バンドとの入れ替えタイム(ちむどんどんとの)には15分が用意されているから余裕さ。
アッキーのキーボード設置にはヒコちゃんが運び込んでくれた。
何事も優しい男だよなあ。
誰からも愛される人気者になるはずだよ。
セッテイングには大所帯故にちょっと手間取る。
事前にマサがアイちゃん用に、フロントセンターのスペースを開けるように伝達しておいたので、そこはスムーズにはかどった。
普通ドラマーが一番セットに時間がかかるものだけど、さすがモッチンだけのことはある。
アッサリと準備完了。
それではスタッフ、ミキサーに指示に従って各マイクや楽器の音量やトーンの調整に取り掛かる。
次いでアイちゃんを含めて軽く1曲を演奏。
希望があるメンバーが次々とミキサーに要望を告げる。
全てが整った!!
アイちゃんは一旦、上手控えのスペースへ・・・・。
HEY,OK!
ARE YOU READY!!
LET'S GO!!!
もうすっかりと手慣れた感じで司会進行役も兼ねたマサが、落ち着き払った声にて華々しくナレーションを告げる。
「はい、たいへん長らくお待たせいたしました。
いよいよはじまりますよ!
今か今かとお待ちかねの皆さん。
そうですよね。
これから熱いステージをお届けして参りますよ。
もはやお馴染みとなりました大所帯バンドが、ここゴールドストーンに颯爽と登場。
北国唯一無二の札幌発ブラスロックバンド!
ド迫力ホーンセクションを心ゆくまでドップリとご堪能ください!
メンバー一同、この日この時この瞬間を心待ちにしていました!
それではヨロシク!
THE SAPPORO TRANSIT AUTHORITY~!!」
ジャストなタイミングで「1・2・3~!!」(思い切りミキサーがリバーブを深めにかけてくれたよ!)
波状攻撃へと、火蓋が切って落とされました。
猪突猛進の狼煙を上げる「イントロダクション」。
さすが、この人数だけに勢いが桁違い(本来はもっと多いんだけどね・・・・)。
プレイしている我々でさえ、自分たちの音にエキサイトして、アドレナリンの噴出が止まらない。
すでに掴みはバッチリとオーケーだ。
普段は寡黙なモッチンもスティックを手にスィッチが入ると、ドラム・ビーストに豹変するのです。
その上、5年前の4月にマサが東京で観て来たCTAの土産話が、相当感動的に残っているらしくて、ずっと刺激を受けている御様子。
如実にドラミングの随所にダニー・セラフィン成果が現れていますよ。!
イントロの爆音が情け容赦なく多方面へと襲い掛かる!
ほほえましい光景に、常連組が客席でやや控えめに参戦。
写真&ビデオ撮影にと勤しんでいます。
皆さん、この変拍子の連続やコロコロ変わる変態的なリズムに、よくもまあピッタリと手拍子をあわせてくれますねえ・・・と舞台上から失礼ではありますが、しばし見とれてしまいました。
もうどれだけの回数この曲を、オープニングでプレイしてきたことでしょうか。
メンバー一同が愛して愛してやまない、じゃじゃ馬のような曲。
その中でもこの日ほどに、迫力一杯の完成度を誇ったことはなかったのでは?!
出色の出来と自画自賛。
モニター・スピーカーに片足乗せて、マサが野獣のごとく吠えまくりながらも襲いかかる。
次いでアグレッシブなアクションをも巻き起こす。(オカちゃん曰く、マサさんはスペースが狭いから相当に動きにくそうでしたね、と言ってた。
スタッフさんはマサのステージングをそれまでも見ているので、わざわざ動線を確保までしてくれた。
ありがたいことだよね)
飛沫飛翔防止用のパーテイションも、ビニール幕もないので自由自在に動ける。
もちろん、そこそこに加減はしていますよ。
計算されつくしたニシヤン独特なるシャープな音色のギターが、モッチンのタイトかつパワフルなドラミングに絡みつく。
看板ともいえる5管によるホーンセクションのリフは、益々厚みを増してきましたね。
(本来は6管編成だったんだけど、都合により直前でトランぺッターは離脱することに・・・(´;ω;`)
舞台両サイドからの、弦楽器達による絶え間ない猛追。
後方サイドからは、ドラムとパーカッションが遠慮なしにグルーブを構築しながらの進撃展開。
タッキー初の参戦にも関わらずノリノリにアクロバティックな動きも交えてカウベルやタンバリンでアクセントをつけて空間を華やかに埋め尽くす。
会場をまるごと覆いつくすかのような、ホーン隊による異次元模様の高鳴り。なんという高揚感であろうか。
鉄壁を誇るホーン・アンサンブルが嵐のごとく吹き荒れて、全体をリズム・セクションが引き締めるという構図が今回のおおまかなる課題。
さてさてライブの魔物はどこに潜んでいるのかな?・・・・今回は一体全体何を仕掛けてくるのか??
さあ、2番の歌詞がカットされたエディットヴァージョンから、第一関門の地獄にガッシリと突入だ。
先月の反省点は見事にクリア。
手堅く突破した後に待ち受けていたのは、ブレイクによる一瞬の静寂。
切り込み隊長はいきなり久しぶり参入のカツによる、やや食い気味かつ流麗なるトロンボーン・ソロで場面転換。
ほぼギリギリ会場入りのぶっつけ本番だから正直な話、不安要素てんこ盛りだったんだけど、それも取り越し苦労だったようです。
大した度胸の持ち主だ。
さすがに百戦錬磨の達人だからこそ成しえる技。
何事もなかったかのように振舞っていたよ(モッチンによる縁の下の力持ちも忘れてはいけない)。
ここがカツの凄いところ。
なんと自宅に宿題として持ち帰り3つのコードで繰り広げられるソロ・パートを、極上のエモーショナル・ラインで纏め上げてきて披露したのだ!!
能あるタカは爪隠す!と、昔の人はうまいことを言ったモノだ。
ねえ、カツよ!(1回目のスタジオリハ前にブレイク部分による拍数の謎を解明するべく独自でスコアを探しだしてきて見事に解明したのだそうですよ。
すさまじき探求心。
正直な話、この曲はトップがキツイとのこと・・・・それは、うなずけるねえ‥‥でもご挨拶ソングだからねえ。
不動のポジションなのですよ。
悪しからず。)
アキのピアノ旋律が、とびっきりに美しくて効果絶大さ。
マサによる流麗なる美しきオクターブベースに導かれて場面転換。
マサいわく「STAのバディ・リッチ」と言わしめた手数王から、リム・ショットに切り替えてのモッチンが職人芸で猛然と先導しつつ、お次はベテラン・ファニーの出番。
彼のトランペット・ソロは熟練の極致なので、大船に乗った気分に浸れます。
一聴しただけで安定感抜群。
時折ヒステリックなハイノートなども懇切丁寧クールにヒットしていてニンマリ。
バッキングによる強弱のサポートも効果覿面だ。
もうこのあたりにたどりついた時点で会場中の空気は一変。
なにやら恐ろしいくらいにもの凄いことがステージで起こっているぞ・・・てな感じでかぶりついている。
ニシヤンは臨機応変、歪みからコーラスサウンドまでコンスタントに幅広く音色をエフェクターで器用に切り替える(ここはスタジオリハ時に取り決めたこと)。
そして第3の男、そのニシヤンによるワイルドなギターが火を噴いた。
いきなり過激なハーモニクスを導入部分に一気呵成に飛び出して、益々進化したソロを、これでもかあ!と言うくらいにぶちかます(よくもまあチューニングが狂わないねえ)。ただひたすらにエキセントリック。
序盤はテリー・キャスのフレーズに敬意を表する・・・・。
へヴィーなサウンドは、これだけにとどまらずフィードバックにより加速。
音数がドンドンと増していき、とどまることを知りません。
身をのけぞらせてイナバウアー・アクション。
チョーキングなどを交える際にはギターを激しく揺さぶって身をよじる。
あれだけのプレイだけでも引き攣るところなのに、ビジュアル面も大きい。
(掛け持ちミュージシャンの西やんはリミックス、ミッドナイト・クライシスではベーシスト。
そちらの時は大股開きスタイルなんだけど、STAでは常に横向きポーズで全体を注視している。
これが彼の楽器別スタイルなんだね)
そして遂にテリー・キャスのギター・ソロをほぼ忠実にコピーしちゃったんじゃあないのかい!?
ビブラート、グリッサンドに至るまで再現しているよ。
この前面へのせり出しシーンはヒロリンのリクエスト。
間髪入れず、極めつけは第2期JBG時代のコージー・パウエル直伝によるモッチンが、力漲る究極の稲妻フィルインで拍手喝采。
サンキュー!
いつもは沈着冷静なるモッチンもノリノリな様子で、このヒトトキを満喫している様子。
すっかりと脳天ヒューズはスパークしちゃったみたいだ。
いくつもの修羅場を潜り抜けてきたからこその、説得力ある支柱だ。
エンディングにおけるベルトーンも、ニシヤン渾身の1音を筆頭に見事な連携で繋がった。
ここで繰り出したニシヤン入魂のピッキングがジミヘンのようにウォームで破壊力があって戦慄が走りました。
これぞまさしくロックの原石。
いかなるアクロバティックなテクニックをひけらかすよりも、「ギュウイ~ン!」一発でひれ伏させるほどの衝撃と説得力。
アキからホーンセクションへと受け渡す流れへ。
マサが後方に設置されたバスドラムに左足を乗せ、右手を頭上に掲げてグルグルと何度も素早く回転。
モッチンと呼吸合わせ、雷鳴のような怒涛の連打をスリリングに交えて激しいジャンプでフィニッシュ。
以前、ASのミキティいわく「マサとニシヤンは何かにとりつかれているようだった」とのコメントを述べていましたっけ。
度肝を抜かれた観客はため息混じりに唖然している。
「オオーッ!!」
****アッキー長年のお友達でもある「そうきあ&稲葉美紀DEAR FRIENDS」のMIKIMIKIちゃんが「一昨年、アッキーちゃんが加入したからSTAは確実にパワーアップですね!」とのこと。
正にその通りだ。****
さあ、さっそく2曲目はメドレー。
マニアならば思わずニンマリだ。
皆、すでに全身汗まみれながらも、気持ちがよさそう。
一昨年、スタジオリハ時にマサがふと閃いた。
「1972年シカゴ・ライブ・イン・ジャパン(大阪の音源)」の再現なんていかすよね、ってさあ。
曲に入る前にロバート・ラムがムード満点にピアノでいくつかのコードをルーズに流す。
トークも交えてね。
焦らしに焦らした挙句に・・・・っていうあれ。
それを臨機応変に対応してくれるアッキーちゃんならば、呑み込みがいいからアッという間に弾いてくれるだろう、と踏んだ。
結果は?・・・・もちろん大成功だったよん。
これ、マサのトークとアッキーちゃんのピアノがうまく噛み合わないと悲惨。
スタジオではまあまあの出来だった。
ラインでも事細かく説明を加えて調整を加え改良。
別にキッカリとした台本なんか用意してはいない。
大体のおしゃべり内容は決めてあるけどね。
その場の空気感で進行。
タイミングを逃したマサは、タイトルを言おうにもズレちゃう。
もう1周弾いてもらう!?
ところがアッキーちゃんが機転を効かせて見事にクリア。
かえって効果が倍増したよ。
「それでは、トップに吹き荒れる初期シカゴのブラスロックをお送りしましたが、お次はメローな響きで・・・・。
(不敵な笑みを浮かべつつも)特に人気の高い曲をやります。
あれ!?どこかで聞いたことのあるピアノだ・・・・
俺はいつも同じMCだと、ある女傑から突っ込みを入れられたんだけど、やっぱりこれだけは言わせて!
今日は土曜日だから、うってつけの曲をやるよ!・・・・どうぞ~~サタディ・イン・ザ・パーク!!」
と言った途端にアッキー親分(もっちんがそう呼んでいる((´∀`*))が寸分の狂いもない間合いで、それまでのスローテンポから力強い連打へ!!
(前曲からの音色チェンジも素早くこなす)
絶妙のシンコペーションを基調とした、あまりにも超有名なるイントロをピアノで嬉々としながら響かせる。
後から聞いたんだけど、アッキーちゃんは「今でいいや!」と独自の判断で、ここから本編に突入したのだそうです。
ありがたいことに大正解だよん!
(オーディエンス達いわく、この曲がはじまるといつでも誰もが最高の喜びを滲ませてノリノリなんだそうですよ。
こんな話を聞くとミュージシャン冥利に尽きるね。
長年にわたるブラスロック&シカゴ普及活動も着実に実を結びつつあるようだ。
タッキーがアキちゃんに言ったコメントは、とてもじゃあないけれども、ここには書けないよ(;^_^A)
シカゴ初の記念すべき反戦的意味合いを含んだミリオン・ナンバーがはじまった。
(1972年7月リリース初の1枚組オリジナルスタジオ・アルバムCHICAGOⅤからのファーストシングル。ビルボードHOT100にて最高チャートで第3位を記録)
当然ここでの主役は、最初から最後までピア二ストのアッキー。
いつも艶やかなる着こなしのアキちゃん真骨頂。
(彼女の根性の入り方は半端ない。メイクもバッチリと施し、アメリカ製のデニム・テンガロンハットと全身を黒ファッションで統一しているではないか!すでに立派なロッカー然としている・・・・本当はこの日ムズイからテンガロンハットを被らない、と直前にぐずっていた。結局は被ったけど。
だからバチが当たって鍵盤のパーツがトラブったんだよ((´∀`*)))
こんな素敵な曲をプレイするバンドってナンマラいかしているでしょう。
裏話・・・・・スタジオリハでは特別なる思い入れを込めて取り組みました。
なんたって長年キーボード不在だったんだからね。
当初マサはピアノなしではやる意味なし、と判断してストレス回避も含め、泣く泣くお蔵入りさせようとした。
ところがニシヤンが、ギターコードでのパターンを演じて「どうかなあ!?」とさりげなく主張してきた。
半信半疑それで演じてみると思いのほか、心地よい仕上がりなので、以降はギターアレンジバージョンでずっと披露していたのだ。
もはや手慣れたもんだよ。
これはこれで、斬新で快感。
まるで違和感もなく、結果的にはやって良かったねえ。
西やんもこれをギターメインで演奏することを密かに夢見ていたんだから、そりゃあ至福の瞬間で天にも昇る心持ちだったことでしょうねえ。
加入前にアキ嬢はSTAライブを目前で見て「なるほど。こういう風にやっているんですね!」と目から鱗状態。
感心しきりだった。
それも参考に加えて、アキちゃんはありとあらゆる音源を片っ端から発掘してきて指癖や強弱、微妙なるタッチ感を調べ上げた。
その結果がここに結実したんだよ。
文句の付けようなんて微塵もあるわけがないっしょやあ。
大役を果たしたね。
涙腺が崩壊しそうなほどだ・・・・。
この感動がずっと欲しかったのさ。
本物だ。(近年は本家のロバートラムさんがショルダーキーボードやシンセで弾いてるんだけど、やっぱり生ピアノのニュアンスには程遠い。これが生命線なんだから。シビアな意見かなあ、これって・・・・だって愛するが故の正直な感想なんだから)
もちろん、それに呼応するように会場全体も熱烈なる声援へと反応が変わっていく。
それにしても、この曲、一聴する限りだとシンプルに聞こえるんだけど、リズムの違いが如実に現れるのですよ。
サビにも奥の深い部分が垣間見えます。
マサは絶え間無く左右に、トレードマークともいえる軽快なステップを踏む。
モッチンは特にこの曲でのドラミングが冴えわたっていた。
リハではテイクを重ねるごとにドンドンと難所を克服していき、本番ではご機嫌なスティックさばきで終始していた。
黙して語らずのツワモノだね。
西やんもギター・ストロークの隠し味で、より皆さんが贅沢極まりないハッピーモードに浸れちゃうように美味しいオブリをつま弾いているのだから、不思議なものですよね。
この曲に対する思い入れがすこぶる強いヒコちゃんも、満足そうにニコニコしながら手拍子を打つ!
腕組みして目を閉じ、唸りながら、ジックリと聞き入っている対バンも発見。
会場のあちこちで嬉しそうに、両手をあげて大はしゃぎしている人たちも見えるではないか!?
数人のオーディエンス達も、ずっと横並びでタンバリンを打ち鳴らし続けているよん。
ステージ手前では、ある女性が簡単な振り付けを指導しながら曲と一体になってステップを踏んでいます。
西やんも時折横目でバンドを確認しつつも、リズムカッティングにのって延々と体を揺らす。
笑みを湛えたアキちゃんは目の前の観客達の笑顔にもすこぶる癒されたそうですよ。
世界平和を声高らかに提唱する、これこそスケールの大きいマンモス・チューン。
まさしくシカゴ版「イマジン」との呼び声高き、ターニング・ポイントともいえるアンセム。
愛と平和を謳歌しながらも反戦を訴える部分もさりげなく含まれているんだから、さすがしたたかで思慮深い我らのシカゴだ。
マサが歌いながら最前列に歩み寄ると、客同士が微笑み返し。
他のミュージシャンらも、すこぶる気を吐いていますよ。
エンディングのハミングに至るまでマサのアイディアが見事に実を結んだ(これもスタジオ入りしてみっちりと真面目にトレーニングしたもんね。過去にここまでこだわって突めた人は皆無だ。今後ももっともっと煮詰めまくろう!!)。
歌メロには人一倍のこだわりをもって挑んだ。
最近は、マサ長年の夢だったドンドンと複雑になっていくツインボーカルを現実のものとした。
タッキーと軽くラインで、文章とシカゴのライブ映像で打ち合わせしてからスタジオでプレイ。
すると一発で思いが噛み合って大成功。
皆も感服していたよ。
今まで、一度も実現できなかったのは、一体全体何だったんだあ・・・・?
「WOWOWOW~!!」マサ渾身のハーモニー。
うっとりするほどポップで幻想的なラストに至るまで、気合十分パーフェクト。
丁々発止に完奏。
普段はホノボノと佇んでいるマッキーではありますが、やる時は綿密にヴォーカルとコーラスを決めてくるところなんかさすがですよね。
ウパくんは、ようやくこの頃になると先ほどまでの緊張感は収まってきてリラックスしてきた。
肩の力も抜けてきて爽やかな疲労感がかえって心地よい。
****まだまだ、これからが佳境だよ!!
だってさあ、遂にあの噂の歌姫が満を持して降臨だあ!!(写真を参照の事((´∀`*))****