録)」
先述のドラマー、セッキーも聞き入っているよ。
ギターがメインのフレーズを弾き出すのですが、キーボードとのアップテンポなユニゾンプレイも織り交ぜつつ進行。
こだわりにこだわりぬかれたアレンジ力には脱帽。言葉を失うほどの破壊力で唸りまくり。
緻密に組み上げられた本家本元のアンサンブルを、よくぞここまでPERSPECTIVEも再現できるものだ。
ステージ手前の観客でもある、男性ダンサー・トリオがすでに和気藹々の様相を呈している。
数人のファン達はステージ裏にまで進入してカメラ撮影。
「ボンボヤージュ(TRIX2005年リリースのアルバム・モードに収録)」
グッと雰囲気を変えて、ここでは南国ムード溢れる曲調に。
気分だけでもトロピカルに浸りたいものですなあ。
先週の豪雪地獄で皆、疲れ果てて辟易しているもんね。
日本人が琴線震わせるところをさりげなく狙った仕掛けが満載だ。
どことなくパーカッシブに跳ねまくるノリが清々しくって心地よい。
ジャパニーズ・フュージョンの真骨頂フルスロットル。
ラストはメンバーらが人差し指を頭上に突き立てて「最後の曲はファイアーで締めくくりたいと思います!(2005年リリースのアルバム・モードに収録)」
ここでもギターのハイポジションによる超早弾きが圧倒的に迫ってきます。
豪快無比なる分厚きヘヴィーな締めくくり。それでいてどこか切なき哀愁のメロディもそこかしこに散りばめられているところなんかは心憎い。
レッドゾーン振り切れ直前。
最後の1音までテンションマックスだ。
もうこれっきゃあないね。
エンディングにはうってつけさ。
大団円!お疲れさまでした!!またすぐにでも見たいバンドだよ~!!
****2番手はガラッと趣向を変えてあのロックンロール集団が思い切りはじけまくってくれますよ!!お楽しみに!!!****