カンボジア経済

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カンボジアの中央銀行デジタル通貨バコン 正式スタート

2020年11月03日 | 経済
 10月28日、カンボジアの中央銀行であるカンボジア国立銀行(NBC)は、中央銀行デジタル通貨「バコン」の正式スタートを記念する式典を開催しました。バコンは、日系企業のソラミツ社とNBCが協力して開発した安全・簡単・迅速かつ無料の決済・送金を実現するトークン型の中央銀行デジタル決済システムです。バコンについては、2019年7月からカンボジア全土でパイロット運用が開始されており、今般正式スタートに至ったものです。
 バコンは、デジタル化されたカンボジアリエル(KHR)または米ドル(USD)を使用し、即時取引を可能にする中央銀行デジタル通貨(CBDC)システムです。送金手数料が不要で安全に支払うことができるデジタル通貨であり、18金融機関がすでに参加しています。個人でもスマホに簡単にダウンロード可能で、電話番号やQRコードを使って、個人間や銀行口座間での送金、店頭での支払い等ができるとしています。ただ、現状では、支払い可能な店舗は、あまり見かけられません。
 バコンの導入により、金融包摂の促進、現地通貨リエルの使用促進、NBCによる金融政策の効果増大等の効果があるものと期待されます。カンボジアの農村部では、銀行等の支店も少なく、金融へのアクセスが課題となっていますが、スマホによって利用できるバコンは、農村部に取り残された人々の金融アクセスに大きな効果があると見られます。また、カンボジアは高度にドル化した経済であり、多くの支払がドル現金で実施されていますが、バコンにより現地通貨リエルの使用促進にも効果があるものと期待されます。また、ドル化されているために、NBCは通常の金融政策(金利誘導、通貨量操作等)が十分に行えませんが、バコンを通じて、こうした金融政策を行う自由度やその効果も増大すると見られます。
 日本では、旧態依然の全銀ネット等のしがらみで、国内送金、キャッシュレスの手数料が高い等の問題を抱えています。日銀は、CBDCの研究を進めるとしていますが、大きく出遅れているのが実態です。カンボジアは、しがらみの少ない状況を活用して、一気に本格的CBDCの世界に移行しようとしており、今後の大きな発展が期待されます。
(写真は、NBCのフェイスブックより)

カンボジア国立銀行のフェイスブック。バコンの動画もあります。
https://web.facebook.com/nationalbankofcambodiaofficial/


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