・関係がそれほど深くない人から、無理な依頼をされて断りたい。そのように返す?
①「今、忙しいのでごめんなさい」
②「いえ、うれしいですけどちょっと。もっと合っている方を探しましょうか」
③「けったいな人やな」
京都式の回答例 ②
「いや、うれしおすけど、うちにはちょっと。もっと上手にしはる方、探しまひょか?」
「ちょっと考えさせてもろうと、かましまへんか。ちょうど今さっき、恩義のあるお人からお願い事をされてしもうてな。今、それで頭がいぱいで考えられへん。お時間いただっきたいんやわ。すんまへんなぁ」
・京都人の基本になっている、7つのコード
①「褒めている」ように見せかける
「お嬢さん、ピアノが上手どすな」
⇒音がうるさい
②「(遠回しな)質問」で、相手自身に答えを出させる。
「コロナ禍に京都に帰省していいか」という子どもからの問いに対する
「東京大変らしけど、そっちマスクとティッシュ足りてる?」
⇒「感染者が多い東京からこっちに帰ってくるな」とクギを刺している。
③自分を下げる「枕詞」を入れて、断る
何かのお誘いを受けたときなどに、「アホやから、分からへん」という言い方があります。端的に言えば「お断りします」ということなのですが、「アホ」という、どことなくユーモラスな言葉を使うことによって、否定や断りをマイルドにすることができる。
④オウム返しで質問を受け流す。
「子どもいないの?」というややデリケートな質問には、一拍おいて「・・・『子どもいないの?』っておっしゃいました?」などと聞き返す。
あたかも、尊敬するあなたがそんな質問してくるなんて! という体で、びっくしたようにオウム返ししていきましょう。
「結婚しないの?」
⇒「結婚ですか? いいものなんですねえ?」
⑤証拠のない第三者を引っ張り出す
「それはあかんて、みんな言うたはる」
「やめといたほうがええて、みんな言うたはるえ」
こんな風に京都人が「みんな」と言う場合、それは100%「私」と置き換えてよいのだそうです。
⑥知っておくと便利な4つのキラーフレーズ
(1)「おもしろい」
「おもしろいこと言わはるわぁ」
(2)「元気」
「坊ちゃん、元気でよろしな」
(3)「考えておきます。
否定したり断ったりしたいときに、「いいえ」と言わずにNoを伝える方法として多用される表現です。
(4)「しばらくお休みします」
「やめたい」とは言わずに、そっとフェードアウトするための言葉です。
⑦褒められて居心地が悪いときは「受け入れて、流す」
これは、「すてきね」と言われた、「すてきでしょう」とちょっとユーモラスに返して、周りの笑いを誘う、というやり方です。
・レッスン上級
①「笑い」に持ち込む
②「依存」「下心」「利用してくる人」を撃退するには
「言いにくおしたら、私から奥さまに言うたげまひょか?」
「ウチは頼られるほど、丈夫にできてまへんので、一緒にこけてしまいます!」
「私は強い男さんが好きどすし、そんな言われたら嫌いになってしまいますえ」
「そんな頼れる強いお方を一緒に探しましょか」
③相手のイケズを正しく読みとる
にこやかに「いやぁ、うれしいわぁ」と言われているのに何かひっかかる。その違和感をうまくキャッチすることに尽きるそうです。
(1)タイミングがおかしい
(2)表情がおかしい
(3)言い方がおかしい
・島田久仁彦さん(国際的に活躍されている交渉の専門家)
「交渉事というのは相手の言葉や言い回しをなるべく使う」「相手から聞かれるまで自分の意見を言わない」などの点に気をつけて、「できるだけ相手に負けたと思わせないようにする」、といったことが重要になるそうです。つまり、いきなり論破して相手を完膚なきまでたたきのめしてしまうのは最悪で、交渉は決裂し、その場の勢いにうっかり乗ってしまって言質を取られた揚げ句、あとでカウンターを食らってしまう禍根を残すことつながってしまいます。
・不安傾向の強い人のほうが、少なくともテストの成績では優秀だと評価されやすいという現象があるのです。不安傾向が強い人というのは、ネガティブ・フィードバックを自分自身に対してかけて、「ここがダメだ」といところを抽出し、自分でそれを補強するために学習することができるという能力を持った人でもあります。
・占い師の人の言葉
日本では、将来どんな悪いことが起きますか、と頻繁にお客さんから聞かれるといいます。一方で欧米では、将来どんないいことが待っていますか、と聞かれるのだと。
・プロスペクト理論――勝ち組はより慎重に、負け組は一発逆転を狙う
勝っている人は今持っている徳をできるだけ減らしたくないt考えて、より堅い選択肢を選ぼうと慎重になるといいます。
反対に、負けている人は、今の損をできるだけ早く減らしたいと考えて一発逆転を狙う、というのがこのモデルの骨子です。
感想;
京都式がエレガントとは思いませんが、直接言うことを避けているのでしょう。
東京育ちの中野さんにとって、京都の返答はエレガントに思えるのでしょう。
京都出身でフランスにしばらくいた人が、フランス人と京都人は似ているところがあると言われていました。
それは「胸の内を相手に知られたくない」ということでした。
その背景として他から侵略者が来て、胸の内を出すと痛い目に遭った苦い体験があるからではないかと説明されていました。
京都式を手法まで高めたのは、アサーションかもしれません。
アサーションの手法で、優しく、穏やかに、丁寧に言葉を選んで。
でもそれにちょっと”イケズ”を盛り込みながら。
『徒然草』に京の人と東(あずま)人との違いの個所があります。
東とは関東です。
今も変わらないのかもしれません。
堯蓮上人は、元は東国の荒くれた武者でした。人を斬らねばならない武士という稼業に、次第に嫌気が差して出家したのだと思われます。
あるとき、故郷の知り合いが都にやって来て、堯蓮上人を訪ねました。あれこれ語り合う中に、東国と都の人間性の違いについての話題がありました。
故郷の人が言います。俺たち東国の人間は信頼出来る。約束した事は必ず守るからだ。ところが都の人は、良いのは返事ばかりでマコトが無いと。
それに対して、上人が答えました。そうかもしれないが、都に長く住んでみると、都の人たちの心情が劣っているとは思いません。
一般に「心は穏やかで、人情があります」から、人から頼まれた事を、はっきり嫌だと断れないまま請け負ってしまうのです。嘘をつくつもりは無いのに、おしなべて都の人は貧乏なため、なかなか約束を果たせず、人を助ける事も出来ないまま「思い通りにならない事が多くなるのでしょう」と。
それと比べ、「東国の人は私の故郷の人たちですが、実際は心の優しさが無く、人情に薄く、もっぱら剛健であるから、はじめからダメと言って終わりとなります」。でも、東国は「繁栄して豊かであるから、人から頼まれること」が多くなり、それに応えているうちに信頼されることになるのだと理由を説明されました。
堯蓮上人は、言葉に東国なまりがあり、元は武者だから言葉遣いが荒々しいです。強(こわ)そうな雰囲気の人だから、「仏教の細やかな道理は、たいして分かっていないだろうと」兼好法師は思っていました。
ところが、この故郷の人との対話を知ってからは「奥ゆかしく思うようになり、僧の多い中で寺の住職にもなっていらっしゃるのは、このような和らいだところがあって、その人徳もあるのだろうと」いたく感心しました。堯蓮上人は、相手の心情を細やかに捉える優しさを持っていたのです。
東国の人は、信頼出来るが実は冷たい。都の人は、優しい分つい嘘をついてしまう。この分析は、なかなか興味深いと言えます。
信頼云々は別にして、こうした心情の違いは現在もあるようです。地方から京都に移り住んだ人たちは、まずその違いをわきまえませんと、不可解に思う場面に出くわして恥をかいてしまいます。(続く)
「言うたはる」が気になってgeminiに尋ねました。
言うてはると思っていたので。
京都弁では”は”をよく使うようです。
何々しはった。来はった。
特に女性の京都弁はとても優しい感じです。
気持ちが優しいかは個人差が大きいですが・・・。
gemini;
質問;京都弁だとどちらがより適切ですか? 言うてはる 言うたはる
回答案;京都弁では、「言うてはる」がより適切な表現です。
「言うてはる」 は、相手の話している様子を丁寧かつ柔らかく表現する際に使われる京都弁です。
- 「てはる」 という部分が、相手の動作や状態を丁寧に表す助動詞の活用形であり、京都弁の特徴の一つです。
- 相手の発言を尊重し、柔らかい印象を与えることができます。
一方、「言うたはる」 は、過去の話をする際に使われることが多く、現代の京都弁ではやや古い表現と感じる人もいるかもしれません。
まとめ
- 現代の京都弁で、相手の話している様子を丁寧に表現する場合は、「言うてはる」がより適切です。
- 「言うたはる」も間違いではありませんが、状況によっては少し硬い印象を与える可能性があります。