咳止め薬・痰切り薬が新型コロナやインフルの流行で供給不足、厚労省「処方は最小限に」
厚生労働省は医療機関や薬局などに対して、咳止め薬や痰を取り除く薬の処方を必要最小限に抑え、過剰発注を控えるよう要請しました。この内容について中路医師に伺いました。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
厚生労働省が要請した内容とは?
編集部: 今回、厚生労働省が医療機関や薬局などに対して要請した内容について教えてください。 中路先生: 今回の要請は、厚生労働省医政局医薬産業振興・医療情報企画課という部署から都道府県に対しての事務連絡という形で2023年9月29日に実施されました。 事務連絡では、冒頭部分で「新型コロナウイルスの流行以降、種々の感染症の減少により、市場の鎮咳薬(咳止め)・去痰薬の供給量が縮小する中で、今般、新型コロナウイルスやインフルエンザなどの感染症の拡大に伴い鎮咳薬・去痰薬の需要が増加している。それによって製造販売業者からの限定出荷が生じています」と記載されています。主要な咳止め薬の供給量については、新型コロナウイルスの流行以前の約85%まで生産量が低下しています。また、主要な去痰薬の供給量については、新型コロナウイルスの流行以前と同程度ではあるものの、メーカー在庫が減少している状況であるとのことです。 こうした状況を、各自治体の医療機関・薬局・医薬品卸売販売業者などに対して周知を求めるとともに、次の3点について周知することを文書で求めています。
①咳止め薬・去痰薬は、初期からの長期処方を控え、医師が必要と判断した患者へ最少日数での処方に努めるほか、残薬の有効活用についても検討してほしい
②薬局では、処方された咳止め薬・去痰薬を、自らの店舗だけでは供給が困難な場合であっても、系列店舗や地域における連携により可能な限り調整してほしい
③咳止め薬・去痰薬について、必要な患者に広く行き渡るように過剰な発注は控え、当面の必要量に見合う量のみの購入をお願いしたい
今回の要請に対しての受け止めは?
今回、厚生労働省が医療機関や薬局などに対して要請した内容に対する受け止めを教えてください。
中路先生: コロナ禍でほかの感染症が少なかったことや、最近の新型コロナウイルスとインフルエンザの同時流行などが薬剤不足の原因であると考えられます。今回の厚生労働省の要請はしかるべき対応と言えるでしょう。
一般人が気をつけるべきことは?
厚生労働省が出した要請は、医療機関や薬局に向けたものでしたが、一般の立場の人が気をつけるべきことはあるでしょうか?
中路先生: 本当に必要な人への薬剤の供給を確保するため、一般の人でも限られた医療資源を皆で分け合っているという意識をもっていただくことが必要です。症状があれば薬は必要ですが、不必要に長期の処方を求めることは慎むべきと考えます。
まとめ
厚生労働省は、咳止め薬や痰を取り除く薬の処方を必要最小限に抑え、過剰発注を控えるよう要請しました。インフルエンザの流行や、新型コロナウイルスの第9波がある中で、必要な薬を確保することは重要な課題です。今後もこうしたニュースは注目を集めることになりそうです。
【この記事の監修医師】
中路 幸之助 医師(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター) 1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。
感想;
薬機法では薬の品質、有効性、安全性を確保して国民の健康維持向上を目的をしています。
そこには安定供給の言葉はありません。なぜなら安定供給は当たり前のことだからです。その当たり前のことが出来ていないのです。
厚労省は使用を控えるようにお願いされるなら、合せて安定供給の対策を実施しする責任があります。
ところが、意味のない製品回収を繰り返し、安定供給を脅かしています。
品質に問題あるものは製品回収は当然ですが、①ちょっとした承認書の齟齬、②ちょっとしたGMP不備、③製造所を懲らしめるための罰則での製品回収は慎んでいただきたい。それは薬機法の精神に反しています。
また、製販や製造所は「羹に懲りてあえ物を吹く」ことを止めて生産増強に取り組んでいただきたいです。
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