https://news.goo.ne.jp/article/dot/politics/dot-2021043000052.html 2021/04/30 16:00AERA dot.
ワクチン接種が進まない中、武田良太総務相が全国の知事や市町村の首長に送信したメールが波紋を呼んでいる。
問題のメールは4月23日付で発信された。武田総務相は菅義偉総理の指示を受けてワクチン接種を各自治体に急ぐようこうハッパをかけている。
<ゴールデンウイーク明けには約700万回分、それ以降は毎週約1000万回分のワクチンを全国の自治体に配布し、希望する高齢者には7月末を念頭に各自治体が2回の接種を終えることができるようにお願いしたい>
このメールは同日に菅総理が「6月末までには合計1億回分を配布できるようにいたします。その上で、希望する高齢者に7月末を念頭に各自治体が2回の接種を終えることができるよう、政府を挙げて取り組んでまいります」と発表したことを受けて出されたもの。
武田総務相は<7月末を念頭に、高齢者への速やかなワクチン接種に向けて、皆様方、お一人お一人の一層のご尽力、ご協力をお願い申し上げます>と訴えている。しかし、メールにはワクチンがいつ、どれぐらいの数量が届くなど具体的な記述はない。
それなのに7月末までに高齢者へのワクチン接種を完了させろというのは無茶ぶりだと、四国地方の首長は怒る。
「今はどの自治体も少量のワクチンをどう接種するかで悩んでいる。接種するには、ワクチンが届かないとどうにもならない。にもかかわらず、7月末には終わらせろ、という上から目線のメールは、自治体に強要しているように感じられます。国はワクチン供給という責任を果たしていないのにも関わらずです」
メールを読んだ兵庫県明石市の泉市長もこう指摘する。
「高齢者に7月末までに接種しろというが、ワクチンが届かないのに、どうすれば、いいのか。おまけに菅総理は7月末までにワクチン接種が終わらせると記者会見で言いながら、地方自治体にはきちんとした、ワクチン供給のスケジュールを示していない。うちは当初、国の発表に従って『3月中に高齢者へのワクチン接種がはじまる』と広報誌に書いたが、4月まで始まらなかった。国の言う通りに市民に伝えたら明石市がウソつきになった。他の自治体の首長さんとも『国はちゃんとスケジュールや数量など根拠のある情報を出してほしい』、『結局、混乱するのは現場』と話しています。武田総務相はこんなメールを出す前にすべきことが、たくさんあるはずです」
武田総務相は月に1度の割合で、全国の知事や市区町村の首長にメールを送信。こうした総務相の直接メールは2019年12月以降、送られてくるようになったという。
立憲民主党の原口一博副代表は「私が総務相(民主党政権)の時はこうした上から目線なことはしていなかった。これではお上が地方に命令を出すように見え、違和感がある。武田総務相のこうしたやり方はおかしいのではないか」と語気を強めた。
ワクチン接種が進まず業を煮やした菅政権は東京などに1万人規模の接種会場を設置し、5月24日から国が自ら接種を始めるとぶち上げた。
「菅総理の側近の和泉洋人総理補佐官らがトップダウンで大規模接種センターの設置を決めました。地方自治体や関係省庁との調整は全くなされていない状態で進んでいます。自治体から受け取った接種券を国のセンターに持参すれば、予約なしで接種できるようにすると言っているが、見込み数を把握しないで、どうやってワクチンを準備するのか。国と地方自治体とのすり合わせも全くできていません」(厚生省関係者)
これまでは厚生労働省が「自治体サポートチーム」を立ち上げ、調整役となっていたが、総務省が新たに「新型コロナワクチン接種地方支援本部」を開設。トップには武田総務相が就任した。
「菅総理はコロナ対応で後手に回り、ワクチン確保、承認などでも遅れをとった厚労省に対して不信感を抱いている。『厚労省は使えない』と田村厚労相に文句を言うシーンもあった。ワクチン供給が進まない上、コロナの感染拡大が収まらず、3度目の緊急事態宣言を出す羽目になった。このままではとても7月末までに高齢者のワクチン接種は終わらない。そこで総理直轄といわれる総務省にやらせようとなった。何としても東京五輪・パラリンピックを開催し、自分の手で解散総選挙をやりたい菅総理は、なりふり構わず必死。そのおかげで自治体を巻き込んで大混乱です」(自民党幹部)
しかし、掛け声だけでは、ワクチン接種は進まない。日本のコロナワクチン接種率は現在、人口のわずか1.1%と、経済協力開発機構(OECD)加盟37カ国で最下位だ。日本はアジアでも中国やインド、シンガポール、韓国にも後れを取っている。
武田氏のメールの最後には<災害や感染症への対応など、ご心労の多い日々かと存じます。くれぐれも、ご自愛くださいませ>と記されていた。
しかし、心労を多くさせているのは、菅総理や武田総務相自身ではないのかとの声しきりである。(今西憲之)
感想;
ワクチンが具体的に到着する日時と場所がわかって初めて接種計画を組み立てられます。
それがなければどうしようもありません。
冷凍庫、会場、医師、看護師、ワクチン供給のロジステック、そして肝心な案内をどうすればできるのでしょうか?
無能な上司が「数字を上げろ!」と具体的な方法を伝えずにわめいているのと同じようです。
ワクチン接種が進まない中、武田良太総務相が全国の知事や市町村の首長に送信したメールが波紋を呼んでいる。
問題のメールは4月23日付で発信された。武田総務相は菅義偉総理の指示を受けてワクチン接種を各自治体に急ぐようこうハッパをかけている。
<ゴールデンウイーク明けには約700万回分、それ以降は毎週約1000万回分のワクチンを全国の自治体に配布し、希望する高齢者には7月末を念頭に各自治体が2回の接種を終えることができるようにお願いしたい>
このメールは同日に菅総理が「6月末までには合計1億回分を配布できるようにいたします。その上で、希望する高齢者に7月末を念頭に各自治体が2回の接種を終えることができるよう、政府を挙げて取り組んでまいります」と発表したことを受けて出されたもの。
武田総務相は<7月末を念頭に、高齢者への速やかなワクチン接種に向けて、皆様方、お一人お一人の一層のご尽力、ご協力をお願い申し上げます>と訴えている。しかし、メールにはワクチンがいつ、どれぐらいの数量が届くなど具体的な記述はない。
それなのに7月末までに高齢者へのワクチン接種を完了させろというのは無茶ぶりだと、四国地方の首長は怒る。
「今はどの自治体も少量のワクチンをどう接種するかで悩んでいる。接種するには、ワクチンが届かないとどうにもならない。にもかかわらず、7月末には終わらせろ、という上から目線のメールは、自治体に強要しているように感じられます。国はワクチン供給という責任を果たしていないのにも関わらずです」
メールを読んだ兵庫県明石市の泉市長もこう指摘する。
「高齢者に7月末までに接種しろというが、ワクチンが届かないのに、どうすれば、いいのか。おまけに菅総理は7月末までにワクチン接種が終わらせると記者会見で言いながら、地方自治体にはきちんとした、ワクチン供給のスケジュールを示していない。うちは当初、国の発表に従って『3月中に高齢者へのワクチン接種がはじまる』と広報誌に書いたが、4月まで始まらなかった。国の言う通りに市民に伝えたら明石市がウソつきになった。他の自治体の首長さんとも『国はちゃんとスケジュールや数量など根拠のある情報を出してほしい』、『結局、混乱するのは現場』と話しています。武田総務相はこんなメールを出す前にすべきことが、たくさんあるはずです」
武田総務相は月に1度の割合で、全国の知事や市区町村の首長にメールを送信。こうした総務相の直接メールは2019年12月以降、送られてくるようになったという。
立憲民主党の原口一博副代表は「私が総務相(民主党政権)の時はこうした上から目線なことはしていなかった。これではお上が地方に命令を出すように見え、違和感がある。武田総務相のこうしたやり方はおかしいのではないか」と語気を強めた。
ワクチン接種が進まず業を煮やした菅政権は東京などに1万人規模の接種会場を設置し、5月24日から国が自ら接種を始めるとぶち上げた。
「菅総理の側近の和泉洋人総理補佐官らがトップダウンで大規模接種センターの設置を決めました。地方自治体や関係省庁との調整は全くなされていない状態で進んでいます。自治体から受け取った接種券を国のセンターに持参すれば、予約なしで接種できるようにすると言っているが、見込み数を把握しないで、どうやってワクチンを準備するのか。国と地方自治体とのすり合わせも全くできていません」(厚生省関係者)
これまでは厚生労働省が「自治体サポートチーム」を立ち上げ、調整役となっていたが、総務省が新たに「新型コロナワクチン接種地方支援本部」を開設。トップには武田総務相が就任した。
「菅総理はコロナ対応で後手に回り、ワクチン確保、承認などでも遅れをとった厚労省に対して不信感を抱いている。『厚労省は使えない』と田村厚労相に文句を言うシーンもあった。ワクチン供給が進まない上、コロナの感染拡大が収まらず、3度目の緊急事態宣言を出す羽目になった。このままではとても7月末までに高齢者のワクチン接種は終わらない。そこで総理直轄といわれる総務省にやらせようとなった。何としても東京五輪・パラリンピックを開催し、自分の手で解散総選挙をやりたい菅総理は、なりふり構わず必死。そのおかげで自治体を巻き込んで大混乱です」(自民党幹部)
しかし、掛け声だけでは、ワクチン接種は進まない。日本のコロナワクチン接種率は現在、人口のわずか1.1%と、経済協力開発機構(OECD)加盟37カ国で最下位だ。日本はアジアでも中国やインド、シンガポール、韓国にも後れを取っている。
武田氏のメールの最後には<災害や感染症への対応など、ご心労の多い日々かと存じます。くれぐれも、ご自愛くださいませ>と記されていた。
しかし、心労を多くさせているのは、菅総理や武田総務相自身ではないのかとの声しきりである。(今西憲之)
感想;
ワクチンが具体的に到着する日時と場所がわかって初めて接種計画を組み立てられます。
それがなければどうしようもありません。
冷凍庫、会場、医師、看護師、ワクチン供給のロジステック、そして肝心な案内をどうすればできるのでしょうか?
無能な上司が「数字を上げろ!」と具体的な方法を伝えずにわめいているのと同じようです。