世界一周タビスト、かじえいせいの『旅が人生の大切なことを教えてくれた』 

世界一周、2度の離婚、事業の失敗、大地震を乗り越え、コロナ禍でもしぶとく生き抜く『老春時代』の処世術

パニック症候群?

2019年03月13日 | 100の力
珍しくなかなか寝付けなかった。


さっきまでチャットをしていて、

妙に氣が高ぶっているのかもしれない。


するとなぜか寂しさがこみ上げてきた。

心臓が激しくビートする。


突然、森が泣いた。

ゴーッツと突風が吹いたのだ。


遠雷が聞こえる。

目をつぶり、耳を澄ますと、

激しい雨がトップライトを打ちつけ始めた。


不気味な夜だ。


昼間はあんなに穏やかで天気が良かったのに。

そういえば、一昨日も夜中に雨が降った。


だんだんと雷が近づいてきている。

時折、風が波のように木々をうねらせ

叫び声をたたせる。


大自然の中に住んでいても、

あまりこういう経験はなかった。


何か不吉な予感がする。

胸騒ぎを覚える。

何かの虫の知らせかもしれない。


こういう時は、

ベッドに座って

ロウソクを灯し、

瞑想をする。




すべてを受け入れなければならない。


頭では分かっていても、

心は乱れる。

心は定まらない。


考えが断片的に脳内を飛行する。


なぜこのように不安定なのか。

何がこうも苛立たせるのか。


こういう時は、

無理に抑え込まないで、

飛び交う心を理解すること。


そして、

浮かぶ考えに意識を集中させる。


浮かんでは消え、消えてはまた浮かぶ。

とりとめのない思考の連鎖。


こういう時は、

決まって悲観的、否定的な思考が心を支配する。


それすらも受け止める。

いくら頭を振っても

とりつかれた思考から逃れることはできない。


逃げてどうする。

思考はどこまでも追いかけてくる。


立ち止まり、

振り返り、

思考と対峙する。


それは己の姿なのだ。



また雷が近くで鳴った。

地震とは違う大地の揺れを感じる。


木の根から大地を伝わり、

身体の中にズシーンと重いものが伝わってくる。


それを感じながら、

ゆっくりゆっくり呼吸を続ける。


できるだけ、

その呼吸に意識を持っていく。


また、雑念が湧き、引き戻される。

抗わず、

浮かんだ思いを心にとめる。

無理に抑え込むことはしない。


だが、動揺は隠せない。


ドクドクと心臓の音が聞こえてくる。

動脈から、

首筋を通り、脳へと血液が送られる。


これが止まればボクは死ぬ。


恐怖に鳥肌が立った。

息苦しさを覚える。

ジワリと額に汗がにじむ。

身体が小刻みに揺れる。


それでも、ただただ座る。

只管打坐(しかんたざ)。


深~く、ゆ~っくり複式呼吸を繰り返す。

何度も、何度も、何度も、何度も。


あらゆる現象、思考を

無抵抗に受け止める。


何が起きても、

冷静に受け止める覚悟ができていく。


雷が去り、

雨が強く窓を打ち付け始めた。

雨音が思考のノイズを打ち消してくれる。


どれくらい時間が経っただろうか。

(優に一時間はたっていた)


静かに身体を横たえる。


ボクはこのまま生きていていいものだろうか。

ボクには愛される資格がないのかもしれない。


幽体離脱したもう一人の自分が

頭の上からささやきかける。


いや、悪霊なのかもしれない。

悪霊が添い寝する。


それでも寂しさがまぎれるなら厭わない。

悪霊さえも受け入れよう。


このまま眠りに落ち、

目覚めなければどんなに楽だろうか。


いつしか雨はやんでいる。

そこにはいつもの静寂な森が佇んでいた。


漆黒の闇の中に

一筋の光を見た気がした。


その灯を瞼の裏に焼き付けながら

深い眠りに落ちていった。