オークションの緊張感や捻ったオチなど面白いはずなのだが、設定やストーリー展開に疑問や無理を感じて、そちらの方が気になってしまった。
1.クレメンスの腕……まったく欲しいと思えなかった
配色も趣味が悪くて、ガラクタにしか見えない。
2.リスクが大き過ぎる小細工
話題になって落札価格をつり上げようとした遺失物の狂言だったが、タクシーを選ぶ必要なこと、1000万円の価値のオークション品を置き忘れるなどの不自然さなど警察や世間の目を注意する必要性、協力者の裏切り(脅し)などを考えるとリスクが大き過ぎ。
そもそも、オークションの出品物を置き忘れるというのは大失態である。信用失墜もいいところだ。
3.川浪がジャズ評論家・盛谷に買い戻すよう頼んだ意図が分からない
盛谷が買い取りに成功したとしたとしても、他者に落札される危険性があるオークションに出すことを許すとは思えない。あれほどクレメンスの腕を欲しがっていたのだから。
私の頭が悪いのか川浪の意図が理解できず、それが気になって仕方がなかった。
それはともかく、
オークションのシーンと犯人究明のシーンは面白かった。
「そんなお金、ないでしょう」
「マンションを売ればなんとかなるだろう」
「…えっ、私の?!じょ、冗談じゃなぃ…」
「必ず返すから。最後は退職金から何から掻き集めて絶対払う」
「えぇぇぇぇ…」
気の毒な彼女。
クレメンスの腕が欲しくて必死の盛谷と、享の無謀な行動にハラハラ顔の彼女の表情が面白くさらに、右京の颯爽とした乱入ぶりなど、非常に面白かった。
また、享のやんちゃな性格はあまり好きになれなかったが、このシーンは享の正義感と律義さが出ていて面白かった。単なる無謀なハッタリではなく、返済まで考えていて、返済能力を超えた額まで行ったら引き下がるのは、けっこう真面目である。
まあ、あそこで引き下がらないと右京の出番がないが。
(落札されても、礼状が取れればOKのように思えるが…)
犯人追及シーンで、血痕を調べるためクレメンスの腕に試薬を吹きつけようとした時の反応で、偽物と知っていた坂巻社長と富塚は無反応、本物だと思っていた盛谷と川浪は慌てて止めようとする。
ここで、犯行の突発性にもかかわらず指紋が残っていなかった(手袋を用意していた)という相反する状況を述べ、富沢に疑いが……
ところが、実は出品されたクレメンスの腕はさらに(殺人の)真犯人によって本物とすり替えられていた。
試薬を吹きつけるのを止めようとする同じ行為をした川浪と盛谷であったが、その内情はまったく違っていた。あれだけ腕を欲していた盛谷が、激情のあまり本物と気づかずに壊そうとしたのもピエロだ。
動機はオークションに偽物を出すのが耐えられなかったというプロ意識だったが、大切な美術品を血で汚してしまった。美術品のプロとしては失格、さらに、人間失格であった。
「お前の魂胆は分かっている。警察庁次長の息子を人質にしておけば、またお前が何かしでかしても、特命係への処分は甘くせざるを得ないという姑息な計算だろう」
得意気に語る刑事部長だったが……
「そのようなことは露ほども考えていませんでしたが、言われてみれば…なるほど……なるほど」
「……ああぁ!」
「…ちょっと待てぇ!」
このやり取りが、一番面白かった。「姑息」の使い方がおかしいような気がするが……
【ストーリー】番組サイトより
一流オークションハウス「ホワイトグラブズ」の代表取締役、坂巻百合子(岡まゆみ)からジャズピアニストのエド・クレメンスの腕を探してほしいという依頼が先日まで享が所属していた中根署・捜査一係に舞い込んだ。腕と言っても70年代にアメリカジャズ界を席巻、夭折したクレメンスが、自らの腕をかたどり作成された石膏製のもの。しかし、百合子によると5日後のオークションの目玉になるほどの貴重なものだという。
扱いに困った一係の堀江(山口良一)は、元部下の甲斐享(成宮寛貴)に押し付けてしまうが、困った享は百合子にマスコミに呼びかけてみては、と提案。百合子もあっさりと同意する。
数日後、新聞やテレビなどでは連日クレメンスの腕紛失事件を報道。おかげで当初は1000万円だった予想落札価格も3000万円に急騰したとか。そんな折、特命係に腕が見つかったという連絡が入る。
クレメンスの腕を巡る複雑な人間関係に翻弄されつつも真相に迫る享。
それらに疑問を呈しながらも、絡み合った糸を解きほぐしていく右京。はたして犯人は?
ゲスト: 岡まゆみ 藤木孝
脚本:戸田山雅司
監督:近藤俊明
1.クレメンスの腕……まったく欲しいと思えなかった
配色も趣味が悪くて、ガラクタにしか見えない。
2.リスクが大き過ぎる小細工
話題になって落札価格をつり上げようとした遺失物の狂言だったが、タクシーを選ぶ必要なこと、1000万円の価値のオークション品を置き忘れるなどの不自然さなど警察や世間の目を注意する必要性、協力者の裏切り(脅し)などを考えるとリスクが大き過ぎ。
そもそも、オークションの出品物を置き忘れるというのは大失態である。信用失墜もいいところだ。
3.川浪がジャズ評論家・盛谷に買い戻すよう頼んだ意図が分からない
盛谷が買い取りに成功したとしたとしても、他者に落札される危険性があるオークションに出すことを許すとは思えない。あれほどクレメンスの腕を欲しがっていたのだから。
私の頭が悪いのか川浪の意図が理解できず、それが気になって仕方がなかった。
それはともかく、
オークションのシーンと犯人究明のシーンは面白かった。
「そんなお金、ないでしょう」
「マンションを売ればなんとかなるだろう」
「…えっ、私の?!じょ、冗談じゃなぃ…」
「必ず返すから。最後は退職金から何から掻き集めて絶対払う」
「えぇぇぇぇ…」
気の毒な彼女。
クレメンスの腕が欲しくて必死の盛谷と、享の無謀な行動にハラハラ顔の彼女の表情が面白くさらに、右京の颯爽とした乱入ぶりなど、非常に面白かった。
また、享のやんちゃな性格はあまり好きになれなかったが、このシーンは享の正義感と律義さが出ていて面白かった。単なる無謀なハッタリではなく、返済まで考えていて、返済能力を超えた額まで行ったら引き下がるのは、けっこう真面目である。
まあ、あそこで引き下がらないと右京の出番がないが。
(落札されても、礼状が取れればOKのように思えるが…)
犯人追及シーンで、血痕を調べるためクレメンスの腕に試薬を吹きつけようとした時の反応で、偽物と知っていた坂巻社長と富塚は無反応、本物だと思っていた盛谷と川浪は慌てて止めようとする。
ここで、犯行の突発性にもかかわらず指紋が残っていなかった(手袋を用意していた)という相反する状況を述べ、富沢に疑いが……
ところが、実は出品されたクレメンスの腕はさらに(殺人の)真犯人によって本物とすり替えられていた。
試薬を吹きつけるのを止めようとする同じ行為をした川浪と盛谷であったが、その内情はまったく違っていた。あれだけ腕を欲していた盛谷が、激情のあまり本物と気づかずに壊そうとしたのもピエロだ。
動機はオークションに偽物を出すのが耐えられなかったというプロ意識だったが、大切な美術品を血で汚してしまった。美術品のプロとしては失格、さらに、人間失格であった。
「お前の魂胆は分かっている。警察庁次長の息子を人質にしておけば、またお前が何かしでかしても、特命係への処分は甘くせざるを得ないという姑息な計算だろう」
得意気に語る刑事部長だったが……
「そのようなことは露ほども考えていませんでしたが、言われてみれば…なるほど……なるほど」
「……ああぁ!」
「…ちょっと待てぇ!」
このやり取りが、一番面白かった。「姑息」の使い方がおかしいような気がするが……
【ストーリー】番組サイトより
一流オークションハウス「ホワイトグラブズ」の代表取締役、坂巻百合子(岡まゆみ)からジャズピアニストのエド・クレメンスの腕を探してほしいという依頼が先日まで享が所属していた中根署・捜査一係に舞い込んだ。腕と言っても70年代にアメリカジャズ界を席巻、夭折したクレメンスが、自らの腕をかたどり作成された石膏製のもの。しかし、百合子によると5日後のオークションの目玉になるほどの貴重なものだという。
扱いに困った一係の堀江(山口良一)は、元部下の甲斐享(成宮寛貴)に押し付けてしまうが、困った享は百合子にマスコミに呼びかけてみては、と提案。百合子もあっさりと同意する。
数日後、新聞やテレビなどでは連日クレメンスの腕紛失事件を報道。おかげで当初は1000万円だった予想落札価格も3000万円に急騰したとか。そんな折、特命係に腕が見つかったという連絡が入る。
クレメンスの腕を巡る複雑な人間関係に翻弄されつつも真相に迫る享。
それらに疑問を呈しながらも、絡み合った糸を解きほぐしていく右京。はたして犯人は?
ゲスト: 岡まゆみ 藤木孝
脚本:戸田山雅司
監督:近藤俊明