ダイヤモンド・オンライン霰VW 不正ソフト搭載の商用車180万台
http://www.msn.com/ja-jp/news/money/%ef%bd%96%ef%bd%97%e3%81%ae%e3%82%a8%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%88%e3%81%9f%e3%81%a1%e3%82%92%e6%9a%b4%e8%b5%b0%e3%81%95%e3%81%9b%e3%81%9f%e2%80%9c%e9%9b%86%e5%9b%a3%e3%81%ae%e7%8b%82%e6%b0%97%e2%80%9d/ar-AAeVEnX?ocid=spartandhp#page=1
VWのエリートたちを暴走させた“集団の狂気”: 小さな心理学的失敗が積み重なり、組織が暴走する。タカタや東芝の不正にも共通する組織の危うさだ。
小さな心理学的失敗が積み重なり、組織が暴走する。タカタや東芝の不正にも共通する組織の危うさだ。
不正の規模は「個人では不可能」世界トップシェア争いが組織を狂わせた。
本連載「黒い心理学」では、ビジネスパーソンを蝕む「心のダークサイド」がいかにブラックな職場をつくり上げていくか、心理学の研究をベースに解説している。
独フォルクスワーゲン(VW)の衝撃的なニュースが報じられて以降、様々なコラムやニュースで、その影響や原因が議論されている。
事件の影響については、VW倒産説から賠償額、CEOは刑事責任を問われるか、等々が報じられるが、原因については、誰しもが「なぜ、自らの首を絞めるような大規模不正をVWが行ったのか」を皆、「謎」としている。
そのうえで、欧州における排ガス規制のダブルスタンダード(試験走行と現実の走行との隔たり)や、EU内でのチェックの厳しさ等を主な理由に挙げている。
そういった、政治経済的環境要因は他のドイツ車メーカーも同様である。もしかするとBMWやダイムラーが同様のことをしている可能性はなくはないが、少なくとも現時点ではBMWの1車種のみの不正疑惑が報じられただけで、VWのような大規模不正の可能性は少ない。
とすると、VWだけが持っていた不正の「病巣」がどこかにあるはずだ。今回はそれを心理学の視点から分析してみたい。
これまでのニュースやさまざまなソースを見る限り、VWの不正の陰には、少なくとも5つの社会心理学的現象が起こっている。それらは、①集団主義、②フレーミング効果、③集団思考、④権威主義、⑤社会的手抜き――と呼ばれるものだ。順に解説する。
②フレーミング効果
しかし、それだけでは、あのような大規模な不正は起こらない。通常、企業やグループはそういった集団主義に基づく「集団のプレッシャー」の罠から逃れるように、さまざまな工夫をしているからだ。例えば、今回の事件を受けて「VWの苦境に乗じて火事場泥棒をするな」と言明した豊田章男・トヨタ自動車社長の言葉は、集団主義の暴走を抑える役目を果たすだろう。
VWが不正に手を染めることになった2つめの理由は、「少しならば基準値を超えても問題なし」という考えから、徐々にエスカレートしてしまったことにある。もともと、欧州の排気ガス基準は、実際の走行とテスト走行にかなり違いがあり、そのダブルスタンダードについては批判があった。つまり開発者には「テストさえ乗り切れれば問題なし」という意識が芽生えやすい環境があったと考えられる。
こういった場面では、どんなにモラルがある人でも「ちょっとならばいいか」という考えを持ちやすい。だが、いったんちょっとした違反を行うと、徐々にそれがエスカレートしていく。
これは、ノーベル経済学賞を受賞した心理学者のダニエル・カーネマンが提唱した「フレーミング」という現象だ。レベル1の違反を行ってうまくいくと、そのレベル1が「当たり前」になり、いつしか「レベル0」だと思い込む。そうすると「レベル2」の違反を行っても、本人はまだ「レベル1」の違反しか、主観的にはしていないことなる。
これが繰り返されると、とんでもないレベルの違反をしているのに、本人たちは「いや、これまでもそうだったのだから」という理由で、大したことをしているようには感じない。つまり、物事をみる「フレーム(枠組み)」が変化しているのだ。
少額の横領がやがて億単位になるケースや、いじめがエスカレートしているケースなども、フレーミング効果の例といえる。どこにでもありふれた現象なのである。VWの場合、これほどの大事だということに、当事者たちは発覚して初めて気づいたと思われる。当事者の「犯罪意識の欠落」は、もともとモラルが低いから起こるのではない。こういった小さなプロセスの積み重ねで起こるのである。
感想:
企業が違反を起こす過程や背景について詳細に説明されています。
集団で議論すればするほど、結論が間違うことがある場合もあります。
「貞観政要のリーダー学」 守屋 洋著
“大事は皆小事より起こる”
近ごろ、朝廷で政務を決裁するとき、法令違反に気づくことがある。この程度のことは小事だとして、あえて見逃しているのであろうが、およそ天下の大事はすべてこのような小事に起因しているのである。小事だからといって捨ておけば、大事が起こったときにはもはや手のつけようがない。国家が傾くのも、すべてこれが原因である。
唐の時代から言われています。きっとVWは最初の違反は小さいことから始まったのでしょう。
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VWのエリートたちを暴走させた“集団の狂気”: 小さな心理学的失敗が積み重なり、組織が暴走する。タカタや東芝の不正にも共通する組織の危うさだ。
小さな心理学的失敗が積み重なり、組織が暴走する。タカタや東芝の不正にも共通する組織の危うさだ。
不正の規模は「個人では不可能」世界トップシェア争いが組織を狂わせた。
本連載「黒い心理学」では、ビジネスパーソンを蝕む「心のダークサイド」がいかにブラックな職場をつくり上げていくか、心理学の研究をベースに解説している。
独フォルクスワーゲン(VW)の衝撃的なニュースが報じられて以降、様々なコラムやニュースで、その影響や原因が議論されている。
事件の影響については、VW倒産説から賠償額、CEOは刑事責任を問われるか、等々が報じられるが、原因については、誰しもが「なぜ、自らの首を絞めるような大規模不正をVWが行ったのか」を皆、「謎」としている。
そのうえで、欧州における排ガス規制のダブルスタンダード(試験走行と現実の走行との隔たり)や、EU内でのチェックの厳しさ等を主な理由に挙げている。
そういった、政治経済的環境要因は他のドイツ車メーカーも同様である。もしかするとBMWやダイムラーが同様のことをしている可能性はなくはないが、少なくとも現時点ではBMWの1車種のみの不正疑惑が報じられただけで、VWのような大規模不正の可能性は少ない。
とすると、VWだけが持っていた不正の「病巣」がどこかにあるはずだ。今回はそれを心理学の視点から分析してみたい。
これまでのニュースやさまざまなソースを見る限り、VWの不正の陰には、少なくとも5つの社会心理学的現象が起こっている。それらは、①集団主義、②フレーミング効果、③集団思考、④権威主義、⑤社会的手抜き――と呼ばれるものだ。順に解説する。
②フレーミング効果
しかし、それだけでは、あのような大規模な不正は起こらない。通常、企業やグループはそういった集団主義に基づく「集団のプレッシャー」の罠から逃れるように、さまざまな工夫をしているからだ。例えば、今回の事件を受けて「VWの苦境に乗じて火事場泥棒をするな」と言明した豊田章男・トヨタ自動車社長の言葉は、集団主義の暴走を抑える役目を果たすだろう。
VWが不正に手を染めることになった2つめの理由は、「少しならば基準値を超えても問題なし」という考えから、徐々にエスカレートしてしまったことにある。もともと、欧州の排気ガス基準は、実際の走行とテスト走行にかなり違いがあり、そのダブルスタンダードについては批判があった。つまり開発者には「テストさえ乗り切れれば問題なし」という意識が芽生えやすい環境があったと考えられる。
こういった場面では、どんなにモラルがある人でも「ちょっとならばいいか」という考えを持ちやすい。だが、いったんちょっとした違反を行うと、徐々にそれがエスカレートしていく。
これは、ノーベル経済学賞を受賞した心理学者のダニエル・カーネマンが提唱した「フレーミング」という現象だ。レベル1の違反を行ってうまくいくと、そのレベル1が「当たり前」になり、いつしか「レベル0」だと思い込む。そうすると「レベル2」の違反を行っても、本人はまだ「レベル1」の違反しか、主観的にはしていないことなる。
これが繰り返されると、とんでもないレベルの違反をしているのに、本人たちは「いや、これまでもそうだったのだから」という理由で、大したことをしているようには感じない。つまり、物事をみる「フレーム(枠組み)」が変化しているのだ。
少額の横領がやがて億単位になるケースや、いじめがエスカレートしているケースなども、フレーミング効果の例といえる。どこにでもありふれた現象なのである。VWの場合、これほどの大事だということに、当事者たちは発覚して初めて気づいたと思われる。当事者の「犯罪意識の欠落」は、もともとモラルが低いから起こるのではない。こういった小さなプロセスの積み重ねで起こるのである。
感想:
企業が違反を起こす過程や背景について詳細に説明されています。
集団で議論すればするほど、結論が間違うことがある場合もあります。
「貞観政要のリーダー学」 守屋 洋著
“大事は皆小事より起こる”
近ごろ、朝廷で政務を決裁するとき、法令違反に気づくことがある。この程度のことは小事だとして、あえて見逃しているのであろうが、およそ天下の大事はすべてこのような小事に起因しているのである。小事だからといって捨ておけば、大事が起こったときにはもはや手のつけようがない。国家が傾くのも、すべてこれが原因である。
唐の時代から言われています。きっとVWは最初の違反は小さいことから始まったのでしょう。
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