英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

A級順位戦 谷川九段×羽生二冠 その7

2012-10-16 20:51:32 | 将棋
今日の記事は、私が厚みや中段玉が好きということ、羽生ファンということで、後手寄りの気持ちで将棋を見ているということをご理解ください。

【参考記事】
「A級順位戦 谷川九段×羽生二冠 その6」(10月15日記事)
「A級順位戦 谷川九段×羽生二冠 その5」(10月7日記事)
「A級順位戦 谷川九段×羽生二冠 その4」(10月6日記事)
「A級順位戦 谷川九段×羽生二冠 その3 ~第17期竜王戦第7局と同一~」(10月1日記事)
「A級順位戦 谷川九段×羽生二冠 その2」(9月30日記事)
「A級順位戦 谷川九段×羽生二冠 その1【追記あり】」(9月26日記事)


【以下中継サイトより】
△6四同銀に▲5四角とさばく狙い。控室の形勢判断は先手優勢に傾いている。
「△6四同銀▲5四角はまずいので△4五金と角を取るしかないと思いますが、▲6三歩成△同金▲6五銀(第8図)で6~7筋の攻めが厳しいです。こちら側から攻める展開になると2二のと金が生きてきますし、先手玉は2枚の金が非常に堅い。もうこれは先手勝勢に近いと思います」(飯塚祐紀七段)
【引用終】

 第8図が先手有利かもしれませんが、「先手勝勢」と言うのは早計だと思っていた。持ち駒は多いが、小駒だけで後手玉を寄せきるにはもう一苦労が必要だと。
 図で先手から6四に歩を打たれては持たないので、△6四歩▲7四銀は必然。ここで受け棋風の者なら△7三歩▲6三銀成△同玉とすっきりさせたいところだが、△7三歩の瞬間に▲6一銀を利かされて、それこそ敗勢。
 で、玉の逃げ道を作りながら飛車取りの△3六桂と攻防の一着。対して谷川九段も飛車を逃げず▲3七桂と金取りで切り返す。飛車を取られても▲4五桂と金を取って詰めろになる。
 そこで、一旦△3五金とかわす。(第9図)


 ここで▲4六飛とズバッと切るの寄せがあったようだ。
【中継サイトより】
▲4六飛△同金▲4五桂打の光速の寄せで、先手の勝ちと結論された。▲4五桂打に△4四角で難解だが▲6三銀成△同玉▲7四銀△7二玉▲6三金△6一玉▲6二銀(変化図3)△同角▲同金△同玉▲6三歩△5二玉▲5三角(変化図4)と進む。後手玉は▲6二歩成△4一玉▲3一とまでの詰めろで、△5一金などで受けても▲6四角成が手厚く、「これは一手一手で負けでしょうね」と羽生。【引用終】

 まさに「光速の寄せ」で、谷川九段がこれを逃したのは皮肉だ。
 確かに変化図は先手の勝ちだが、私が疑問に感じたのは、第9図(再掲載)の

△3五金で△5五金はなかったのか。

 この手は私の第一感の手なので、確信は全くないが、光速の寄せの▲4六飛には△同馬と取れ4五の地点に2枚利かせれば▲4五桂打もない。
 △5五金には▲5六歩が心配だが、△7四金▲同歩△4八桂成▲5五歩△5八桂成でどうか?と思ったが、△5五金に対しては▲6一銀△5三玉▲6三銀成△同玉▲4九飛とされると、▲7四銀を含みに▲5四歩と突かれる手が残り後手が苦しい。4六の桂が動くと▲4三飛成があるのも辛い。

 それはともかく、第9図より▲6三銀成△同玉▲4九飛も先手が残していたようで、「先手勝勢の見解は変わらないものの、検討はまだ続いている。そう簡単ではないようだ」とのこと。
 問題はその後の△8六歩(第10図)の局面だった。

 この手に対し、「▲8六同歩△8七歩に▲7四銀△5三玉▲3二と(変化図6)なら先手の勝ちだった。△8八飛には▲7七玉とかわして先手玉は寄らない」(中継サイト解説より)

 ただこの解説には疑問がある。▲8六同歩に△8七歩としても放置されて先手玉が寄らないのなら△8七歩ではなく他の手を考えていそうなものだ。
 私は△8六歩では△5五角(変化図5)を考えていた(△8六歩▲同歩を利かす方が良いかもしれない)。

 もしこの手に先手が受けるのなら△2二角とと金を抜いて頑張ろうという手である。ただ、△5五角に手を抜いて▲3二ととする手が成立するか定かではない(わかりません)。
 この辺りの変化を考えていて思ったことは、実戦では単に▲6三銀成としたが、▲6一銀△5三玉を入れてから▲6三銀成とした方が得だったような気がする。

 実戦は第10図の△8六歩に手抜きで▲7四銀△5三玉▲3二ととしたため、△8七歩成▲同玉△8六歩▲同玉△8五歩▲同銀△6五角(第11図)となり

 急転直下の逆転劇となってしまった。(以下14手指し継いだが、勝負所はなかった)

 これで羽生二冠は3連勝、谷川九段は1勝2敗(この後三浦八段に敗れ1勝3敗)となり、降級争いに沈むことになった。今期は星が偏っており、挑戦権争いは4勝0敗の三浦八段、3勝0敗の羽生三冠、佐藤王将、2勝1敗の渡辺竜王、屋敷九段。降級争いは1勝2敗の深浦九段、1勝3敗の谷川九段、郷田棋王、0勝3敗の高橋九段、橋本八段と両極に分かれてしまっている。ただ、渡辺竜王、屋敷九段、深浦九段は次局で2勝2敗とと中間の立場となる可能性もある。
 現在3連敗の高橋九段(対渡辺戦)と橋本八段(対深浦戦)は負けられない1局である。 
コメント (4)
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