世界一周タビスト、かじえいせいの『旅が人生の大切なことを教えてくれた』 

世界一周、2度の離婚、事業の失敗、大地震を乗り越え、コロナ禍でもしぶとく生き抜く『老春時代』の処世術

ベトナムの風に吹かれて

2014年12月07日 | 
ここ7年、ベトナムに来るようになって今回大きく変化した要素がある。


それは、円安だ。

そのころは1ドルが70円台までつけていた。

円高の追い風に乗って海外にも来やすかった。


円安がいいのか、円高がいいのかは起業にも個人にも差がある。

輸出立国だった日本は、圧倒的な円安でその地位を築いてきた。


円が高くなると、円高不況といわれるほどになっていた。


だが、今、円安になって輸出は増えたのか。

否。


時代は変わった。


本来、輸出企業にとっては円安や低インフレで海外との競争条件が歴史的にも有利なことを示す。

だが現実は、日本企業の海外での現地生産比率の高まりなどの構造要因で輸出が伸び悩む。


今回、渡越の際、現地ベトナム人から

ハノイは寒いからダウンジャケットを買ってきて、と頼まれた。


勢い勇んでユニクロへ。

そしてお目当てのダウンを見て笑ってしまった。



もちろん買わずに帰った。


食料も鉱工業品の原材料もほとんど輸入に頼っている。


日銀によると、

日本の貿易相手国通貨に対する円の総合的な価値を示す実質実効為替相場は1973年1月以来、

なんと約42年ぶりの弱さになっている。

当時の円相場は1ドル=約300円で、

73年2月の変動相場制移行後で最低となる。


世間知らずのお坊ちゃま麻生太郎財務相は

「この2年で株価は1万7千円まで上がった。円安にも振れた」

と景気回復の実績を強調する中で、

「その結果として企業は大量の利益を出している。

出していないのは、よほど運が悪いか、経営者に能力がないかだ」とうそぶく。



円高になろうが、円安になろうが日本の景気が回復することはないだろう。

なぜなら、

少子高齢化、財政難といった構造的要因が根強くはびこっているからだ。


海外にいると、円の弱さ、日本の弱体化をヒシと感じる。



頼みの一つは、

日本への外国人旅行者かもしれない。

このところ急増しており、高額品の消費などを積極化している。

円安に物価の違いを加味すると、外国人が日本で買い物するには過去四十余年で最も有利といえる。




今後の円の行方は論が分かれるところだ。

為替の変動は神(紙)のみぞ知る。