兵庫県の斎藤元彦知事が内部告発された問題に絡み、日本維新の会の県議2人が政治団体「NHKから国民を守る党」党首、立花孝志氏に情報を漏らしていたことが発覚した。告発者らに関する根拠のない内容が含まれていたが、立花氏は知事選期間中に交流サイト(SNS)で公開。結果として斎藤氏は再選された。2人は当時、県議会調査特別委員会(百条委)の委員。斎藤氏の疑惑を調査する立場の県議が、立花氏の「2馬力選挙」に加担した構図が浮かび上がった。
今月19日、維新の増山誠県議がインターネット番組で、昨年10月25日に非公開で行われた百条委の証人尋問の音声データを立花氏に渡したと明らかにした。 この尋問では、片山安孝元副知事が告発者の私的情報について発言しようとし、百条委の奥谷謙一委員長に制止された。百条委は10月31日告示の知事選に影響しないよう尋問を非公開とし、選挙後に録画を公開する予定にしていた。 しかし、増山氏は尋問を録音し、告示当日に立花氏に渡したと説明。立花氏は選挙期間中に音声データをSNSで公開し、告発者は私的情報が漏れるのを恐れて自殺した可能性が高いのに、百条委がそれを隠したとの主張を展開した。 告発者の私的情報に関しては、百条委で取り扱わないことが事前に決まっていた。奥谷氏は、片山氏が真偽不明の情報に言及しようとしたため制止したが、SNS上では百条委が不都合な部分を隠しているといった投稿が相次いだ。 一方、維新の岸口実県議は11月1日、民間人とともに立花氏と面会。百条委委員だった竹内英明氏が「(内部告発問題の)黒幕」などと記した文書を立花氏に渡した。 立花氏は文書を公開し、SNS上などでは竹内氏が斎藤氏を陥れたとする言説が拡散され、竹内氏への誹謗(ひぼう)中傷が相次いだ。竹内氏は知事選の投開票翌日に議員辞職し、今年1月に亡くなった。自殺とみられる。 2人の行動からは、斎藤氏を応援するとして知事選に立候補した立花氏に乗じ、選挙戦を斎藤氏に有利な状況に持ち込みたい思惑が見て取れる。 岸口氏は当選5回、増山氏は当選2回。それぞれ参院選と兵庫県西宮市長選に挑戦したが落選し、令和5年の県議選で復帰している。所属する21人のうち16人が当選1回の維新会派の中では相対的にベテランに分類され、岸口氏は百条委で副委員長も務めていたが、いずれも今月20日に委員を辞任した。
百条委の証人尋問などでは斎藤氏を擁護する立場からの質問が目立ち、調査報告書に関しても、会派として「パワハラ認定は困難」との意見を主張してきた。
「ルール違反という葛藤もあったが、問題の背景に何があるのか伝えるべきだと考えた」。増山氏はインターネット番組でこのように語ったが、維新の同僚県議は「どんな理由であろうと支持できない。委員なら百条委の場で堂々と主張するべきだ」と突き放す。
維新は、斎藤氏が初当選した令和3年の知事選で自民とともに斎藤氏を推薦。「知事与党」を自任してきた経緯もあり、他会派の県議は情報漏洩(ろうえい)の背景に、「『知事与党でいたい』という思いがあったのではないか」と指摘した。
■万博目前新たな火種
斎藤元彦兵庫県知事の告発文書問題を巡り、日本維新の会の対応は迷走した。維新が誘致に尽力した2025年大阪・関西万博の開幕が50日後に迫る中、所属県議による情報漏洩(ろうえい)が発覚し、新たな火種を抱えることになった。
文書問題で維新は当初「第三者機関の調査を優先すべきだ」として、百条委員会の設置に反対した。しかし百条委で追及される斎藤氏を擁護しているとのイメージが拡散し、大阪の地方選挙で苦戦が続くと、「対応が後手に回った影響だ」と党内から批判が噴出。当時は衆院解散の可能性も取り沙汰され、調査終了を待たずに斎藤氏不信任にかじを切った。
知事選では県議団の結束も乱れた。県議団は、維新を離党し無所属で出馬した候補の当選を期したが、増山誠氏ら一部県議が斎藤氏支援に回り、不信任賛成を謝罪した。
百条委の委員を務めた県議が情報漏洩を認める事態に、県外の維新関係者は「疑惑を追及する百条委は襟を正して向き合わなければならないが、そうした意識が全く感じられない」と批判している。
「民主主義の根幹揺るがす」 上崎哉(はじめ)近畿大法学部教授(行政学)
兵庫県の斎藤元彦知事を応援する目的で立花孝志氏が立候補したいわゆる「2馬力選挙」は、法改正の議論に発展しているが、立花氏が応援に回ったことにとどまらず、県議が裏で不適切に情報を流していたのであれば、民主主義の根幹を揺るがしかねない問題だ。
竹内英明元県議が斎藤氏を引きずり降ろした「黒幕」などと記載した文書の提供に関与した岸口実県議は、「軽率だった」としているが、竹内氏が亡くなった結果の重大性を考えれば、軽率で済まされる話ではない。増山誠県議ともども選挙戦に影響を与える意図があったとしか思えない。
二元代表制の地方議会では、議員には首長を監視する役割が求められ、最も強い権限が百条調査権である。今回のように百条委副委員長や委員という立場にある県議による情報流出が起きれば、百条委自体や報告書への信頼が損なわれる。
議会で百条調査権を行使すると決めた以上は、政治的な考えは脇に置き、県民から負託を受けた議員として、首長が不適切なことをすればしっかり追及する役割を果たすべきだ。
感想;
よくこんな人が議員していると驚きです。
もっと驚きが、こんな人に投票した県民がいることです。
だから斎藤知事が再選されるのでしょう。
兵庫県出身者として恥ずかしいです。
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