韓国でビザ申請後に発行される外国人登録証は今年1月からモバイルアプリ化されている 韓国法務部のサイトより
<韓国での外国人登録を行う日本人が増加。韓流文化への親近感と賃金上昇が若い世代の韓国就職を後押ししている>
日本と韓国、両国の国境を跨いだ就職は、かつては韓国人による日本への就職が圧倒的に多かったが、コロナ・パンデミックと前後して、韓国で働く日本人が増えている。
韓国では青年失業が深刻化した2010年代半ばから日本で職を得る韓国人が急増した。2017年に2万人を突破、以後も増え続けて2019年には6万9191人に達したが、2023年は7万1454人と4年間で3.3%増にとどまった。
一方、韓国出入国管理事務所で外国人登録を行った日本人は、19年は2万4316人だったが22年から増えはじめ、2023年は2万7381人、2024年は2万8005人と5年間で14.4%増えている。
韓国での日本人就業で最も増加が目立つのはワーキングホリデーだ。10年前の2014年に韓国のワーキングホリデービザを取得した日本人は617人だったが、2024年は1447人で235%増となっている。
日韓のワーキングホリデーは最大1年間、滞在できる観光ビザでアルバイト就労が認められる。発給上限は2011年以降、年間1万人に引き上げられたが、韓国人の申請は1万人を超えており、毎年、数千人が発給を受けられずに断念するのに対し、日本人は申請自体少ないことから条件を満たせば拒絶されることはない
韓流2世と賃金の逆転
韓国で正社員として勤務する日本人の一般的なビザは"特定活動"と呼ばれるもので、23年の発給数は19年と比べて37.7%増えており、90日以内の就労が可能な短期就労ビザは384%、求職ビザも484%それぞれ増えている。
韓国で働く日本人が増えている背景は主に2つある。韓流2世と賃金の逆転だ。2003年の韓国ドラマ「冬のソナタ」の放映をきっかけに広がった韓流ブームは、中年女性だけに留まらず、その子供たちにも浸透。そうした幼い頃から韓国文化に触れてきた世代が今、就業年齢に達したのだ。実際、ある韓国の大学構内で日本語会話が聴こえてきて尋ねたところ2人とも日本人留学生だった。
また10年前の2014年、日本の最低時給780円に対し韓国は5210ウォン(約523円)だったのが、韓国の最低賃金は2024年には時給9860ウォン(約1090円)に上昇、2025年は1万30ウォンと10年で倍近くに跳ね上がった。2024年10月以降、日本の最低賃金は時給1055円なので、韓国がわずかに上回る。
※筆者注:括弧内は当時の為替換算
会社員の平均給与も2022年、韓国(約43万円)が日本(約41万円)を上回り、日韓の平均給与が逆転した。最低賃金、平均給与とも為替変動の誤差内で賃金差はなくなった。
韓国企業の日本人採用は技術者や日本製部品等の輸入企業が主だったが、昨今は観光や日本向け輸出企業、また美容整形の通訳も目につく。
ワーキングホリデーからの就職に立ちふさがる壁
日本人が韓国で就職する際、一番の課題はビザである。韓国政府は国内の雇用を守るため、外国人採用に厳しいハードルを課しているのだ。最も一般的な特定活動ビザは大学の専攻と職種が合致することが求められ、中途採用者は職務経験も重要視される。専攻と日本等での職務経験、採用企業の職種がすべて合致しなければならないのだ。
筆者は毎年数件、ワーキングホリデーや語学留学の期限が迫った日本人から韓国で就職したいという相談を受けるが、専攻や経験に加えて期限不足から断念する人が大半だ。特定活動ビザの標準審査期間は2カ月で採用企業が申請する。ビザ期限の少なくとも2カ月前までに内定を得ないと難しい。またビザの期限が満了して帰国すると審査期間が延長されるなど、採用にあたって即時就業を求めることの多い韓国企業にとってはハードルが高く、多くの企業が申請を取り下げてしまう。
仮にビザの申請が認められて就職したからといって安心はできない。就労ビザは企業申請に基づいて発給されるため、雇用契約が解除されると失効する。転職しようにも内定から発給まで標準2カ月かかるうえ、退職からビザ発給を受けるまでの間はアルバイトを含めて就労が一切認められない。
また、給与や退職金の未払いのリスクもある。韓国は法令で最低退職金が定められており、給与や法定退職金が支払われない場合、雇用労働当局の支援制度を利用できるが、ビザが失効すると韓国に滞まることは困難で、帰国などで離韓後に支払い命令が下されても国外には送金しない命令無視が横行している。
そもそも留学やワーキングホリデーにも制限がある。日本のワーキングホリデーは週40時間までアルバイト就労が認められるが、韓国は年1300時間、週25時間が上限で、語学留学もアルバイト就労は6カ月経過後から週20時間に制限される。韓国の物価高と円安で手持ち資金が目減りするなか、アルバイトをするのもままならないのが実状だ。
出稼ぎ日本人は今後も増える?
一方で在韓日系企業に就職した"成功者"もいる。ワーキングホリデーや語学留学に伴って韓国に進出した日系企業でアルバイトで働いていた人の中には、現地子会社にそのまま就職して駐在員ビザの発給を受ける者もいる。駐在員ビザは通常、申請後、数週間以内に発給されるので特定活動ビザに比べるとハードルはやや低いのだ。また就職先の韓国撤退に伴って日本本社に転属した人や帰国に伴い日本本社に転職した人もいる。
日本で就職した韓国人は定住を望む傾向が強い一方、就職目的で渡韓した日本人は韓国で数年間、働いた後、帰国する人が少なくない。韓国人の日本就職は往々にして移住だが、日本人の韓国就職は出稼ぎが多くを占めていると言えるだろう。日韓の賃金格差がなくなり、今後は逆転することも予想されるなか、韓国へ出稼ぎする日本人はさらに増えることが予想される。
感想;
過去10年で韓国は所得が2倍、日本は4%減とのことでした。
そしてついに一人当たりのGDPも韓国に抜かれてしまいました。
これは政治の失策なのでしょうね。
まあ、失策続けた政党に任せた国民のつけがじわじわと現実になってきたのでしょう。
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