幸せに生きる(笑顔のレシピ) & ロゴセラピー 

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「影に対して 母をめぐる物語」遠藤周作著 ”信仰と母との思い出を実際のエピソードを小説に昇華”

2021-05-03 12:05:55 | 本の紹介
・「陰に対して」
未発表小説。2020年6月26日、長崎市遠藤周作文学館は寄託資料の中から本作(著者による草稿二枚および秘書による清書一〇四枚)が発見されたことを公表した。
他の作品
 母との思い出を小説に昇華されたようです。中国大連での生活。母場ヴァイオリニスト、父と母との離婚

・「雑種の犬」
「陰に対して」と同じ主人公勝呂が犬を飼うがそれが雌犬とわかり返すまでのお話
犬に対する父親と母親との考え方の違い。

・「六日間の旅行」
母のことを知っている人から母について、昔住んでいた街を尋ねて知る。

・「影法師」
母がお世話になって人への手紙。その人は聖職者だが結婚し教会を去っていくカトリック神父。

・「母なるもの」
母の死と思い出とかくれキリスタンの信仰

・「初恋」
大連時代の初恋と母

・「還りなん」
母のお墓の移設(掘り起こして火葬/昔はカソリックは火葬せずに埋葬)

感想
父と母が離婚し、最初は母と兄と一緒に日本に帰り、そこで伯母の影響でカソリックの洗礼を受ける。
灘中に入学し最初はトップクラスだったが他に興味を持ち成績は一番下のクラスに。

父親にその後引き取られるが、条件が「公立の医学部に入る」こと。
ことごとく入学試験で失敗し、父親からも見放される。

父親に黙って慶応大の文学部に入学し、フランス文学に興味を持つ。

そういった生い立ちでの母との思い出の作品です。
「沈黙」の主人公のように、”弱いもの”に焦点を当てた作品が多いのは、遠藤周作氏自身のまさに父親の期待に応えられなかったことも影響しているように思いました。
そして何よりも、自分の生き方を優先した母の影響も大きく受けられたように思いました。